グッドフェローズのレビュー・感想・評価
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スコセッシ監督の「欲」の描き方が面白い。
○作品全体
スコセッシ監督作品をそんなに多く見たわけではないけど、やはりこの監督が描く「欲」は面白い。「グッドフェローズ」という他者との繋がりを意味する作品名でありながら、いや、だからこそ根底にある個の欲の表現がリアルになると感じた。
同じくスコセッシ監督作品である『ウルフ・オブ・ウォールストリート』でも家族を含む他者との関わりと個人の欲が、『タクシードライバー』では個の欲と社会との間にある歪みが描かれていた。この『グッドフェローズ』では前者をマフィアのファミリー達が、後者は金に執着するヒルの欲望とファミリーとの信頼関係がその役割をになっていたように感じる。
それぞれの作品と『グッドフェローズ』の違いを挙げるとすれば『グッドフェローズ』における個の欲は終始人間関係の中で作り上げられていく、ということだろう。『ウルフ・オブ・ウォールストリート』では会社設立から仲間たちとの成功体験があったが、物語を主導するのはいつも主人公・ベルフォートの鶴の一声だし、『タクシードライバー』は主人公・トラヴィスが孤独の中で自身の欲が芽生えていく。
『グッドフェローズ』ではまわりのファミリーたちに振り回されながら、時には個人的な、時には社会的な欲望を叶えるためにヒルはファミリーの中で生きていく。欲の軸が必ずしも個に存在するわけではないというところがこの作品をドラマティックにしている要因の一つだ。
作中ではあまり触れられていなかったが、アイルランド系であるヒルには幹部になる資格がないことも、ヒルの個の欲を際立たせる一つだったかもしれない。逸脱行為や離反行為の兆しがあると誰も信用できない状況になる関係性もそうだろう。
ヒルの個の欲は、ヒル個人の中で生成されたわけではなくて、「グッドフェローズ」とともに生きたからこそ生成されたものだ、という個の欲望と他者との関係性の描き方が面白いな、と感じる。個の欲望と他者との関係性のバランス。『グッドフェローズ』ではこの天秤が崩れるたびに、物語がグッと面白くなる感覚があった。
○カメラワークとか
・モノローグの使い方が特殊だった。序盤のシーンでヒルのモノローグが多く入るのは主人公の生い立ちを語ったり、時間が飛んで現状を語るのに必要なことだと思うけど、そのあとすぐにカレンのモノローグに入る。ヒルにフォーカスが当たり続けていたところで急にカレンの心情にフォーカスがあたった感じがしてちょっとびっくりした。ヒルの異常性を客観的に見ることのできる最初の演出だったわけだけど、一方でカレンがヒルを好きになった理由みたいなものも語られていて、必ずしもヒル個人の物語ではない、というフックを作る演出だったのかな、と感じた。
○その他
・小ネタ的な部分が目に留まった。『ウルフ・オブ・ウォールストリート』を直近で見ているからか、『グッドフェローズ』の劇中劇のようなカツラのCMと『ウルフ・オブ・ウォールストリート』のセミナーCMが重なったり、『グッドフェローズ』のラストシーン、急にヒルがカメラに向かって自身のことを語りだすくだりと『ウルフ・オブ・ウォールストリート』のIPOについて急にカメラ目線で説明し始めるベルフォートが重なったりした。
『グッドフェローズ』でソニーがポーリーに手助けされて店を出すけれど借金漬けにされるくだりで「火事にやられた?金を払え 落雷にあった?金を払え」…と続くところとか『ウルフ・オブ・ウォールストリート』の「カードの支払いがある?直ぐに電話をかけ始めろ 大家が追い出しを?直ぐに電話をかけ始めろ」…と続くところは台詞回しがそっくり。違うところはFUCKとGOODの違いか。「最も多くFUCKという言葉が使われた映画」だという『ウルフ・オブ・ウォールストリート』でGOODが使われているというところが興味深い(?)
他人の人生が転落する様を安全な場所から眺めて楽しむ暗い悦び
1955年、ブルックリンに住む少年ヘンリー・ヒルは貧乏白人の暮らしに嫌気が差し、暗黒街の花形になることを夢見て地元マフィアの下で雑用のバイトを始めます。高校もやめ、気がつけばどっぷり裏社会に。若いのに羽振りの良い年上のジミー(ロバート・デ・ニーロ)、同年代のトミー(ジョー・ペシ)の3人は次々とでかいヤマを成功させ、ボスのポーリーにもがっぽり上納金を収め、可愛がられています。警察ともズブズブでやりたい放題の彼らには怖いものなどありません。ファミリーの一員として認められ、金も女も手に入れ、トントン拍子に裏社会の階段を登っていくヘンリー(レイ・リオッタ)。彼が成長しカレンと結婚するまでを50年代のオールディーズに乗せてノスタルジックに描いたのが「幸福な前半」です。
マフィア役はお手の物、デ・ニーロ(47)&ジョー・ペシ(47)を相手に頑張る若きレイ・リオッタ(36)の奮闘ぶりが楽しめる本作。映画はヘンリーの人生を時系列順に飛び飛びに概観していきますが、冒頭だけは順序が無視され1970年のシーンが挿入されます。ここが彼の人生の屈曲点になったようです。ここを境に3人の人生は一気に暗転していきます。この「幸福な前半」と「暗転する後半」のコントラストこそがマフィア映画の醍醐味です。ジェットコースターのように上下する他人の人生を安全で退屈な場所から概観するという暗い快楽こそが、映画を観る楽しみです。
前半のオールディーズと打って変わって、後半戦は怒涛のヒット曲ラッシュが楽しめます。
Baby I love you / Aretha Franklin
Gimme shelter / The Rolling Stones
Monkey man / The Rolling Stones
Sunshine of your love / The Cream
Mannish boy / Muddy Waters
Layla / Derek and the Dominos
My way / Sid Vicious
3人のリーダー格であるジミーと主人公ヘンリーはアイルランド系であり、組織の準構成員であるチンピラに過ぎません。彼らは一生組織の下働きの運命にあります。一方トミーは生粋のイタリア人であり「幹部」に推挙されます。マフィアの組織は人種の壁がぶ厚い序列社会であることが描かれます。これまで自分の部下として使ってきたトミーに「これからはお前がボスだ」というジミーのお祝いの言葉に、悲哀が滲みます。本作は準構成員の目から見たマフィアの世界を描いたため、他の組織との抗争とか、政治家との折衝とか、弁護士とのやり取りとか、組織の内紛とか、「ゴッドファーザー」が描いたような重厚で壮大な世界ではなく、あくまでせこい身近な出来事の羅列になります。ヘンリーが逮捕、留置されても組織から十分な支援は得られないため、自力で何とかしなくてはならず、そのためボスに禁じられているドラッグの売買に手を出してしまいます。庇護も薄いかわりに忠誠心も薄いのが準構成員たちであり、なにかあれば簡単に尻尾を切られてしまう存在です。本作はそんな一介の準構成員の立場の弱さを教えてくれる映画でもあります。ヘンリーは不運にも10年の刑を喰らい、ドラッグの売買に手を出し、妻と愛人が揉め、ポーリーからも見捨てられ、売り物のドラッグにもハマってしまい、もう抜けられない泥沼状態に。
一方ジミーもJFK空港のルフトハンザ金庫室襲撃という大仕事を成功させたものの、発覚を恐れて仲間たちを次々と粛清していきます。大金を手に入れた代償に、誰も信用できない不安と狂気に陥っています。
もともと抑制の効かないたちのトミーは些細な口論からガンビーノ一家のビリー・バッツを殺してしまい、それがバレてポーリーに粛清されます。上層部であるイタリア人世界の決定と処置であり、ジミーとヘンリーは手も足も出せません。
疑心暗鬼に駆られたジミーの粛清の標的がいよいよ自分と妻に回ってきたことを感じたヘンリーは、組織と仲間を売ることで生き延びることを選び、証人保護プログラムに登録することに。彼の証言のせいでポーリーもジミーも死ぬまで獄中に繋がれることになります。命は助かったものの、ヘンリーはこれまで得てきた全てを失い、報復に怯えながらこそこそと日陰に隠れて一生を過ごすことに。
「ファミリー」「グッドフェローズ」「ワイズガイ」というワクワクと心躍る言葉も結局は虚飾でしかなく、一旦自分の身に危険が迫ると自己保身第一で仲間の命も虫けら同然。そんなチンピラたちのみっともない実態があからさまとなり、映画は幕を下ろします。本作の登場人物にはいい奴も賢い奴もいませんでした。
wikipediaによると、マフィアには「血の掟」と呼ばれる十戒があるそうです。
1. 第三者が同席する場合を除いて、独りで他組織のメンバーと会ってはいけない。
2. ファミリーの仲間の妻に手を出してはいけない。
3. 警察関係者と交友関係を築いてはいけない。
4. バーや社交クラブに入り浸ってはいけない。
5. どんな時でも働けるよう準備をしておかなくてはならない。それが妻が出産している時であっても、ファミリーのためには働かなければならない。
6. 約束は絶対的に遵守しなければならない。
7. 妻を尊重しなければならない。
8. 何かを知るために呼ばれたときは、必ず真実を語らなくてはならない。
9. ファミリーの仲間、およびその家族の金を横取りしてはならない。
10. 警察、軍関係の親戚が近くにいる者、ファミリーに対して感情的に背信を抱く者、素行の極端に悪い者、道徳心を持てない者は、兄弟の契りを交わさないものとする。
準構成員にももちろんこの掟は適用されます。クラブに入り浸り、ボスに尋ねられたことに嘘をつき、妻と別れようとしたヘンリーはいくつも掟を破っています。ボスから見れば、ジミー、トミー、ヘンリーの3人は上納金を収めてはくれるものの掟を守らない厄介者に見えたことでしょう。1970年に制定された組織犯罪対策法(RICO法)とアイルランド人ヘンリーの裏切りがボスの命取りとなってしまいました。50〜60年代の黄金期に比べ、マフィアも生きづらい時代になってしまいました。
後に『ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア』のクリス・モルティサンティ役で有名になるマイケル・インペリオリがほんの端役で顔を出しています。
マフィア下部の生態
レビューの評価が高いので初めて視聴。実話に基づいたストーリーということだが、ギャングが、どのようにお金を稼いでいるのか、どんな生活をしているのかがわかった。実話ということもあってか、普通の人が汗水たらして稼いだり、我慢しているところを、一瞬で超えて、悪事をして気儘にド派手な生活をしているので、胸糞が悪くなる思いがした。
評価が高い人は、爽快感を覚えるのだろうか?実話を基にしているだけに、余計、陰惨で救いようがない人種だと感じた。結局、自分には合わないタイプの映画なのだろう。
強奪にしても、殺人にしても、浮気や妻との諍いにしても、ノリと軽い感じで描かれていて、それがストーリーに独特のテンポを生み出しているように感じた。
ルフトハンザ航空から600万ドル強奪して、暫くはお金を使わないようにというジミーの指示を破って、多くの手下が豪勢な買い物をしたのを見て、バレるのを恐れて殺していったのには恐怖を覚えた。仲間だろうが何だろうが、自分が一番ってことか。
スタンリーが、最後、ポーリーもジミーをも裏切って、彼らを売って証言をしたのに、グッド・フェローズ?って。結局、金と自分の保身が全てなのかと思ってしまった。
でも、今のアメリカも稼ぎ方は違うが、同じようなことをやっていると思っている。これが、ギャングがアメリカという国の本質なのかもしれない。
ブルックリン少年愚連隊
レイ・リオッタの瞳の色気と、幼さ朴訥さを感じさせるあばた面のギャップが良い。それがそのまま、人をたらして計算高い一方で、場当たり的でもあるヘンリーのあり方を体現していると思った。ヤクを売りさばくのはいいが人殺しはドン引きだぜぇ、みたいな。
違法販売、強奪と来てあれが足りないんじゃない?と思った瞬間にヘンリーが錠剤を飲みだして、なんてピタリと計算された演出なのだろう、と感心。
『ター/TAR』みたいな、取り繕いからの破滅と見せかけてどっこい生きてる系映画。
全体に音楽が印象的だが、最後のマイ・ウェイの使い方が特にいい。
ガキの頃からギャングになりたかった
ギャングに憧れ、組織の一員となるヘンリーを、ジョン・トラボルタ(2/3)と若い頃のジョニー・デップ(1/3)をミックスしたような顔立ちのレイ・リオッタが演じる。
ギャングの生き様がリアル( 知りませんが…。 )に描かれ、ヘンリーの心の呟きが興味深く飽きさせない。
ロバート・デ・ニーロの仕草全てがセクシー。
実話を基にした作品で、題名の「 グッドフェローズ 」が深い。
ー仲間を売るな。口は閉じておけ。
ーボス達に話をつけてから殺らないと、こっちが消される。
ー幹部になれるのは生粋のイタリア人だけ。祖国の親類まで調査されるんだ。
テレ東を録画にて鑑賞 (吹替版)
ヘンリーがマフィアに入り犯罪を重ねてこの映画が出るきっかけに至るまで
2時間25分と映画は長い。結論として悪くは無かったが途中でだれるところも多く、途中で止めて翌日、その翌日に途中から再開して見るという感じだった。だれた理由は長いのもあるが、主人公ヘンリーヒルはマフィアの一人といえども凡人的な所があって感情移入できる素地をもってはいるが自業自得な事をする姿を見せるだけで視聴者が心をポジティブに動かされるようなスタンスや意志が無いからだと思う(しかしそれはこの作品がドキュメンタリーという形式上どうしようもないことだ)
マーチン・スコセッシ監督(タクシードライバー、ディパーテッドの人)とマフィア物ということに引かれて視聴することにした。ディパーテッドを見た時のバイオレンスの鮮烈な印象がこの作品においても他所で見られた。そういうのが苦手な人は見ないほうが良い。
登場キャラで強く印象に残ったのは、グッドフェローズのボスポーリーと、イタリア人サイコパス、トミーだ。最後にポーリーもしょっぴかれてしまったのは気の毒に思えた(ポーリーはヘンリーの父親的な存在だったため、恩を仇で返すことになった所と、ポーリーは薬の売買はやってなかった所、人殺しにかかわることは少なくとも作中ではなかったことから悪い人には見えなかった)。トミーについては最初に酒の席でチンピラ感(癇癪持ちのプライド高い男で少し機嫌を悪くしたら何をするか分からない)が出ていたが、その後の彼を見ていて、最後に彼がああなったのはやっとか、もう少し早くいけよと思えるくらいだった。
彼らの印象に対して(ポーリーはあまり露出がなかったため、彼が居ることによる主人公への感情移入を伴った劇中を通した安心感という印象だけではある)、他はあまり印象に残らなかった。ジミーは最後は主人公に対して危険な存在になっていったが、トミーと違って常識的な範囲で自分を守るための策謀だったので地味だったし、主人公は薬におぼれてからは、妻との不和を見させられても感じていた彼への自業自得感が増していったので、この作品を楽しむための主人公への視聴者の感情移入は元々無理だから面白くなくてもドキュメンタリーだからしょうがないのだろうと思った。それでも悪くはないと思った理由は、ヘンリー周りの破天荒な人たちの行末を最後まで見届けたいという思いがあったからだと思う。
最後にもう一つ。41分くらいの所でヘンリーと奥さんの結婚式があり、その場面でヘンリーが白い布に包まれたワイングラスを右足で踏み、神父に「マザエルトフ(Mazel Tov)(おめでとう)と言う場面があり、知らない文化だったので珍しく印象に残った。調べるとどうやら奥さんがユダヤ系であるため、こういうユダヤの伝統を持つ結婚式をあげたっぽい。ヘンリーもこの時白いキッパという帽子をかぶっている。
刹那的な生き方は共感出来ないけれど
いつものリバイバル上映シリーズで、ロバート・デ・ニーロが出演している、と確認しただけで、あまり内容は知らずに鑑賞してみました。
ロバートはギャング?マフィア界隈ではまだ29歳でもレジェンドになり周りから既に一目置かれている兄貴的存在で、
そんなロバートやギャング、裏社会に憧れていた少年の、大人になるまでの実話を元にした映画でした。
街で悪さ?をして一目置かれるようになると、パン屋でも並ぶことなく店主のほうから注文を聞きにきてくれる存在になれる、ということが主人公にはステータスの1つのようでしたが、
並ばなくていいほどの「大物」として畏怖、尊敬されているからではなく、ギャングの下っ端、若い連中となるとさっさと店から出てほしいから、厄介を起こす可能性が高いから特別扱いするだけのことで、少なくとも尊敬されたりした上でのことでなく、厄介者を早く立ち去らせたいだけの実は塩対応ということに、長いこと主人公は気づかず、
「俺はパン屋でも店主のほうからわざわざ注文を聞きにきてくれるほどの大物なんだぜ!!」とドヤ顔で彼女に自慢するような残念な人でした。
でも最後には麻薬に手を出して麻薬捜査班に目をつけられ、法廷で証言し、マフィア稼業から足を洗えば「法廷参考人」「証言者」として警察から保護を受けられるという、主人公からするとなんとも皮肉な顛末となり(まぁ自業自得なんですけど)
人生の後半は
「普通にパン屋に並ぶ一般人」
になって無難な人生を送ります。
私達からすれば、いつ抗争などで怪我やあるいは簡単に殺されてしまうか、とか逃げることも考えたり、電話は警察に盗聴されると困るから使えない、とか、
泥棒などで一時的な大金を手にしても常にビクビクしてなきゃいけない、次にいつ収入があるかも分からない刹那的な生活のほうが嫌ですが、
まぁ場合によっては取り締まりや法廷のことも警察を買収してその場ではそれなりにのうのうと生きていけちゃう面もあると、主人公にはマフィアだかギャングだかのほうが何故か魅力的なようでしたが。。
主人公がそもそも子どもの頃からカタギは嫌だ、と思っていた確固たる理由はよく分からなかったので生き方そのものは共感出来ませんでしたが、こういう人物も実際にいたんだな、と知ることは出来ました。
そして演技としてはやはりロバートはこういう役、はまり役なんだなぁと実感。映画そのものに重厚感を持たせる重要人物として、ロバート・デ・ニーロの演技を堪能出来て良かったです。
とてもよかった
公開当時映画館で見て、その後イベントでタダで見れる機会があったのだけど、映写機が暗くてこんな環境で見るのはよくないと思って途中でやめた。他にも1~2回見てると思う。彼女が拳銃をもらってゾクゾクしたとか、奥さんたちの集まりの場面など印象深い。今回はTジョイで音がすごくでかくてよかった。
大物たちが刑務所の中で料理したりお酒を飲んだり快適すぎる生活を送っている場面が最高。
口を割らず仲間を売らず、刑期を務めて仲間として認められるのに、最後の最後は仁義もクソもなくなってしまう。
とあるwiseguyの賢い生き方。これはもう一周まわって喜劇だわ…😅
実在したニューヨーク・マフィア、ヘンリー・ヒルの半生を映画化。
裏社会を生きるヘンリーが如何にして成り上がり、そして没落していったのを描いたギャング映画。
監督/脚本は『タクシードライバー』『キング・オブ・コメディ』の、レジェンド監督マーティン・スコセッシ。
ヘンリーの兄貴分であるマフィア、ジミー・コンウェイを演じたのは『ゴッドファーザー PartⅡ』『タクシードライバー』の、スコセッシ作品に数多く出演するレジェンド名優ロバート・デ・ニーロ。
ジミーと一緒にルフトハンザ航空現金強奪事件を起こしたならず者、スタックスを演じたのは『星の王子 ニューヨークへ行く』『ドゥ・ザ・ライト・シング』の、名優サミュエル・L・ジャクソン。
また、無名時代のヴィンセント・ギャロがエキストラとして参加している。多分ジミーの仲間のマフィアの1人だと思う。
👑受賞歴👑
第63回 アカデミー賞…ヘンリーの相棒であるトミーを演じたジョー・ペシが助演男優賞を受賞!
第47回 ヴェネツィア国際映画祭…銀獅子賞(最優秀監督賞)を受賞!
第16回 ロサンゼルス映画批評家協会賞…作品賞と撮影賞の2冠を達成❗️
第56回 ニューヨーク映画批評家協会賞…作品賞を受賞!
第44回 英国アカデミー賞…作品賞・監督賞・脚色賞の3冠を達成‼️
『ゴッドファーザー』などの華やかなマフィアの世界とは違う、末端の構成員たちの姿を描いた実録系の映画。
ヘンリー・ヒル本人のインタビューに曰く、「99%真実」の物語らしい。
本作の特徴として、綺麗な起承転結の四幕に分かれていることが挙げられる。
まずは第一幕として、ヘンリー少年がマフィアとして認められるまでを描く。
この第一幕目に描かれるあれやこれやが、最終的に全て伏線として活きてくる構成は天晴れ☀️
最後まで観ると、マフィアの大幹部ポーリーが何故電話を嫌ったのか、何故身内すらも信用しなかったのかがわかる。
そして、子供の頃は仲間を裏切らなかったヘンリーが…、という円環構造も見事の一言。
第二幕では、成長しマフィアとして成功を収めたヘンリーの絶頂期と、幹部殺しに関わってしまったことによりその絶頂に翳りが見え始めるまでが描かれる。
この第二幕でも気になるやり取りがある。
真夏に毛皮を掻っ攫ってきたヘンリーに対し、冷凍室で肉と一緒に吊り下げておくよと答える取引先。後半、ジミーの教えを破りミンクの毛皮を買った仲間の死に方が…。
ヘンリーの妻カレンが他のマフィアの妻たちをみて、自分はこうはならないと発言するが、最終的には…。
こういう何気ない描写が後々の展開を暗示しているという、フリとオチが本当に上手いなぁ…。惚れ惚れしちゃう。
クラブ「コパカバーナ」のコメディアンのジョークが「妻をお客さんにあげてもいつも帰ってくる」「半年の余命宣告を喰らったが、医師に金がないと告げるともう半年余命が伸びた」というものだったのも、なんとなくその後の物語を示唆しているような気がする。
第三幕では、逮捕されたことによりご法度である麻薬の取引に手を出すヘンリーから、ジミーの残虐な行い、幹部殺しがバレて始末される相棒トミーの姿が描かれる。
ここまで来ると、もはやこの物語には希望がないことは誰の目にも明らか。
一体ヘンリーとジミーはどのように身を滅ぼしてゆくのか?そのことが観客の興味をそそる。
正直、第三幕の途中までは割と退屈しながら観ていた。
今やクラシックとして映画史にその名を残す名作という扱いではあるが、今観てみると結構スロウリィなテンポで淡々と物語が進む。
幹部であるバッツを殺す件はドキドキしたし、その始末をしている途中でトミーのお母さんと仕方なくディナーを食べる件はかなり笑えたのだが、それ以外のところは事実の羅列と言った感じがしていまいちノレなかった。
しかも、歴史上最大の現金強奪事件であるルフトハンザ襲撃はまさかの全カット。えっ、そこ描かないのかよ!?とマジで驚いた、というか肩透かしをくらった。
しかししかし、一番大事なことはルフトハンザ襲撃事件ではなかったということがその後わかる。
真に大事なことはジミーとトミーが分け前をケチる為に仲間達を次々と殺していくところにあったわけだ!
ここに、自分のファミリー以外の人間にはどこまでも冷徹になれるマフィアという人種の異常さ、そしてこの異常さにもはやついてゆくことが出来なくなっているヘンリーの姿が浮かび上がる。
何故、組織に尽くしているジミーではなくトラブルメーカーであるトミーが幹部になれたのか?そしてそれをジミーも認めているのかが明かされるのもここ。
イタリア系じゃないとマフィアの中では成り上がれないという、絶対的な人種主義こそがマフィアの掟であることが観客に告げられる。
組織の中と外という決定的な差と、組織の中でもイタリア系とそれ以外とで決定的な差が存在しているということが並列的に描かれており、末端の構成員として存在し続けるしかないというヘンリーとジミーの悲哀が、ならず者たちの死屍累々の様によって表現されているようでもある。
そして結びとなる第四幕。
ラリっているヘンリーの視点を表すかのように、忙しなくカットが変わり、これまでとは打って変わったかのようにスピーディーでぐちゃぐちゃな出来事が怒涛のように展開される。
麻薬取引がポーリーにばれて破門され、命の危険も迫るヘンリーの状況はまさに最悪…💀
でも、もうここまで悪くなっちゃうと笑うしかない。そりゃヘンリー本人にとっては悲劇だろうが、観客からしてみればこれは完全に喜劇。
鑑賞中、にやにやした笑いが止まらなかった😆
そして、命を守るために兄貴分のジミーや恩人であるポーリーを軽々と売ったヘンリーの、その薄情っぷりと言ったら!
マフィアに憧れて、決して仲間を売らなかったかつての姿はここにはない。
「なんか悪いんか!?生き残る為じゃい!」とでも言わんばかりのカメラ目線での演説は強烈!
そのまま雪崩れ込むようなエンディングは痛快ですらある!!
起承転結の「結」で、これ程までにこれまで積み重ねてきたものをひっくり返した作品ってある!?
ダラっとしたこれまでの展開すら、最後のためのフリだったのかよ!
マフィア映画の傑作として、今に至るまでその名を残し続けている理由がわかった。
暴力の緊張の中に、カツラがズレたりとかライオンが出てきたりとか、そういう笑いの緩和があるところもポイントだと思う。暴力描写が苦手な人でもすごく観やすいバランスになっていると思った。
あと述べるべきなのはやっぱり音楽の使い方ですわな。
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』や『ジョーカー』にも引き継がれた、音楽で物語るという手法は本作で確立されたとか。
残酷な死体の場面に、「いとしのレイラ」のメロディアスなサウンドを流すというのは本当に凄いインパクト。
個人的に好きなのはやはり第四幕での音楽の使い方。
カオスな展開の背後で流れるのはジョージ・ハリスンの「美しき人生」、そしてそこからクリームの「サンシャイン・ラブ」❤️
ロック好きにはたまらないコンボ!!
エンディングはシド・ヴィシャスの歌う「マイ・ウェイ」!
この映画にシナトラじゃダメなんだよなぁ。シナトラがマフィアと繋がりがあったということを加味しても、やっぱりここにはシドの破滅的な歌声でしょう。
「俺の人生終わったわ…」と嘆くヘンリーに対し、「これが俺の生きる道だ!」という歌詞をぶつけるこの破壊的パワー!花丸あげちゃう💮
巨匠の作品ということでもっと真面目なマフィア映画かと思ったら、凄くエネルギッシュな作品でした。
これはどれだけ時代が経とうが、クラシックとして語り継がれてゆくでしょう!
感動のシーンがあまりない
感動や記憶に残るようなシーンやセリフがなかった。
ギャングを描いた作品だが、ギャングというよりチンピラかな?
無駄に人殺しもするし、麻薬にも手を出すし、愛人や奥さんにも麻薬をやらせるような
話をスリリングに描いただけ。
そしてスコセッシはいつもつくりが下品。
チンピラ風主人公
総合75点 ( ストーリー:75点|キャスト:80点|演出:75点|ビジュアル:70点|音楽:70点 )
根っからの犯罪者たちが勢揃いで他人の迷惑などおかまいなしに好き勝手に生きている。盗みだけでなく殺しもする。若いときに観たときは所詮は映画だと気にもしなかったが、本来は唾棄すべき人々で今観ると好きになれなくていらいらした。『ゴッドファーザー』の時はそんなこともなかったし登場人物の立場を理解し共感も出来たのだが、本作の場合は登場人物がチンピラ風なのが気に障る。
でもそんなことは置いておいて、実際の犯罪者はこんなものなのだろうし役者の演技は良かったので、良きにつけ悪しきにつけ登場人物たちの存在感はあった。主人公のレイ・リオッタより、デ・ニーロとジョー・ペシがさらに目立っていた。上がり下がりの激しさがあるのは職業上やむを得ないが、仲間を売って危機を脱して平凡な生活に不満を示す主人公はやはり暴力団員が染み付いている。
マフィアはやっぱこえ〜
ゴッドファーザーの次にマフィアもので良いと聞き鑑賞。
いやーギャングは恐ろしい笑
真面目な考えをもっていたらこの世界ではやっていけないなと感じた
最初、幸せそうな奥さんもギャングの世界に入るにつれ、いつも泣く運命になるのが見ていてかわいそうと思った。
確かに長蛇の列を並ばず特等席でショーを見れたり、お金をたくさんつかって洋服やら家やら買ったり、普通と違った生活は刺激的でいいけど、そこには安心できる幸せはないんだなと改めて感じました。
完璧な疾走感
ギャング映画の金字塔。
一人のギャングが成り上がって、最後に没落していくまでを描いた作品。
本来ならこういう作品は重々しかったり、ギャング映画特有の長ったらしさがあるものだが、この映画ほど悲惨な状況をコミカルに、軽快に表現できるような作品はなかなか無いのではないかと考える。
主人公が没落し始め、窮地に追い込まれれば追い込まれるほどに、物語のスピード感が増していき、ラストに結びついていく。
ラストシーンでフェードアウトしながら流れてくるシドヴィシャスのMy Wayで飾るラストはこれまで見てきた中で最もクールなラストとして心に残っています。
怖すぎる
裏の世界に一度でも入り込んだら二度と抜け出せない。そんなことを教えられました。
題名であるグットフェローズ、、仲間っていうのはこういうものなのか、、
気に入らないことがあれば、自分たちを裏切れば、容赦無く殺す。そんな映画が99%実話なんだから怖すぎです。
なかなか良かった
マフィアの話。最後のジミーやポーリー達が捕まった時、裁判でヘンリーは情報をCIAに言って裏切ってしまった。そこはたとえマフィアでも仲間なんだから裏切らないでほしかった。
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