季節のはざまでのレビュー・感想・評価
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ダニエル・シュミット監督作
早稲田松竹にて鑑賞。(ダニエル・シュミット2本立て)
ダニエル・シュミット監督作『デ ジャ ヴュ』に続けて観た2本目だが、過去の世界を垣間見る……という点で、よく似た作品の2本立て🎥
物語は、取り壊し予定のホテルで少年時代を過ごした男ヴァランタン(サミー・フレー)が、売店の売り子だったオバサンから「ミッキーマウスの本、35年分(…だったかな?)があのホテルの『海の見える部屋』にあるから取って来て」と頼まれて、ホテルにやって来る。
そして、自分が子供の頃の記憶が甦って、その世界(子供の頃の過去の記憶世界)と現代を行ったり来たりする映画。
少年時代のヴァランタン(カルロス・デヴェーザ)は“世界一の美女”に眼が釘付けとなるが、観ているこちらも確かにその女性が本当に美人なので目が釘付け😍笑
演じるのは、アリエル・ドンバールという女優。ホントに綺麗💕
本作、ただ単に現代と過去の世界を見せるだけには終わらず、手品を見せたり、アナーキストと登場させたりと見どころも用意されている。
とりわけ素敵だったのは、少年時代のヴァランタンが家族と上った階段風景に続けて、大人になったヴァランタンに同じように上らせて捉えたシーン✨
今回観たのは(最近上映された)デジタルリマスター版で、とても色彩が綺麗。
サービス精神にあふれた「子供時代の甘い思い出」を感じさせてくれるダニエル・シュミット監督の佳作🎥✨
『ベルファスト』っぽい。
ポスターのイメージから、退屈で眠くなる映画を想像したんだけど、けっこう面白かった。
まあ、少し眠くなったけど(笑)
実際の上映時間92分より、長く感じた。
少年時代を回想する映画で『ベルファスト』を思い出しました。
60~65点ぐらい。
度々、映画に
負けて睡魔に屈してしまったけれど、お話はどれも面白い。いつもラケットを持たせているのは開き直りか? 「グランドブダペストホテル」と似たようなお話だが、色合いが全然違う。ささやかなホテルの愉しみ、次こそは他ヘ行く! と言う気持ちが何か解る気がする。主人公の大人になった容貌は想像を絶してましたが、少年期はトトくん並の可愛らしさ。
語り手の過去の過去のそのまた過去が積み重なっているホテル
スイスの豪奢なホテル。語り手の祖母(演じるのはフェリーニの妹!)が経営するそのホテルはヨーロッパ、いや世界中からリッチな客がスイスの山々、涼しさ、美味しさ、セレブの雰囲気を求めてやってくる。仕事口求めてもいろんな人が来る。
この映画の語り手であるヴァランタン、取り壊しになると聞いて懐かしいホテルに向かう。広くてゴージャスで大きなホテル。でも今、目の前にあるホテルの廊下もバーもロビーも埃っぽく家具もない。捨てることができず何でもとっておく祖母のトランクの中にある物を屋根裏部屋に見つけて思い出が蘇る。
ヴァランタンがまだ6~7歳の頃。祖父母とそのホテルに住みハイシーズンは屋根裏部屋、オフシーズンにはいい部屋に住むから季節の変わり目ごとに祖父母と共にトランク沢山持ってホテル内の素敵な階段を上り下りする場面が何度も繰り返される。それほど男の子、ヴァランタンにとってウキウキする時期だったんだろう。
祖母にねだるお話はいつも同じだけれど少しずつ変化がある。私達も子どものヴァランタンと一緒にわくわくとおばあちゃんの話を聞く。
サラ・ベルナールが話に登場するのはおじいちゃんがとっても若くてロンドンのホテル・サボイのレストランのウェイターをしていたときのこと。20世紀のほんの前半だろう。その後おじいちゃんはおばあちゃんに出会い結婚した。おばあちゃんはテキパキ女性。ダニエル・シュミットの映画の特徴、強い女に男がついて行く。だからママと息子(子どもというより大きくて小太り)の組み合わせもよく登場する。
20~30年代に青春あるいは人生の成熟期を過ごした人達にとって、その頃のドイツはベルリンで花を咲かせたキャバレー、歌、映画が忘れられない。だから戦後、ヴァランタンが子どもの頃も、ホテルの晩に望まれる歌は新しいアメリカの歌でなくて古い歌。客の年齢層が高いから。そうするとどうしてもドイツはベルリンとなる。マレーネ・ディートリヒを彷彿とさせるようなドイツ語の歌。第二次大戦で嫌な思いをした人もいるから「またドイツか!」と嫌な顔をするおじいちゃんお客さんもいる。でも歌い手(演じるのはイングリット・カーフェン;フライヤー見ながら書いてるから大変!全然知らないから。知ってるのはシュミット監督の映画「ラ・パロマ」に魅了されたという私の過去だけだ)は魅力的で子どものヴァランタンに優しい。彼女のドイツ語の歌は本当に素敵。サントラ欲しい。
家具もテーブルも照明も、どの客も素敵な衣装、アクセサリー、ヘアスタイル、メイク、帽子、おしゃべりとオーラ。そんな彼らが羽目を外す。ブレヒトの「三文オペラ」の扮装をして。
ダニエル・シュミット監督の自伝でもあるようなこの映画がファンから特に愛されていることがよくわかった。海がないスイスに「海が見える部屋」を用意しておくホテル。なんて素敵なんだろう。この映画ならいつでも夢を見ることができる。
スイスの山中に建つ古いホテルの話
季節のはざまで デジタルリマスター版
神戸新開地にあるCinema KOBE(シネマ神戸)にて鑑賞2024年4月7日(日)
原題は「季節外れ」の意。つまりホテルの閑散期を指す
ひとりの中年男が自身が幼い日々を過ごした朽ちた建物を訪れる。取り壊し寸前のその建物は、かつて男の祖父母が、スイス・アルプスを来訪した富裕層向けに経営していたリゾート・ホテル「アルビナ=パラス・ホテル」である。再訪のきっかては、知人女性からの一本の電話だった。その女性は、かつて勤務してたアニー・ガブリエルの友人で、今や老いて施設で暮らす彼女に会いに行ってやってほしい、と言うのだった。アニーと久々の再会を果たし、ミッキーマウスの漫画をめぐる思い出に浸った後、この老嬢はホテルが壊される前に「海の見える部屋」に漫画のコレクションを探しにいってもらいたい、と男に頼む。
その後、ひとけのない寒々としたモノトーンのホテル内を歩き回る、名前のわからない男は、はるか昔に売却されたこのホテルで成長した幼い日々を回想し始めることで、物語の語り手を務め始める。回想の中では、ホテルは暖かな光に包まれ、従業員や滞在客でいっぱいの、活気ある空間として「現在」の姿と対照されるだろう。それにかつてのホテルは、豊かな感受性と創造力に恵まれた少年=語り手(回想の中で、ヴァランタン(ヴァランタン/中年 サミーフレイ /少年 カルロス・デベーザ)という名だとわかる)にとって、大人たちの秘密に満ちた、と同時にいまだ目にしたことがない広い世界に通じる、どこか神秘的な場所だ。
ヴァランタンはこの過去の世界で、少年時代に出会った様々な人物をよみがえらせる。たとえば、繁忙期の六月と九月にホテルへ訪れて、読唇術を始めようとする出し物を披露する魔術師のマリーニ教授。夜な夜な食堂のワインを盗むこのマリーニは、滞在客らを睡眠術をかけて、サハラ砂漠の照り付ける太陽の下にいるものと思い込ませ、服を脱がせるにいたらしたことで、醜聞を招く。そして、ヴァランタンにミッキーマウスの漫画雑誌をくれる、かつて北米に暮らしていたことがある新聞雑誌売店のガブリエル嬢。少年は彼女がミッキーマウスの漫画の作者だと思い込む。さらにバーの雰囲気を盛り立てるのに一役買う、ピアニストのマックスと歌手のリロ(イングリット・カーフェン)。それにもちろん、個性豊かな宿泊客たち。
ヴァランタンの一家は、季節の変わり目ごとに自分たちの生活空間を変える。書き入れ時には屋根裏部屋、その前夜は二階、閑散期には一階に移動するするのである。つまり彼らの「家」はホテルの空間を始終あちこち移り変わっており、宿泊客がいなければ、一家が姿をあらわすのだった。
少年ヴァランタンはおばあちゃん子で、卓越した語り部であるこのしっかり者の祖母が話して聞かせる「実話」の数々は、いわば「(中年ヴァランタン)の回想の中の回想」あるいは枠物語のかたちを探りながら、その奇妙で神秘な世界で少年を魅了する。
たとえば、ホテルのなかで外務大臣と間違えて下着商を銃殺あと自殺したロシアのアナキストの話や、祖母はかつて祖父が、サラ・ベルナールの寵愛を受けたことが大の自慢だった。
給仕としてロンドンのサヴォイ・ホテルで働いていた祖父はサラのお気に入りだったが、ある日つまらない理由で解雇され、それを知った、かの大女優は烈火のごとく怒って彼を復職させたのだ。祖父は目を悪くしていたが、歩き方だけでお客が誰か分かる、ホテルのフロントが天職の人だった。そして、シーズンが終りに近づくと、上得意のお客と一家の間で特別の仮装パーティが開かれるのが少年ヴァランタンの楽しみで、それは賑やかで夢のように楽しいひとときであった。
監督ダニエル・シュミット
1992年 スイス=ドイツ=フランス
思い出の扉が開く
3月27日(水)
渋谷東映プラザに移転して営業中の文化村ル・シネマ渋谷宮下で1992年の「季節のはざまで」デジタルリマスター版を。
少年時代に家族が経営し住込んでいたスイスの山の上にあるホテルが取り壊されるので久しぶりに訪れる。
今は無人のホテルに着き中に入れば、思い出の扉が開いて昔を思い出す。
繁忙期にはホテルの階上の小さな部屋で、閉散期には階下の豪華な部屋で生活していた。季節が変わる度に家族みんなでトランクを下げて階段を昇降しては引越していた事を。
ホテルの内装は見事で、ダンス、ピアノ演奏、マジックショーが行なわれて、そこに集う客も多彩だった。女性歌手、伝説の女優、美人女優、毎年やって来る常連客。テニスのコーチと美人女優の逢瀬を覗き見た少年は、女性の衣服の下が「毛」である事を知る。
ホテルの廊下、エレベーター、バー、レストラン。テキパキと従業員に指示を出す祖母は、色々な思い出話をしてくれた。
ホテルの中を歩きながら、懐かしい少年時代に見た大人たちの記憶を辿って行く。そして、最後に「海の見える部屋」に辿り着く。そこには…。
ダニエル・シュミット監督の作品は観ていなかった。シュミット自身、祖父母がホテルを経営していたのでこの脚本を書いたと言う事だが、自身の思い出も反映されているのだろう。
この映画館も閉館した渋谷東映にル・シネマ改装の間の仮住まい。改装が終わる数年後にはあのホテルのように閉じられてしまうのだろうか。この映画を見終わったロビーでそんな事を思った。
ある男性が、幼少期を回想する物語。 スイスの高山地帯にある老舗ホテ...
ある男性が、幼少期を回想する物語。
スイスの高山地帯にある老舗ホテルを、祖父母が経営していたようで、そのホテル内で育った、人々と出会った様子。
宿泊客、従業員、演者…、特徴の濃い人々が次々に来ては去り。
おとなの世界を、チラ見できたり/できなかったり、理解できたり/できなかったり etc.
建物や、人々の振る舞い、とことん美しい物語でした✨
ホテル閉鎖&解体が決まった後の、
夢のあとの感じと、往年の活気との対比、
切なさも強く残りました。
とても良かった
もう直ぐ取り壊されてしまう子供の頃に住んでいた家族が経営していたホテル
寂れたホテルを歩くと、忘れていた心の奥底の思い出が、あの賑わっていた頃を、子供の頃には理解できなかったことを、想像を交えながらパズルを組み立てるように思い出していく
繁忙期には屋根裏に住み、閑散期には豪華な部屋に住み
ホテルで働く人たちや裕福な客、いろんな大人たちのお話を脚色して話してくれる祖母、どのお話も最後は皆死ぬ
イングリット・カーフェンの歌とラストシーンがとても良い
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