劇場公開日 2023年12月23日

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「まさに映画の奇跡!」奇跡(1954) osmtさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0まさに映画の奇跡!

2022年2月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

いやあ〜参った!本当に参った!
もう映画として「奇跡」としか言い様がない。
タイトルからして、ストーリーとして、ああいう展開になるだろうと思いながら観ていたが、最初から徹底徹尾リアルに徹していただけに、果たして話の落とし所として、そんな展開が本当に成り立つのか?そんなことしては、せっかく徹底していたリアリティが最後の最後で一気に全て瓦解してしまうのではないか?と思いながら観ていたのだが…
なんとも度肝を抜かれる超弩級の力技でやられてしまった。
いや、力技では語弊があるか。
あれは完璧な計算に計算を重ねた脚本と演出と最高のカメラワーク、そして役者達の緻密な演技がないと実現不可能だ。
リアリティと神秘主義の融合と、言葉にするのは簡単だが、そんな難易度が極端に高いテーマにも関わらず、驚愕すべき完成度で物語を成立させてしまった。
本当に凄い。
これが実現できたのは、原案の舞台劇の作者のカイ・ムンクが、そもそも敬虔なクリスチャンであったところも大きかったと思うが、その強固な信念ゆえナチスに虐殺された彼に対するトリビュートの熱量が、監督ドライヤーは勿論のこと、スタッフ、キャスト全員とても高かったのだと思う。
やはり、この作品を構成する全てが完璧で、最高の熱量で作り上げた結果、あの奇跡的なレベルまでに到達できたのだと思う。

osmt
いなかびとさんのコメント
2022年2月15日

随分昔に観て、圧倒された記憶があります。「裁かれるジャンヌ」も鑑賞して、こんな映画監督がいるんだと心打たれました。
私が住んでいるところでは、上映はまだこれからですが、再度鑑賞するつもりです。多くの人に観てもらいたい監督です。

いなかびと