グッドフェローズのレビュー・感想・評価
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ニューヨーク裏社会見物ツアー
「午前十時の映画祭」で鑑賞。
オープニングからつかみはバッチリ。軽快なBGMとともに、観客を一気にニューヨークの裏社会に引き込む手際は、さすが名匠スコセッシ。
モノローグの手法と、流麗なカメラワーク。そして全編にわたってポピュラー・ミュージックが効果的に使われ、テンポよく物語は進んでいく。
そして、デ・ニーロ。彼がそこにいるだけで――たまらない、超カッコいい、作品の値打ちがぐっと上がる気がする。並の役者にここまでの凄みは出せない(たしかにジョー・ペシの演技も強烈な印象を残すが、この作品の価値を上げているのは間違いなくデ・ニーロである)。
中盤ちょっと失速気味に感じた(主人公が明確な目的を持っていないストーリーを、退屈させずに見せるのはなかなか難しいですね)けれど、終わってみれば、ニューヨークの裏社会見物ツアーに参加したようで、かなり楽しめました。ワルの世界、映画で観ているぶんには、いくらでもOKです。
昔、村上春樹のエッセイの中で、ドアーズのジム・モリソンの歌唱を評して「肉の焦げる匂いがするようだ」というようなことが書いてあったけれど、まさにスコセッシのこの映画も、そんな焦げた匂いのしてくるような、ザラリとした感じを観る者に与えるワイルドな作品です。
それにしても「義理と人情」の世界に生きて、自分の命惜しさにそのどちらも捨ててしまったヘンリー。ちょっと情けないような……。
"goodfella"
午前十時の映画祭改め、午前8時30分の映画祭にて初スクリーンで久々に鑑賞。
少年時代から主人公を描くテンポの良さが気持ち良い位にスピーディーで全く飽きさせない、古き良き時代の50年代から70年代のアメリカと流れる音楽にオールディーズが小気味良く、DerekandtheDominosの"いとしのレイラ"の使い方の斬新さにエンディングはシド・ヴィシャスの"MyWay"で最後までテンションは上がりっ放し。
ジョー・ペシとボッコボコにするデ・ニーロの蹴り殴るようなキックの応酬、ケント・デリカットみたいな眼鏡にカツラのおっさんに対する冷たい態度、基本的には周りの状況に困り果てる表情ばかりで損な役回り。
マフィアの怖さを描いているイメージよりも、そんなマフィアの日常を面白おかしく痛烈で滑稽な薄情極まりない人物として、皆自分の身を守る為に四苦八苦する姿がコメディ映画に思えてくる。
良い思いを沢山しながらも散々な目に遭い命からがら逃げ延びて平穏な日々を取り戻した割には全く懲りていないような態度、一般市民として退屈な日々を残りの人生とヤクザな世界に思いを馳せながら。
日に焼けたポール・ソルヴィノは梅宮辰夫ソックリで、実録ヤクザ映画にピッタリ過ぎる。
マイウェイ
マフィアのかっこ悪い姿を描いた作品
ギャング映画というとかっこいい姿ばかりが描かれますが、この作品では証拠隠滅のために死体を埋めたり警察に捕まるのに怯えたりと、かっこ悪い姿をちゃんと描いていてリアリティがあると思います。
わたしの父がかつて暴力団を取り締まる仕事をしていましたが、現実のヤクザはいつ逮捕されるかわからなくてビクビクしていると言っていました。きっと海外のギャングも同じなのでしょう。そういう側面を描いた点で、他のクライム映画とは一線を画する作品だと思います。
しかし、ストーリーは単調で面白みにかけるのも事実です。伏線やどんでん返しがあるわけではなく、深いテーマもない。もちろん史実に基づいた話なので仕方ないのですが、せっかくの豪華キャストがもったいないなと思いました。
マフィアに憧れた男
あのマフィア映画が封切られた頃のアメリカ
空気感が好きな映画
空気感が好きな映画。
野蛮さと律儀さとマヌケさ。そんなのを延々と終わりなくやってる人たちを眺めるだけ。目的もなくガヤガヤやってるだけなのになぜか浸れる。ストーリー性に固執しないで成立する演技や演出を観賞できるレアな映画だと思う。全体の流れよりここっていうシーンで語りたくなるような。
個人的には、序盤の店でジョーペシがリオッタに「なにがおかしい」と突然噛みつく、あれ。ジョークで大盛り上がりの場が一気に凍り付く。あの空気が一瞬で張り詰める感じがリアルでゾクゾクする。怖い先輩にやられたことあるからあの感じすんごいわかる笑 そういうピンとくるシーンが随所にある。
内容的には少し幼稚なところもあるので、ゴッドファーザーみたいに何度見にも耐えるという作品ではないかもしれない。でもまあ好きなもんは好き。
渋さと愛嬌あふれる漢たち
映画の技巧としての巧みさに感嘆と感動をさせられますが、大衆が求めるカタルシスは与えてはくれません
ゴッドファーザーがマフィアのオペラなら、本作は実録もの
原題のGoodfellasは舎弟くらいの意味だそうです
1955年から原作の現代である1980年代までのニューヨークのマフィアを主流にはなれないアイルランド系の主人公の目を通して描いています
同時に当時の時代性を反映したヒット曲とリンクした米国の裏社会史となっています
それなりに山場はありますが、大きな起伏のある物語でもなく、ただただダラダラと主人公が不良少年からチンピラ構成員となり、やがてひとかどの組員となっていく、それだけのお話です
しかし145分とかなり長いのですが、それ程長さを感じさせません
構成、テンポ、演出の力が全編に満ちていて、監督の意識が一瞬たりとも弛緩せず張り詰めています
それがこの長い映画を私達観客もラストシーンまで、このダラダラした物語を飽きずに観続けさせてくれるのです
そこがスコセッシ監督の凄さです
腕というか実力を心底感じさせます
トミー役のジョー・ペシの怪演は物凄いもので、印象に特に残ります
アカデミー助演男優賞の受賞も当然です
あの1931年の名作「犯罪王リコ」のエドワード・G・ロビンソンが現代に蘇ったかのようです
主人公の目を通した、トミーの物語として観るとマフィアの盛衰という一つの大きな物語となっているのは見事だと思います
ただ、そうした映画の技巧としての巧みさに感嘆と感動をさせられますが、大衆が求めるカタルシスは与えてはくれません
マーティン・スコセッシ作品という作品
マフィアの中からの物語
スコセッシお得意のギャング映画
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