カッコーの巣の上でのレビュー・感想・評価
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自由と規律
精神病院における人間の持つ2つの思想のぶつかり合いとでも言うべきだろうか。それが大変分かりやすく、描かれている。本作は主人公側の自由目線で描かれているが故に、規律の代表である婦長が悪という見方になってしまっているが、それも人間が持っている1つの思想であり、何が悪いということではないと私は思う。たしかに自由の象徴である主人公マクマーフィーが精神病院に入り、周りの患者は、自由を楽しみ、開放感にあふれ、感情の豊かさを取り戻していく。だが、それが行き過ぎた結果、最後自由を謳歌した後の惨事が自堕落な人間を生み、酒や女で身を滅ぼすことになる。
自由
喜怒哀楽がハッキリしている作品でした。ジャック・ニコルソンの演技はもちろん、脇役も素晴らしい演技をしています。それは病院の匂い、空気を感じてしまうほどです。
ただ刑務所生活にウンザリして、精神病を装っているという最低男の主人公。しかし、彼の"自由主義"がとても清々しく、観ている側も、患者たちと共に彼に打ち解けていきます。規則は必ずしも良いものではなく、時には解放することも大切なのだと…
精神患者と婦長とのやりとりで、ズームアップが効果的に使われています。患者たちが自由を奪われている様が、そのカメラワークで上手く表現されていて、主人公の存在感がより増しているように感じました。
自由への喜びを疑似体験していく中で、あの悲劇的なラストはあまりにも悲しいです。終始、感情が揺れ動く心理的な映画でした。
今のハリウッドに足りないもの
今作、映画通見習いと名乗っておきながら、未見であったので今更ですが、鑑賞。
いや〜これ39年前の作品ですか。素晴らしい作品だと思います。
とにかく全編、カンヌの作品かと思うほど、音楽をあまり使っていなく静かで、とにかく暗い。
だけど、〈ジャックニコルソン〉の存在が今作の暗さを和らげていて暗いだけじゃなくどこか明るい雰囲気を醸し出しています。
とにかく彼の笑顔を見る度にホッとさせられる。
ある意味、今作のMVPは〈ジャックニコルソン〉と言っても過言ではなく、アカデミー賞主演男優賞をもらったのも納得の演技。
しかし、彼だけじゃなく出来自体も凄く良い。
さりげないシーンがどこか記憶に残る。例えば水をかけるシーンですが、なぜかさりげないシーンなのに記憶に残りますし、好きなシーン。バスで脱走しちゃうのもなんだか微笑ましく、好きなシーンになりました。今のハリウッドにはこういうのが本当に足りない。リメイクばっかりするハリウッドを見て、なんだか悲しくなります。
さて、彼のおかげで出した暗いけどどこか明るい雰囲気は終盤で一変し、容赦がない展開が待ってます。とにかく本当に容赦がないので終盤はとにかく画面に釘付けで心が痛くなりました。そして、ラストでは人によっては絶望に見えるが、どこか希望もある素晴らしいラストシーン。
社会派な面もあり、評価も別れる作品ですが、当時見てたら確実に生涯ベスト10には入ってたと思います。
この時のアカデミー賞も良かったですし、納得の受賞。
今のハリウッドはアカデミー賞含めて、本当にあれなのでこの時に見た人はいいな…。
時代の流れが悲しくなりますが、当時見た方に嫉妬したくなる、とにかく素晴らしい作品でした。
まさに、不朽の名作です。
1回で充分
ジャック・ニコルソンの表情パターンの多種多様性と絶妙な切り替え…ニット帽だけに脱帽!笑
さらに周りの患者役の方たちも、文字通り"怪演"を披露。普通のようで時折見せる醜態はレインマンのダスティン・ホフマン如く素晴らしい演技でした。しかし、この映画は彼らを単なる社会不適合者として悲惨に描写するのではなく、むしろコミカルに楽しげに捉えていて、レインマンとは違いとても幸せな気分になれました。
ただ、ラストはかなり衝撃的です。
伏線は消化したが納得いかん
社会不適合者マクマーフィが刑務所から逃れるため、詐病で精神病院に入院、そこで勝手気ままに行動し、規律に厳格で四角四面な病棟に混乱を巻き起こす。
入院患者それぞれがかかえる種々の異常性と、人並みの生活を送らせるために行われる厳しい管理。
トラブルや個々のシチュエーションに笑い感動すると同時に、人間らしい生活とは何かを問いかける。
評価が低い理由は、レビュータイトルの通り。
脱走しなきゃまずい、と思って本格的に脱走することにしたのに、なんでそこで馬鹿騒ぎはじめてんだよ。さっさと逃げろよ。
物事の優先順位が理解できないある種の精神疾患をかかえていたとすれば説明がつくが、ならば強制収容自体は正しかったことになる。社会に適応できないなら、その後の「治療」も正当化される。
あれが本当に必要と思われてやった治療なのかも含め、絶対的な管理体制下にある精神病院のありかたというものを考えさせられる。
どこに注目すべきか解釈すべきか
2010/11/02 00:06
素晴らしい作品だとゎ思うが、これゎ果たして感動作なんだろうか?
という疑問が…。
否定ゎしないけど、少なくとも私ゎ感動する作品でゎなかった。
うまくゎ言えないけど、色々深く考えてしまうとなんだか納得いかなくなってしまうんですよね。
強制労働が嫌で精神病院に行った正直腐った理由でいった男が精神病院でも更に自由を求める?
その自由を求め与えた結果若い男の子を死に追いやる原因を作った。
婦長がママに言いつけるだの言わなければ多分死ななかったわけだが、人間の感情忘れたような婦長だけが悪いのか?
何らかの理由あって精神病院に入っていている人、、そのトラウマなんて他人が到底理解することゎできない。なにがなにを後押しするかなんて分からない。
ラストゎ一言「ぉお〜やったな!」って感じで丸くおさまってます(笑)夢を代わりに叶えたというか賭にかったというか。
しかしながら、ここまで色々考えてしまうのゎこの映画の策略に完全にのっかってるようなので評価ゎ自分の中でゎ高めにします。
この映画で何にスポットをあてるかで評価が1〜5すごく左右されると思います。
ラストゎ絶望かはたまた希望なのか…。観る人によってとらえ方が全く違うので色んなレビューを見ると楽しい作品。
自由と尊厳、"正常"の曖昧さ
ミロス・フォアマンは狂気と異常の渦巻く精神科を映し出すことで人間の自由と尊厳、"正常"の曖昧さを観客に投げかける。
精神病棟という"正常"によって管理された"異常"な世界は、最高の俳優たちによって妙にリアルさを持ってくる。
特にその体制にいちいち反抗するマクマーフィーを演じたニコルソンは今まで観た中でも最高の演技で怪演している。狂気と怒り、そして優しさの同居した鋭い視線は彼にしか出来ない。
正常な人間とは何なのか?
思っていることを上手く言葉に表現出来ない。
ずっと黙っている。
1日中部屋に引きこもる。 正常な人間とは何なのか?
危険な反乱分子は電気治療にかけて黙らしてしまう。
縛られた管理社会を象徴する婦長、反抗の象徴であるマクマーフィー。
観ているとヒーローと憎まれ役がハッキリ見えてきてしまうし、感情移入もしてしまう。
自由と尊厳に対する一面的な見方だ。
しかし、その問題提起の仕方、決着の付け方はいかにも映画的で素晴らしい傑作だ。
言葉に出来ない
見終わってすぐに感想が書き出せなかった。
捉え方は人それぞれ有りそうな作品ですね。
バカかよと思える所もあり謎めいた感じに思える所もあり、最後の盛り上がりがあっという間過ぎて着いて行けなかった感覚。
色々調べると原作を読まなければ自分にはちゃんと理解は出来ないか
初めて観たときは衝撃でした
この時代の映画はあまり見る機会もなかったので
冒頭の映像の質感やジャック・ニコルソンの若さがまず新鮮(笑)
重いテーマの作品だろうとは思っていましたが
最初はそんな軽いノリで観始めた作品でした。
序盤~中盤へストーリーが進むに連れて主人公の破天荒なキャラクターに引き込まれ、
お堅い体制(病院)側への度を超えた反抗っぷりも痛快に写ります。
今も昔もこの辺りの図式は変わらないんだなぁ~なんて
浅い見方をしていると
・・・・・・!!
クライマックスに差し掛かる頃には
硬直して画面から目が離せない自分がいました。
ラストに至るまでの衝撃は今までに経験がありません。
正に映画史に残る不朽の名作だと思います。
非常に考えさせられる作品
精神病院を舞台にした二元論では決して語れない私たちが住んでいるこの人間社会そのものを表した作品。
社会の中で与えられた役割と社会の中で形成された自我のぶつかり合いが描かれています。
このようなことを考えさせてくれる映画は非常に少ないので内容の良し悪しや好き嫌いに関わらず観る価値がある作品です。
ちなみにこの映画を鑑賞した後は自我・es・超自我・防衛機制・前頭葉などの言葉を調べると深く掘り下げることができると思います。
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