劇場公開日 2023年2月3日

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「室内劇」カラヴァッジオ talismanさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5室内劇

2023年2月3日
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鑑賞方法:映画館

人を殺したがゆえにイタリア中を逃げ回るカラヴァッジオを描いた映画かと思ったら違っていた。

死の床のカラヴァッジオの人生を時間軸を戻したり進めたりしながら観客に見せる。教会の庇護を受けてからはお金に困っていない人生だった。男性も女性も愛した。モデルをきちっと使い彼らが纏う布の質感も素晴らしく、写実的で光と影を効果的に使った作品であること、キリスト教のモチーフでありつつ異教的な雰囲気に満ちている作品であることを再認識できた。

いきなり現代風の服装の男達が現れたり、自動車(トラック?)が現れたり、今風のバスタブにタイプライターとか電卓が現れたりが不思議だったけれど面白かった。ティルダ・スゥイントンは娼婦マグダレーナのモデルにぴったりの美しさだった。野外も少し映るがほぼずっと室内で、海の近くであることは波の音だけでしかわからなかった。

引用だけであくびが出る!と若いカラヴァッジオに言わせながら、字幕で追う言葉や台詞は(多分)引用の山で詩的だった。イタリア語だったらよかったのにと思う一方で、このタイプの映画は英国でしか作れなかったろうとも思った。

talisman