「罠だらけの空間に敷き詰められた、謎また謎」CUBE かせさんさんの映画レビュー(感想・評価)
罠だらけの空間に敷き詰められた、謎また謎
世界中で大ヒットした、ソリッド・シチュエーションホラー。
【ストーリー】
——目がさめると、そこはキューブの中だった。
警察官のクエンティンが目ざめると、そこはおよそ4m×4mの、6面全てに同じ扉のついた異様な正六面体の部屋だった。
一つずつ扉を開けてゆくと、まったく同じデザインの部屋に、個性様々な男女が同じように軟禁されていた。
ピリピリした精神科医のハロウェイ、大学で数学を学ぶ女学生のレブン、くたびれて口も開きたがらないワース、そして脱獄囚のレン。
閉鎖された場所でのふるまいに慣れているレンを先頭に、次々と部屋を移動していた彼らだが、不用意に入った部屋で、レンが硫酸を浴びて死んでしまう。
この正六面体の連続には、多種多様な必殺の罠が仕掛けられている部屋がいくつもあったのだ。
クエンティンはパニックになる集団をふるいたたせ、みんなの知識を総動員して謎を解き、この異様な建造を脱出すべく行動するが……。
カナダ制作。
『ソウSaw』と並ぶソリッド・シチュエーション・ホラーの金字塔。
部屋が一つあればお安く撮影できるからか、発表後に山のようなフォロー作品が生まれたことでも知られています。
いやいや7年後に作られたソウこそこのキューブのパクリ、ゲフンゲフン、オマージュ的作品と言ってもいいでしょう。
とはいえあんまり使いやすいの導入なので、似たような作品が山ほど作られて、一つのテンプレートとなってしまいました。
今さらそんな指摘する方が野暮ってもんです。
この謎だらけの空間を誰がなぜ作ったのか、この作品ではまだ語られません。
残酷な罠の部屋の見分け方とその避け方、そして出口さがしのみに、ストーリーはフォーカスされます。
大学生のレブンが高い数学分析能力を駆使して暗号らしき数列を解くと、そこから物語は急展開します。
途中から仲間に加わった自閉症のカザンが、サヴァン症候群特有の天才的な数学能力を発揮して、レブンすら解けない暗号を暗算で突破してゆくあたりは見どころですね。
当初リーダーシップを発揮していたクエンティンが、パワハラ野郎の本質を見せはじめ、内紛の末に死者が出てスリラー色が強くなるあたりも、逃げ場のない空間に閉じこめられた怖さを加速させます。
意識が戻ったら異様な場所にいて、否応なしにデスゲームに参加させられるという魅力的な冒頭シチュエーションを開発した、今や一大ジャンルの始祖となった作品。
痛そうなホラー好きには必見ですよ。