消された刑事
劇場公開日:1958年10月22日
解説
国際麻薬密輸団に潜入した一刑事の捜査活動を描いたもので、井手雅人の原作を、「夜霧の滑走路」の下飯坂菊馬が脚色、「かあちゃんは犯人じゃない」の村山三男が監督した。撮影は「俺たちは狂っていない」の小林節夫。北原義郎・藤田佳子・月田昌也らが出演している。
1958年製作/60分/日本
劇場公開日:1958年10月22日
ストーリー
横浜・国際マーケットを本拠とする麻薬密売団検挙のため神奈川県警の谷口保安課長は、危険な囮捜査を決意、顔の知られていない捜査一課の並木刑事を送りこむことにした。谷口は、自分の退職金を担保に百二十万円の金を借り、それを麻薬買いの資金に持たせた。並木はペイ買いに変装して行動を開始した。パチンコ屋、あいまい屋、中華料理店、麻薬の取引所と思われるところを並木は探し回ったが、熱心さの余り泥棒と間違われ交番へ突出されたこともあった。初めの失敗にこりた並木は再び変装を変えマーケットに潜入した。遂に彼は怪しげな中華料理店を突きとめ、そののれんをくぐったとたん、調理場の異様な雰囲気を感じた。そこはペイ買いの中継所だった。ペイを売ってくれともちかけた並木に、調理人の半田は疑い深そうな眼を向けたが、やがて信用したらしく一包みの麻薬を差出した。並木は重ねて上物を一キロほど欲しいと持ちかけ、腹巻に入れてきた現金をちらつかせた。中華料理店の外には、並木の万一を憂慮して尾いてきた町田・長谷川の両刑事が固唾をのんで待っていた。ところが中では半田が隠し戸から並木を連れ出し裏口から待たしてあったタクシーに乗せて姿を消してしまった。間もなく県下に並木刑事捜査の一斉手配がなされた。--殺しがあった。心配していた谷口は現場へ急行した。死体は並木ではなかった。--並木はある音楽喫茶へ連れて来られた。そこで密売の大物に会う手筈だ。待っている間、並木は恋人に電話するフリをして、県警へかけ、居場所を知らせた。長谷川が急行したが、もう並木の姿はなかった。五一年型のフォードで連れ去られたことだけ判った。各検問所へ連絡された。--県警は一人だけ帰ってきた半田を検挙し、並木の行先をきこうとしたが、無駄だった。並木は牛乳屋に変装させられ三輪トラックへ乗せられた。検問所を過ぎるとき、気づかぬ町田の姿が見えた。旅館・香月荘に連れこまれ、林が麻薬を届けるのを待った。テレビに夢中の見張りのスキをうかがい、帳場の電話のダイヤルを廻した。女将が近づいたとき、彼はトッサに部屋への切換スイッチを入れた。県警の電話に、テレビの野球に声援する並木の声が聞こえた。電話局で相手番号を調べた。谷口は検挙隊を旅館へ廻すと同時に、町田と女警官・三原にアベックを装わせて、旅館の一室へ入りこませたのだ。半田の検挙を怪しんだ密売の大物は、並木を囮刑事と見破り、殺し屋をやとった。林が着き、並木は麻薬を検査した。大量の上物。並木の合図のセキばらいが、隣室の町田らに聞こえてきた。その時、殺し屋が現れ、並木を射とうとする。が、町田が殺し屋の腕を射ち、--一味はぜんぶ捕った。