「スコセッシ監督よくぞ映画化してくれました」クンドゥン Ranさんの映画レビュー(感想・評価)
スコセッシ監督よくぞ映画化してくれました
ダライ•ラマ14世の誕生からインドに亡命するまでを描いた作品。チベット仏教の教えや慣習がどの様なものであるかがよく描かれており、非常に興味深く観賞した。ダライ•ラマは輪廻転生により姿を変えて生まれ変わると信じられ、まだ幼児であった一人の男の子が先代の化身として見い出され、ダライ•ラマ14世となる過程は、世襲制でも選挙制でもなく、チベット仏教独自の非常に神秘的でユニークな後継者選びである。中国が武力をもって攻めてきても、仏教の教えに沿って一貫して非暴力を貫き通したダライ•ラマ14世。そのダライ•ラマに面と向かって「religion is poison 」と言い放つ毛沢東。2人が並んだ時の身長差が、まるで大国中国とそれに飲み込まれようとしているチベットそのものを表しているかのようだった。チベット問題は今もなお継続中であり、ダライ•ラマ14世はインドに亡命したまま帰れていない。スコセッシ監督がこの問題を映画化したことは非常に大きなメッセージであり、一人でも多くの人がこの問題に関心を向けるきっかけとなることを願う。
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