「戦争は映画ではない」キリング・フィールド　KIDOLOHKENさんの映画レビュー（感想・評価）

『キリング・フィールド』は、戦争のリアルを最も忠実に伝えた映画の一つだと思う。私は実際のこの戦争を知らず、本当の姿を理解しきれてはいないが・・

作中で主人公が出会う医者の人物にどこか希望を託していたが、彼はあっさりと撃たれて死んでしまった。ヒーローなど存在しえない・・その容赦のなさに、戦争の現実の残酷さを強く突きられて当時まだ若かった私は非常にショックを覚えた。

そして後半、主人公が取材で受賞する場面でも、物語は安易な成功談にはならない。彼は戦争の中で、自分だけが良い思いをしてしまったのではないかと苦しみ続けている。その罪悪感や重荷が、彼の笑顔の裏側にずっと張り付いている。華やかな賞の場面でさえ、消えることのない喪失と罪責が影のように寄り添っているのだ。

結果として、この映画は「戦争の悲惨さ」と「生き残った者が背負い続ける重さ」を両方描き、世界に一石を投じたんだと思う。