「【”僕が悪い子だから、ママは出て行ったの?”と5歳の息子は僕に言った。離婚を否定はしないが、”自分がキチンとした仕事が出来るのは家人のお陰という事を忘れてはいけない”と結婚後に学んだ作品。】」クレイマー、クレイマー NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”僕が悪い子だから、ママは出て行ったの?”と5歳の息子は僕に言った。離婚を否定はしないが、”自分がキチンとした仕事が出来るのは家人のお陰という事を忘れてはいけない”と結婚後に学んだ作品。】
ー 今作を最初に観たのは映画好きの父から誘われてTVで観た小学生時代だった。
面白くもなんともなかった。
覚えているのは、フレンチトーストを上手く作れないテッド(ダスティン・ホフマン)の姿くらいである。
その後、若くして私には過ぎた女性と一緒になり、子供が出来た後、BSだったかなあ・・、独りで見た。
当時の、家人に対する、自覚なき愚かしき行為、言動を猛省した。
家人は、仕事も出来る有能なキャリアウーマンだったが、”子供と一緒に居たい・・”と言って会社を退職した。
そして、二人の子供は、私には出来すぎた大人に育った。
全て、家人のお陰だと思っている・・。-
◆感想 ー個人的な感想が、ダダ洩れです・・。-
・仕事しか頭にない、テッドに見切りをつけたジョアンナ(メリル・ストリープ)の苦渋の決断。
- 今、観ると、正に30代の私と同じテッドの姿。学生時代から愛読していた、故、伊丹十三氏の数々のエッセイにより、”女性は男性よりも優れており、大切にすべし”と言う概念は持ってはいたが・・。(ちなみに、伊丹さんは一度離婚されて、宮本信子さんとご結婚されているからこその、金言の数々である。)
<家人に絶対に言ってはいけない事>
・誰が、飯を食わせてやってると思っているんだ・・。
だが、言葉にはせずとも、態度には出ていたらしい・・。
今作で、メリル・ストリープが演じたジョアンナの気持ちを家人にさせていた事に、猛省した。
ー 因みに、アメリカの経済雑誌フォーブスでは、十年前から専業主婦の時給換算した年収は1200万円と書かれている・・。土日なく、家族のために働く主婦。ー
・好き合って、結婚した男女が子供が出来、男の仕事と地位が上がる事で、専業主婦の孤独感が増して行く様を、メリル・ストリープが好演している。
テッドの、妻の気持ちを察するアンテナが仕事の忙しさもあり、低かったのであろう。
- そして、妻が居なくなって初めて自分自身が、如何に妻に支えられて、仕事をして来たのかをテッドが理解するシーンが、今作では随所で描かれている。-
・テッドとジョアンナが、息子の親権を巡る裁判のシーンは、観るのがキツイが、二人が理性を保った態度で臨んでいる事に救いを感じる。
そして、ジョアンナが、今まで家庭を顧みる事の無かった元夫の頑張りを、ガラス越しに見ている幾つかのシーン。彼女が裁判後に下した”息子を想っての”苦渋の決断。
- メリル・ストリープの抑制した涙の名演技は、男にとっては堪える・・。-
<離婚を否定するする積りは毛頭ないが(特に愚かしき夫のDV被害に遭っている女性)、一度は深く愛し合った男女は出来れば、生涯添い遂げたいと思った作品。
何故ならば、両親の喧嘩や、離婚が子供に深い傷を与えてしまう事例を実際に見て、対処しているからである。
今作は、1980年公開の作品であるが、時代の先を見据えた優れた作品であると思う。>
初めてみたのは、20歳くらいでした。メリル・ストリープとダスティホフマンが好きだったからですが、全く良さが分からずもうちょっと父親の努力を見てあげたらいいのにって思ってました。当時の男はそれが普通で、何ひとつホフマンが悪いなんて思いもしませんでした。むしろ、三くだり半で追い出された奥さんの奮闘記パパ版って印象で観てました。
今観れば随分違う印象なのでしょうね。
私も離婚して二人の娘は立派に育ちましたが、男運の悪さは私にそっくりで…上の子は全くお金のない相手と結婚し、二人ともボロボロになりながら子育て中。二人で仲良く子育てしてるのが救いですが。
下の娘は結婚寸前で別れた相手とつかず離れずで何年も付き合っています。二人働きながら子育てしながら結婚生活って環境に耐えられなかったようです。
現代の結婚の形態は昔とは違うのだと今は割りきって二人の娘の幸せを願うことにしました。
クレーマー、クレーマーは胸の痛みのみ思い出します。