ガタカのレビュー・感想・評価
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夢みることを勇気づけてくれる
未来(?)の話だったかな。少し前に見たので記憶がうろだけども。
妊娠は人工受精がポプュラーの世の中で、胎児の内から知力や体力やらが分かってしまう。優秀な子を生まれさせ育てて、そうでない子は生まない。優秀な人間だけが生きているような世界のお話。その中で、性交渉による自然妊娠で生まれた人間が本作の主人公。生まれた時に30代?40代?が寿命だと分かっていた。
そんな短命?なんで?と切なくなったけど、そういう方も実際にいるし、そこは置いときます。
主人公は宇宙飛行士になる、という夢を持っているのだけど、資質を持ち合わせていなかった。そこで、闇の取引みたいな商人さんのツテで、生きることをリタイアしてしかし死ねずにいた優秀な遺伝子を持つ人間と成り代わる契約をする。主人公は名前はもちろん、血液や尿、身体的能力や体力などのデータを借りて、優秀な遺伝子を持つ人間に成り済ました。二人の人間がいなくなり、新しいひとりの人間が宇宙飛行士になるために生き始める。そして、なんやかんやあって主人公は、宇宙飛行士となり宇宙に出てEND。その後どうなったかは描かれていません。
そこまでしてなぜ宇宙に出たいのか、宇宙に出たところで体は耐えることができるのか。
心配はあるけれど、どうなったかは重要ではなくて、
不完全なわたしたちが、誇りを持って、夢を持ち生きていくことを応援する、というメッセージを感じました。
無機質なイメージで寂しくもありちょっと怖いけど、静かでいながらとても熱い映画です。すごいです。すごかった…。
It is not in the stars to hold our destiny but in ourselves. オシャレ映画の皮を被ったど根性映画だこれっ!!
遺伝子工学が発達した近未来を舞台に、宇宙開発企業「ガタカ」で発生した殺人事件と、それに翻弄される“不適正者“の青年ヴィンセントの運命が描かれるSFサスペンス。
監督/脚本は名匠アンドリュー・ニコル。本作は彼のデビュー作である。
自然妊娠で生まれ、“不適正者“と蔑まれながらも宇宙飛行士を目指す青年ヴィンセント・フリーマンを演じるのは『いまを生きる』『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離』のイーサン・ホーク。
ヴィンセントの同僚、アイリーン・カッシーニを演じるのは『パルプ・フィクション』『バットマン&ロビン/Mr.フリーズの逆襲』の、名優ユマ・サーマン。
ヴィンセントがなりすます元水泳選手の“適性者“、ジェローム・ユージーン・モローを演じるのは、当時は舞台俳優として活躍していた、名優ジュード・ロウ。
1996年7月、クローン羊のドリーが誕生したというニュースが世界を震撼させた。「生命の複製」という神の御業とも言える領域にまで到達した遺伝子工学を技術革新だと受け入れる者もいれば、倫理観を欠いた所業だと非難する者もおり、その議論は現在でも止むことはない。
ドリーの衝撃から1年後に公開された本作。遺伝子操作について最も注目が集まっていた時期なだけに、当時はさぞセンセーショナルに受け止められたのではないだろうか。
物語の舞台となる宇宙開発企業「ガタカ(Gattaca)」。この社名はDNAを構成する4つの塩基「グアニン(G)「アデニン(A)」「チミン(T)」」「シトシン(C)」に由来している。
『ガタカ』なんてタイトルを聞くと、『アメリ』(2001)みたいなシャレオツなヨーロッパ映画か何かかと勘違いしてしまう。実際、ポーランド出身の撮影監督、スワヴォミール・イジャックとオランダ出身の美術デザイナー、ヤン・ロールフスの作り出す映像美は非常に洗練されており、ハリウッド製のSF映画というよりはむしろ欧州のアート映画にその手触りは近い。
その2人に合わせ、ティム・バートンとの仕事で知られる衣装デザイナー、コリーン・アトウッドが手がけるシックなファッションがこの映画の印象を決定づける。近未来的かつ60年代的、無機質かつ退廃的な雰囲気のルック。衣服、建築物、車など、全てに行き届いたその洒脱さが本作最大の魅力であり、ただ映像をダラダラと眺めているだけでも不思議な幸福感を与えてくれる。
遺伝子工学の発展により先鋭化される優生学的思想という題材は、イーロン・マスクやピーター・ティールといった加速主義者が権勢を振るう現代社会においては、もはや絵空事とは言い切れない。数年後には現実になっていてもおかしくはない、この生々しいリアリティには背筋が凍るような思いがした。時代を先取りするその先見性はさすがアンドリュー・ニコルといったところか。この堂々たる映画が彼のデビュー作だというのだから驚かされる。この男、やはり出来る。
遺伝子を扱った難しそうなテーマに加え、バキバキにクールな映像。一見高尚すぎて取っ付きにくい作品のようにも思われるが、その内容は清々しいまでに人間くさい。強固な意志と妥協なき努力があれば全ての壁を乗り越えられるという、昭和スポ根漫画も真っ青な見事なまでのど根性映画である。
とにかく「根性根性ど根性」が心情の作品なので、突然遠泳バトルが始まったりする。ど近眼なのに裸眼で道路を渡ったりする。オシャレな面をしておきながら過剰なまでの頑張りシーンが続々と出てくるのでつい吹き出してしまった。こういうところが結構可愛いんですよねこの映画は。
こういうど根性映画は大好物!人間讃歌は「勇気」の讃歌ッ!人間の素晴らしさは勇気の素晴らしさ!!…まぁ正直、殺人事件の顛末のテキトーさとか、心臓病の伏線をガン無視しちゃったとことか、なんで心臓に欠点を持つアイリーンがガタカに入社出来たのかとか、波打ち際をバックに行われるベッドシーンのダサさとか、気になるところは多いのだが、そこもまたこの映画のチャーミングなところだと思う。こんだけヴィンセントが頑張ってんだから、細かいところには目をつぶってあげましょう!
ただ一つ気になるのはユージーンの最期。彼を自殺させる必要は本当にあったのだろうか?
終盤、不随になった下半身を引きづりながら懸命に螺旋階段を登るユージーン。この螺旋階段はDNAの比喩に他ならない訳で、ここは人間は遺伝子の優劣とは関係なく、自分の頑張りによって底辺から這い上がる事が出来るという事を端的に描いた名シーンである。
そんな自分の運命に打ち克った彼が、何故自死という最後を選んだのか、そこがわからない。根性根性ど根性の映画なのだから、ユージーンにも人生を諦める事なく愚直に生き抜いて欲しかった。ここがこの映画唯一の不満ポイントである。…てか、そもそもこのくらい遺伝子工学が進んでいるのであれば半身不随くらい治療出来そうなものだけれど…なんて言うのは野暮だよね。
有名な賞を取った訳でも、ヒットした訳でもないのに未だに存在感を放ち続ける本作。こういうのをカルト映画というのだろう。確かに、何度も観返したくなる不思議な魅力を持った作品である。うーん、好きだなぁこの映画…。
余談だが、本作の共演を機にイーサン・ホークとユマ・サーマンは結婚っ!🎉…まぁ離婚しちゃうんだけど。
2人の娘であるマヤ・ホークは『ストレンジャー・シングス 未知の世界』(2019-)や『インサイド・ヘッド2』(2024)などに出演しており、着実に次世代スターへの階段を駆け上がっている。彼女を見ていると、やはり遺伝子というのは軽視出来ないなぁ…とこの映画のメッセージとは真逆の事を考えてしまうのであった。
SFヒューマン物はいい
画的にはめちゃくちゃ地味でしたが人間描写やSF設定が細かく盛り込まれ、それらを全て活かすストーリー。
思わず熱くなってしまいました。
この時代にSFで差別を扱って押し付けがましくないのもすごいと思いました。
博士、かっこよすぎる
僕らが旅に出る理由
噂によると 夢は生き物で
愚痴や言い訳で すぐに弱っちまうらしい
唯一の好物は 可能性
良かった 俺もあんたも 腐るほど持ってる
頑張りだけじゃ 足りないとしたって
頑張ることしかできない同士達へ
自分を客観視なんてするな
俺たちの目は ここについてる
Dreamは comeして trueに成らず
Dreamは goして trueにしてゆく
叶う 叶わぬは別
それさえあれば 人は 輝く
アフロ 「三文銭」
私がコメントするより、この唄の歌詞が、この映画の全てを物語っているような気がしますが…。
生まれる前に性別判断するように、生まれた瞬間、ヒトの将来を測定する。映画の話だけでなく、ある程度、リアルにできるそうですね。デザイナーズベビーもね。ただ、自分の未来が、数値化された世界って…。
ゲーム「信長の野望」。長尾影虎と云うキャラ使うと、戦場で、とんでもない戦果を毎回出します。戦闘力が最大値で、常に最大値を発揮する設定だからです。
テストの結果が超人的ならば、超人的な結果が要求される。一番でないと、みんな、がっかりする。銀メダルが、許されない世界。それが、私達の望む、あるいは他者に要求する世界なの?。(そういう意味では、海の向こうの二刀流のアスリートさん、無理せず頑張ってね。大変だと思うけど。いい通訳さん、見つけてね。)
頑張ることは、無駄な抵抗なのか、頑張ることで、ヒトは進化を遂げるのか?。初めから分かりきったゲームに、ヒトは熱くならない。分からないから、考える、先が見えないから、最善を尽くす。
誰も笑わない規格品のみが棲息するガタカより、夢みることを諦めないファベーラのほうが、活性化しているのは、何故?。
皆様のガタカは、何処にありますか?。
ヒトの可能性を測るのは、誰?。
その可能性は、誰の都合に合わせた可能性?。
皆様は、どんな理由で、旅に出ますか?。
(僕らが旅に出る理由 小沢健二 「LIFE」)
ジュード・ロウのキラキラ感
まぶしいです。
遺伝子の優劣で人生のすべてが決まってしまう近未来、宇宙飛行士を夢見るヴィンセントは生まれてすぐに行われる遺伝子の検査で心臓の疾患があり、寿命も平均30年程度と診断されてしまった。一方の弟アントンは遺伝子操作の上に生まれた”適正者”。不適正者と診断されているヴィンセントは生まれながらに身体だけでなく就職先を限定されてしまうなど、様々なハンディを背負ってしまう。
それでも宇宙飛行士になりたいヴィンセントは、宇宙船の操業会社であるガタカに掃除夫として就職する。日々宇宙船の発射を目の当たりにするも、不適正者のヴィンセントには万に一つのチャンスも与えられることは無い。
そこで、ヴィンセントは大きな賭けに出る。適正者の中でも優秀な遺伝子を持つ人間に成りすますため、DNAブローカーに接触する。ブローカーの仲介で、元水泳選手でありながら交通事故で下半身不随となったジェロームに出会う。ヴィンセントはジェロームに成りすまし、ガタカに宇宙飛行士候補として採用される。
なんとか宇宙飛行士の選考に残ったジェロームことヴィンセントだったが、会社内で起こった殺人事件を発端に、自らの素性が暴かれる危機に直面する。
DNAによって全て支配される世界というコンセプト自体は考えられなくもないけど、それをここまで徹底的に、或いは妄信的に人の層別に使ってしまう世界観が斬新かつ現代社会の風刺にもなっている気がする。学歴だったり運動能力だったり、これらは自分の努力でどうにかならないわけでもないが、如何ともしがたい部分だってある。でも、それで人を層別するのってフェアなのかな、というよくある疑問。
主人公のヴィンセントメチャクチャ努力している。でも、君の遺伝子イマイチです、はい、不合格。とやられてしまう。これに果敢に挑戦したヴィンセントくんのお話。
だけど、結構引っかかる部分があるのよね。彼を取り巻く人たちだってみんな真摯に生きている。もちろん不正もせずに。
もっと言えばジェロームの人生って何なんだろう。彼の献身をヴィンセントはどう思っているのだろうか。本当にwin-winなんだろうか。
色々と考えてしまった。そう、この映画は誰かと一緒に観て、僕ならどう思う、私ならこう言う選択をするって熱く話し合うのにいい作品だと思う。
にしても、今やイケオジやらイケてないオジジやら色々やってるイーサン・ホークの若々しさ、そして何よりジュード・ロウのその愁いを帯びた輝きがこの映画のハイライト。
二人の若きイケメン、それと作中で脱ぐのかい、脱がんのかい、結局脱がんのかーい!となったユマ・サーマンもまた愁いを帯びた輝き。
観た後の印象はスッキリ感とは程遠い、だけど決してつまらんわけでも無いしムカつくわけでもない、ああ、そうなったのね、と静かに受け止める作品だと思った。
イーロン・マスクの遺伝子
本作を鑑賞してある記事を思い出しました。海外ではイーロン・マスクの父親の遺伝子をお金を払ってでも欲しがる女性が多数いるという記事です。韓国アイドルや大谷翔平の遺伝子も大金を払っても欲しがる人が多そうです。
今はお金があれば優秀な遺伝子を買うこともできるし、優秀な遺伝子同士が子供を作る時代です。所謂、資本主義的に劣等と言われる遺伝子は淘汰されていくのでしょうか。今は《子供は授かりもの》という考えから、《優秀な遺伝子の子供を作るもの》といえ考えに変わってきているので、現代の価値観を示唆しているような作品でした。
しかし、適正な遺伝子で生まれてきてもジェロームの様にアクシデントがゼロとは限りません。また、ビンセントの様に自然出産の不適正な遺伝子でも宇宙飛行士になれないとも限りません。仮に適正者だけの世の中になったとしたら生命を尊ぶこと自体ナンセンスになるかもしれませんね。完璧な生命しか存在しないですから。
誰もが羨む輝かしい人生を送っていた人が突然自死することが少なくありませんが、ラストのジェロームもこれと同じだと思いました。テクノロジーで操作できないものがあるとすれば、人の心なのだと思います。
“諦めたらそこで試合終了ですよ“
某有名バスケ漫画のリアルタイム世代でありながら、今も昔も某有名バスケ漫画がさほど好きではない人間ですが、この映画を一言でいうのに、これほど相応しい言葉はないと思います。
シンギュラリティだとかAGIとかVR、エンハンスメント、不老不死、冷凍冬眠だとか色々とSFで楽しんだものが、少なくとも死ぬ間際くらいにギリギリ実現するかもしれない四十路後半世代にとって、この映画との遥か20年以上、もう四半世紀以上前の時の出会いは運命的でした。
医者がゲートを通すシーンと遺伝子情報提供者である親友が主人公をあの空・宇宙へ見送りながら焼却炉で散っていくシーンで、泣けない人は映画を観る必要がないと言い切っても良いと思っています。
深い作品
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舞台は未来。人間の価値は遺伝子が決める時代になっていた。
生まれると同時に才能や寿命がわかり、死因まで推測できる。
というか生前から優秀な精子を選んで受精させられる。
主人公は両親が勢いで作った子なので、特別優れた遺伝子ではなかった。
有能ではあると思うが、30歳前後で病気にかかって死にやすい遺伝子のため、
遺伝子チェックで落とされ、念願だった宇宙飛行士にはなれなかった。
逆に弟は計画的に作られたため、全てにおいて主人公より優秀だった。
なので主人公は競泳でいつも負けていたが、高校くらいの時に勝った。
これはこの時代においてはあり得ない事なのだった。
時は流れ、主人公はある闇業者の仲介である男(以後相棒と呼ぶ)と出会う。
相棒は超優秀な遺伝子の持ち主だったが、事故で車椅子生活。
この人から髪の毛や皮膚組織、血液などを随時提供してもらい、
主人公がこの人に成りすますのだ。そして常に行われる遺伝子チェックは、
この人のものを使ってかいくぐり、見返りにこの人の生活を保証する。
主人公は抜け毛が落ちたりしないよう、常に潔癖に行動するのだった。
偽装遺伝子が最強のため、ついに念願だった土星探索の宇宙飛行士に選ばれる。
そんな中、主人公の遺伝子偽装を疑った人間が会社で殺される。
ラッキーと思ったのも束の間、偶然に主人公の眉毛が落ちていた。
で、疑われるのだが、同僚でいい関係にある女性(この人も偽装遺伝子)、
相棒らが協力してくれるおかげで、何とか凌ぐ。
そんな時に真犯人が逮捕され、事なきを得る。
しかし刑事は弟で、兄の存在に気付き、不正を暴こうとする。
が、兄ともっかい競泳したがまた負け、前回の負けが偶然ではないと悟る。
そして遺伝子が全て決めるという世界に不信感を持ったのだろう、見逃す。
最後、土星へ旅たつのを境に、相棒も旅に出る事になり、別れが来る。
人生に夢を与えてくれた、ありがとうと相棒は言った。
主人公へ一生分のサンプルを残し、達成感の中で自殺。
ところがその日、抜き打ちの遺伝子検査があり、検査官にバレた。
もう終わりかと思いきや、検査官とはある程度の人間関係があったのと、
その息子が主人公に憧れていたこともあり、見逃してくれた。
その息子も優秀でない遺伝子の持ち主だったのであった。
そして宇宙へ。ハッピーエンド。
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いやあ、なかなか面白い作品だった。
遺伝子が全てを決めるというこの時代。
しかも生前に子供の遺伝子を選択できる・・・恐ろしい。
努力の持つ価値が低いこの時代において、遺伝子の価値の低い主人公が、
努力と偽装によって夢をかなえるという話。
どんな人間でも必死で努力すれば夢が叶うというメッセージを感じる。
実際に検査官も同僚女性も、相棒も主人公の頑張りや強い思いに心打たれている。
どんな社会でも、頑張る人を応援したいという気持ちは人間固有のものだ。
それにしても本当に土星に行けるとは思わなかった。
悪いことをやってるわけなんで、勧善懲悪的な展開の多いハリウッド映画なら、
当然最後はバレてしまうのだろうと思ってたけどね。
まあ設定が未来で、社会自体がおかしな方向に進んでるんで、
そこのルールを無視するのは悪とは言い切れないって解釈なのかもな。
それにしても最後の抜き打ちチェックで引っかかる展開は強引過ぎると思った。
ナンボ最後やからって、気を抜きすぎなのでは?
それまで逐一気を張って偽装して来ただけに、何だかなあ。
すぐそこにあるディストピア
Gattaca、「遺伝子を構成する四つの塩基A、T、G、Cを表している」と最近読んだ書籍にあり、気になっていた。BSで放映するのをたまたま知って鑑賞。
自然妊娠がやましいこととして咎められる社会。精子バンクで有能な人間のモノが好まれる世の中に既になっている訳で、いつこの映像世界が普遍的なモノとなってもおかしくない。ゲノム解析で、個々の能力の限界や疾病罹患率といったところまで、詳らかにされる時代はすぐそこなのだろう。
それを福音と捉えるか、ディストピアとして捉えるか。
科学の進歩、人間の知りたい・確かめたいという欲求は止まることを知らず、我々は得られた知見をどうコントロールしていくのか、ということと向き合い続けるしかない。
生まれ落ちた瞬間に全てが決められる、そんな世の中は御免だな。私自身はそう思った。
VALID 〜 僕は僕だ
遺伝子操作により生まれた人間を「 適正者 」として尊ぶ近未来で、宇宙飛行士を目指す青年ヴィンセントをイーサン・ホークが熱演。
宇宙局ガタカで出逢う美しい女性アイリーンをユマ・サーマンが、或る男を通して紹介される「 適正者 」ジェロームをジュード・ロウが演じる。
イーサン・ホークと美しいユマ・サーマン。熱く見つめ合う絵になる二人。その後、結婚されていたとは ✨💍✨
スタイリッシュな映画、スリリングな展開、弟( ローレン・ディーン )との軋轢、それぞれが抱える複雑な思い、見応えがありました。
ラストが沁みる。
ー適正の世界に不適正の僕が現れないように
BS松竹東急を録画にて鑑賞 (字幕)
遺伝子を超えた愛と友情、そして挑戦
元祖「泣けるSF映画」として様々な作品に影響を与えたと言われている本作。1997年と古い作品だがその魅力は現在でも色褪せてはいない。
遺伝子によって管理された社会が映し出す残酷さ、近未来世界が映し出す独特な美しさ、遺伝子に抗い、挑戦する尊さを引き立たせる秀逸な脚本、遺伝子社会に打ちのめされ翻弄された人々の「弱さ」を上手く表現した俳優陣。
これらの点が本作特有の切なさと観終わった後の大きな余韻を生み出していると感じた。
先ほど挙げた点の中でも脚本と俳優陣の演技には驚かされた。
物語前半から中盤の流れはゆっくりで古い映画なのでツッコミ所も多少あったが、後半20分はとてつもなく面白く、深く考えさせられる素晴らしい脚本となっていた。
主人公の劣等感から出る弱さを素晴らしい演技で表現したイーサン・ホークには脱帽した。やはり彼にしか出せない弱さがあると思う。
今尚廃れない魅力に魅せられ、挑戦する大切さを知れるとても美しく、オシャレな映画なので未鑑賞の方にはぜひ観てほしい。
観終わった後にはいつも泳ぎたくなる。(伝われ)
静かなレトロフューチャー映画
派手なアクションシーンも無く、無駄に騒ぎ立てる様な登場人物もいない、世界観や人間ドラマを観るタイプのSF映画です。
『トータルリコール』や『プレステージ』やほんのり『攻殻機動隊』の世界を感じさせる作品です。
「生まれた瞬間に優劣が決められてしまう世界なんて窮屈だなー」が第一印象で、その中で主人公は劣等者認定され、叶えたい夢に挑戦する事も許されない。不公平で理不尽で、『1984年』の様な独裁的な世界観に怖さを感じました。
内容は序盤からとにかく静かで眠くなります。
サスペンス的な要素が加わり少し面白くなってきますが、クライマックスまで、超興奮の展開にはなりません。
イーサン・ホーク、ユマ・サーマン、ジュード・ロウらに興味がある方は是非観て欲しいです。
U-NEXTからどうぞ🖐️
人間の価値とは何かを問う映画
人を客観的公平に評価する判断材料の1つに遺伝子というものもあると思う。 近未来の舞台ではそれが人の優劣の指標となり、努力も報われない主人公が他人の遺伝子情報により、その人となり夢を叶えるというストーリー。
良かったところ、近未来の無機質な街並みや人間関係も希薄に見える舞台の中で、恋人や医者(おそらく局長も)は遺伝子の優劣よりも主人公の人間性や優秀な遺伝子に負けない本人の努力を認めはじめるという本来の人間の評価がまだそこにあるっていうところ。
しかし、近未来の街並みや車、服装などは狙ったとしても斬新さや未来的なものでなく、個人的に残念に感じました。
何を思い、どう生きるか。
過去に2、3回は観たことある気がしたが内容をほとんど覚えておらず、再度鑑賞。観始めると「やっぱり観たよな。」と思いながらも最後まで楽しめた。
生まれた直後の検査で寿命や暴力性、今後罹りうる病気など人生が予測され職業の適正が全て解る近未来。これだけでベタベタなSF映画。
だが、タイムリミットギリギリの攻防、今まで出来なかったことをする勇気、弟との再会、そして再戦。胸焼けしない程度の王道展開の応酬は、ご都合主義な場面も目につくが"王道"の波にのまれてみるのも悪くない。熱く、儚い人生を描いた傑作。
才能のある男が、生まれつき恵まれなかった男の背中に夢を見る。SFというジャンルはあくまで舞台であり、物語自体は人と人との関わり、そして夢があふれたドラマだった。
最後の検査もありきたりといえばそれまでだが、グッとくるものになっているのは演出と展開の妙か。
ラストシーンも同様に、夢を文字通り後押しするため。「もうふたりはいらないだろ?」ということか。
2時間足らずでキッチリまとめている構成も見事。
ちなみに終盤、ダンス中に警察に乗り込まれ逃走するシーンで、制止する男を主人公がどうしようもなくなり殴りつけたところは唐突すぎて笑ってしまった。その後の怒涛の展開でそれも忘れてしまったが。
考えさせられる映画だった。 適合者と不適合者に分類され、不適合者に...
考えさせられる映画だった。
適合者と不適合者に分類され、不適合者になれば明るい未来はない。
それでも諦めなければ、努力し、頑張れば未来は変えられる。
静かに心に響く映画だった。
イーサン・ホークかっこいいなぁ。
良かった
日本だったらNHKが作りそうなSF小品。valid or invalidの二項対立で区分される近未来世界の設定は、さすがに今となっては単純すぎて古めかしく思える。ただ、抑制的な語り口と美術がかっこよくて、全編にわたり隙間なく雰囲気を醸し出しているのがいい。そして低予算企画でも、俳優の層の厚さがやはりハリウッド映画。アラン・アーキン、アーネスト・ボーグナイン!ゴア・ヴィダルは何かしら本作の世界観へのシンパシーがあって出演したのだろうか。主要登場人物3人組も良くて、特にユマ・サーマン、美しい。
ひとつ分からなかったのは、あれが管を這わす為の人工造作物だったのか、ということ。
25年前の制作とは思えないほど設定がリアルで古びていないSF映画。...
25年前の制作とは思えないほど設定がリアルで古びていないSF映画。最後までバッドエンドなのかハッピーエンドなのかわからずハラハラする。受精時に能力を判別できるまで遺伝子工学が進化し、優秀な遺伝子を持つ人間が支配する近未来が舞台。自然出生の兄は劣り、選択出生の弟は優れる。家出して下半身不随の適正者になりすまし宇宙飛行士を志願する兄。尿検査、血液検査、DNA検査の連続攻撃をかいくぐれるのか。。。アクションシーンがほとんど無いのに一気見してしまうのは、クラシック調の映像美とユマ・サーマンの魅力(←個人的好み)とポイントを抑えた伏線回収。もったい付けた演出もあるけど、全体的に完成度が高く、ヒューマン要素もたっぷりで、観て損はしないと言える隠れた名作。
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