劇場公開日 1981年7月4日

「エルキュール・ポアロは登場しません アガサ・クリスティのもう一つの人気シリーズのミス・マープルが登場する作品の映画化です」クリスタル殺人事件 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5エルキュール・ポアロは登場しません アガサ・クリスティのもう一つの人気シリーズのミス・マープルが登場する作品の映画化です

2021年8月27日
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鑑賞方法:DVD/BD

1980年英国公開
日本公開は1981年7月

原題は、「The Mirror Crack'd」
アガサ・クリスティの原作小説「The Mirror Crack'd from Side to Side」を縮めたもの

どうしてこの邦題になったかというと、「なんとなく、クリスタル」という小説が同年に大ベストセラーになったからです
それに乗っかっただけのことで、クリスタルは映画にも、原作にも、その小説にもなんの関係もありません
原題にある鏡をクリスタルにこじつけただけです

しかも原題にある鏡も映画には登場しないときます

ある人物が小舟にみえないこともないカウチに寝て死んでいる重要シーンがあります

それは小舟に横たわって死んでいくシャーロット姫のアーサー王伝説をモチーフにしたものです

その伝説をモチーフにしたビクトリア朝時代の詩の一節に、割れた鏡が登場するので、それにひっかけてあるのです

その上、日本版映画ポスターにあるロンドンの時計塔は一切登場しないし、なんの関係もありません

とまあややこしいことです
詐欺だよこれなんてさわがず、おおらかな気持ちでご覧になって下さい

エルキュール・ポアロは登場しません
アガサ・クリスティのもう一つの人気シリーズのミス・マープルが登場する作品の映画化です

ミス・マープルが主人公の映画は1960年代に4本あり、マーガレット・ラザフォードが演じています

本作ではアンジェラ・ランズベリーが演じています

製作意図は、オリエント急行殺人事件、ナイル殺人事件と大ヒットしたので、ポアロにならぶ2大名探偵のミス・マープルも映画化しようと言うものです

日本でいえば水戸黄門と大岡越前がかわりばんこでやるみたいな構想だったのでしょうか?

大してヒットもしなかったので、このミス・マープルの映画はこれきりとなりました
まあ頑張ってはいるのですが、ヤッパリ映画としは地味でした
テレビの2時間ドラマにはピッタリだと思います
日本でも翻案のテレビドラマがあったそうです

さすがエリザベス・テイラーだけあって彼女はまあまあです
でもキム・ノヴァクはガッカリでした
あの輝くような美貌はいまは何処?
期待した二大スターの火を噴くような演技合戦も無いのです

小さなお盆にのせたコップを男性が2階へ階段で運ぶシーンがあります
ヒッチコックの断崖のオマージュです

ミス・マープルシリーズはロンドンの南40キロにある架空の村セント・メアリ・ミードが舞台です

本作ではこの村に映画のロケ隊がやって来るという翻案になっており、映画撮影の裏側を見せつつお話が展開される趣向です

セント・メアリ・ミードは、日本でいうならきっと古い街並みの残る村
そこに金田一耕助の映画のロケ隊がやってきて……なんて翻案の日本版をみてみたいと思いました

あき240