禁断の惑星

劇場公開日:1956年9月8日

解説

地球外の惑星を材にとった空想科学スリラー篇。アーヴィング・ブロックとアレン・アドラーの原作から「誘惑」のシリル・ヒュームが脚色、「山荘物語」のフレッド・M・ウィルコックスが監督に当った。撮影監督は「蜘蛛の巣」のジョージ・フォルシー。特殊技術はアーノルド・ギレスピイとウォーレン・ニューカム、これにディズニイ・プロからアーヴィング・G・リイスとジョシュア・メーダが協力、全面的に使用される電子音楽の担当はルイスとビーブ・バロン夫妻。主演は「重役室」のウォルター・ピジョン、「暴力教室」のアン・フランシス、「誘拐」のレスリイ・ニールセン、その他ウォーレン・スティーヴンス、ジャック・ケリーなどが助演する。

1956年製作/アメリカ
原題または英題:Forbidden Planet
配給:MGM
劇場公開日:1956年9月8日

あらすじ

西暦2200年、高度に文明の進んだ地球人は、他の遊星に植民を行い、光より速いスピードの原子艇で宇宙を駈けめぐる。アダムス機長(レスリイ・ニールセン)の遊星連合、宇宙巡察機Cー57ーD号は惑星第4アルテアに赴く。艇の任務は20年前、この惑星に派遣・消息を絶った科学者の一団を探すことだった。惑星には、科学者団の一人、哲学、文学博士で言語学者のエドワード・モービアス博士(ウォルター・ピジョン)だけが生き残っていた。彼はこの惑星で生れた娘アルティラ(アン・フランシス)と、彼の造った精巧なロボットを使って生活していた。アルテアにはかつて強大なクレール人が住み2万年以上前の全宇宙を支配、アルテアを不可侵の星“禁断の惑星”としていた。調査団はその怒りにふれ皆殺し。しかし人類より数百万年も進化したクレール人は、精神内部の完成直前、一夜にして滅亡してしまった。博士は一同をクレールの遺跡、原子物理研究所へ案内する。アダムスは感嘆の末、その設備を地球に持ち帰りたいと申し出たが、博士は反対しアダムスらに、早く地球へ戻れという。しかも、ある夜現われた怪物は隊員の一人を殺し、やがて原子艇を襲った。応戦する隊員も怪物の敵ではない。博士の言動を疑うアダムスらは不在中書斎を調べ、彼の秘密を知る。20万年前滅びたクレール人の残した怪物、いわば“観念の具象化”ともいうべき、考えたことが直ちに実現するという存在に博士は“悪”の面を利用隊員を襲わせたのだった。秘密を知られ、心の平静を失った博士は誤って怪物に襲われる。彼は娘の命を助けるため連鎖反応で実験室を破壊し博士と怪物、そしてアルテアは永久に宇宙から消滅。アダムスの艇はロボットのロビイとアルティラを乗せ、爆発寸前に辛うじて惑星から脱出した。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第29回 アカデミー賞(1957年)

ノミネート

特殊効果賞  
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映画レビュー

3.0 ロビーだ!実はハードSF⁉

2025年9月29日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

知的

驚く

斬新

子供のころまだ70年代、離島の僻地で文物少なく、母の実家にあった叔父のだろうか少年誌に『ロビー』が載っていて「これ何だろう?凄いなぁ!」と行くたびに眺めていたおそらく雑誌自体は50年代後半ではないだろうか?まぁタコ足の火星人かロビーかというぐらいSFの代表イメージだったわけです。今回そういう想い出のロビーの実物を観ることができてうれしかった。採点が辛いのは時代性を加味しての点数で逆に私はその時代性が嬉しかったので個人的には4点ですが...そこは中立に....

加えて1950年代の作品にもかかわらず、ヒロインがらみのエピソードがサービスで入っているとはいへ、映像のすばらしさセットの凄さハードSF的な種明かし(ボトムズとかイデオンとかを思い出しました)、驚きました。

そりゃCG全盛の今からみたらいくらでもつっこめるけど昭和の怪獣ものやウルトラセブンと一緒でこれはこれで味わいありますよね~

※上記で揶揄しているような書き方をしてしまいましたが本作の作品としての魅力の大部分は間違いなく「アン・フランシス」の美貌で成り立ってます、間違いなし

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金北山を仰ぎ観て育って

4.0 空想科学映画の名作‼️

2025年8月13日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

楽しい

怖い

興奮

ネタバレ! クリックして本文を読む
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共感した! 8件)
活動写真愛好家

4.0 【”潜在意識の怪物”今作は、円谷プロもビックリの、1956年公開のハイクオリティスペースSFムービーである。宇宙を舞台にしながら、人間の業をベースにした作品構造も可なり深い作品である。】

2025年7月21日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

興奮

難しい

■西暦2200年。
 人類が地球外の惑星へ移住を開始した時代。
 怪電波を受信したアダムス機長の宇宙船は、20年前に消息を絶ったベララホン号が着陸した惑星・アルテア4へ降り立とうとするが、生き残りというモービアス博士から”着陸するな、命に危険が及ぶ。”と警告を受けるも、アダムス機長は着陸を決行する。
 するとモービアス博士とその娘アルタがロボット、ロビーと共に精密な設計による施設の中で生きていた。

◆感想<Caution!内容に触れています。>

・まずは、数々のSFガジェットの精巧さや、宇宙船内部の構造の精緻さに驚く。円谷プロのウルトラマンが1966年にTV放映されて、絶大な支持を集めたそうであるが、今作はナントその10年前の公開である。

・光線中のビームなど、円谷プロはスペシューム光線造形の際に参考にしたのではないかな、と思った程である。
 ロボット、ロビーの造形や、アイザック・アシモフのロボット三原則をキチンと守らせつつ、食料や酒を拡大再生産する構造なども非情に秀逸である。

・更には、物語構成も予想の遥か上を行くもので、秀逸である。惑星の絶滅した先住民”クレル”の文明の高さを途中から挿入しつつ、彼らが絶滅した理由”潜在意識が作り出した怪物”に隠された意味。

・そして、”IQ増幅器”と言う、コレマタSFガジェットとしては魅力的な機器を使うシーンなどもチープさはない。

■モービアス博士が、潜在意識で憎悪する者に対し、見えない怪物を創り出していたという事実と、その怪物の描き方が、コレマタ秀逸なのである。吃驚だなあ。

<今作は、円谷プロもビックリの、1956年公開のハイクオリティスペースSFムービーなのである。宇宙を舞台にしながら、人間の業をベースにした作品構造も可なり深い作品でもある。>

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共感した! 5件)
NOBU

3.0 危うかった

2025年7月8日
PCから投稿

ヒロインも映画の出来も科学考証も。すべてもギリギリうまくかわして、うまくまとまった。映画というものはうまく終ってしまえば、勝ち。・・というのは21世紀になってから見た人たちの感想で、これが公開当時の人々にとってはすごいインパクトと感動だったんだろうな。というのは想像にかたくないね。
特筆すべきなのは、この映画はゲド戦記が書かれたのよりも十年以上も古いという点。偉大な作品も先人のヒントの上にできるのですね

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KIDOLOHKEN