「映画的オマージュに溢れた恋愛映画」恋する惑星 和田隆さんの映画レビュー(感想・評価)
映画的オマージュに溢れた恋愛映画
ウォン・カーウァイ監督と撮影監督クリストファー・ドイルの名コンビが生み出した映像は、それまでの香港映画だけでなくアジア映画のイメージも一新した。そのスタイリッシュな映像と世界観は、いつ何度見ても新たな発見と感動があり、映画作りの楽しさまで伝わってくるその文法はその後の映画に多大な影響を与えている。
カーウァイ監督はモノローグと即興的な演出を多用し、俳優たちが持っている魅力を生かして、ドイルのヴィヴィッドな色彩とカメラワークによる映像、ウィリアム・チャンの美術、さらにポップな音楽や異国の曲と掛け合わせて物語を描くスタイルで、その語り口はとても新鮮であった。そして新鮮であると同時に、カーウァイ作品は映画的なオマージュに満ち溢れているところも映画ファンの心をくすぐった。
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