「【極悪なる絡新婦の如き悪女モナと、汚職刑事の物語。モナを演じたレナ・オリンに翻弄されるジャックを演じたゲイリー・オールドマンの姿が忘れ難き作品。”人間の本性は悪である。Byコーマック・マッカーシー”】」蜘蛛女 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【極悪なる絡新婦の如き悪女モナと、汚職刑事の物語。モナを演じたレナ・オリンに翻弄されるジャックを演じたゲイリー・オールドマンの姿が忘れ難き作品。”人間の本性は悪である。Byコーマック・マッカーシー”】
■N.Y.の刑事・ジャック(ゲイリー・オールドマン)は、FBIが保護する裏切り者の情報をマフィアのドン(ロイ・シャイダー)に流して多額の報酬を得ていた。
ロシア人の殺し屋・モナ(レナ・オリン)もまたジャックのカモになるはずだったが、遣りての彼女は巧妙にジャックが流した証人プログラムの男の情報をマフィアに流し、FBIの手を逃れたことから、ジャックはマフィアのドンからモナを消すよう脅迫されてしまう。
◆感想
・映画の構成が秀逸である。現実世界の状況を描きつつ、汚職刑事ジャックを演じたゲイリー・オールドマンの”後悔”を含めたモノローグが物語を引っ張る。
・小物汚職刑事、ジャックを演じたゲイリー・オールドマンが、巨悪の時期マフィアのドンを狙うレナ・オリン演じるモナに【正に絡新婦の張った糸に絡めとられるが如く】転落していく様が絶妙に面白怖い。
ー そして、彼は妻ナタリーに大金を渡し、12月1日と5月1日に”全てが終わった際に再会しよう・・”と別れるのである。永訣の別れになるとも知らずに・・。ー
・ジャックは裏切ったマフィアのドン(ロイ・シャイダー)に左足の先を切断されるが、もっと恐ろしいのはジャックを嵌めるために、わざわざモナが自分の左手を切り落とし、ジャックの愛人のシェリーを巧妙にジャックに射殺させつつ、彼女の死体の横に自分の切り落とした左腕を置き、火を放つシーンである。
ー モナの極悪ぶりと、ジャックの小物振りとの比較が見事なシーンである。モナは死んだことになるのである。-
・更に、モナはマフィアのドンを拉致し、ジャックに生き埋めにさせる。自分は手を下さない。
ー うわわわわ・・。-
・ジャックは警察に事情聴取で来たモナを射殺するも、”何故か”釈放される。そして、ジャックは罪に問われない。
ー この辺りは、警察がモナが真犯人である事を知りながら決定的な証拠がないために、仮釈放した、と勝手に判断する。-
<自業自得であるが、ジャックは妻、ナタリーに約束した日に、田舎の国道沿いのダイナーで妻を待つが、彼女は来ない。
そして、ジャックは腑抜けた顔で”又、次の日を待とう・・。”と呆然と呟くのである。鑑賞後の嫌な感じが後を引く作品である。>