風が吹くときのレビュー・感想・評価
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絵本も素晴らしいけれど…
被曝に無知で何が悪い
核被害を描いた名作だが、意外に実験的な描写も含んでいる一作
核戦争の惨禍を描いた作品として確実に筆頭に上がる本作。絵本のような優しい筆致でありながら核戦争の恐ろしさを描いている作品、と認識していましたが、時折実写の映像を差しはさむなど、ちょっと前衛的、というか実験的な描写も盛り込んでいた点は意外でした。最初「入る映画館間違えたかも……」と思ってしまったほどに。
イギリスの農村に住む老夫婦が、核戦争後の放射能汚染によって徐々に身体を病んでいく、という過程を克明に描いていて、状況の凄惨さとほのぼのとした絵柄の落差がむしろ強烈な印象を与えています。
他方、この絵柄だから観通すことができる、という側面もあって、これが実写なら中座してしまうかも、と思わずにはいられませんでした。
老夫婦が、放射能汚染について無知ゆえに苦しむ、のではなく、第二次世界大戦を生き延びた経験から政府の救助を固く信じ、それが事態への対処を遅らせた(ああなったら何をしても手遅れなような気もするが…)、という描写も、冷戦ただなかの当時には強い説得力があっただろうと感じました(森繁久彌の吹き替えは秀逸だけど、あんまりにものんびり、かつ事態に対して見当違いと思えるような認識で話すので、「そんなことしてる場合じゃないんだよぉ!」と肩をつかんで揺さぶりたくなる気持ちになることもしばしば)。
これほどまでに核と放射能の恐ろしさを正面から描き、実写映画としても『ザ・デイ・アフター』(1983)や『テスタメント』(1983)などを作ったのに、その後のハリウッド映画で核爆発を「通常爆弾よりちょっと規模の大きな爆発」程度にしか描けなくなってしまったのはなぜなんでしょう……。
アニメじゃない
1986年製作の英国アニメーション映画
日本では1987年初公開
高校生の頃テレビかなにかで観たような気がする
いずれにせよ映画館ではなくテレビで観た
鑑賞はそれ以来となる
8月2日から各地でリバイバル上映される
地元ではフォーラム仙台だ
自宅から100キロ以上離れているが北海道民感覚ならわりと近所のうちに入るだろう
それまで待てずにU-NEXTで鑑賞した
オリジナル字幕版で
舞台はイギリスの片田舎
主な登場人物はジムとヒルダの老夫婦
若い頃に2人は二つの大戦を生き延びた
ロンという息子がいて独立し離れて暮らし妻子がいた
ロシアとの核戦争が始まると聞き政府発行のパンフレットを参考に備えるジムとブツブツ言いながらも協力するヒルダ
アニメーション作品のわりに実写シーンが多い
いきなり冒頭実写だし背景や静物が実写だったりする時もある
実写混じりのアニメーション
日系監督ムラカミ氏はリアルを追求したかったんだろうがそれならアニメじゃなくても良いんじゃないか
キャラクタービジネスを狙ったのかもしれない
ジムがバスに乗っているシーンでのBGMはいらない
おそらくデビッド・ボウイだろう
彼のような偉人に大変失礼な話だがはっきりいってうざかった
核シェルターがあまりにもお粗末だ
ドアを斜めに壁に付けてその中に老夫婦が避難するという馬鹿げた代物
布団用のクッションと食料と水を入れて
こまわりくんがモモちゃんの自宅の軒下に隠れ家を勝手に作っていたがそれとはまるで違う
パンフレット通りに48時間後に外に出てみると辺りは変わり果てた残状で人影は見当たらなかった
鳩は飛び立てず死にかけていた
水道も電気も止まり電話は繋がらなかった
牛乳も新聞も届かない
核兵器使用をちらつかせる独裁者は他国に確かに存在するが核戦争なんてまず起きないだろう
でも冷戦の頃はメディアなどがこぞって恐怖を煽った
ノストラダムスも手伝い終末思想が流行した
僕は子供の頃から既に他人と価値観をなかなか共有できずどこかしら楽観的でそういう世相を見下していた
放射能の影響で衰弱していく老夫婦の姿がこの作品の1番の見どころだろう
アニメ嫌いでも日本人なら必ず観るべし
原発問題を抱えてる国には
まず、"知らない"、無知であるということがこれだけ恐ろしいことなんだと知る作品、
放射能を浴びた老夫婦が日に日に弱っていく日々を描いてるんだけども、
この中の1つのシーンで旦那さんが奥さんに"顔色が悪い、日に浴びるといいよ"と言って外で日光浴をすすめるシーンがある、
心の中で"うわーダメー!"と思わず叫んだな、
イギリスが舞台らしいが中心地にいた人たちはきっと亡くなり、草木は枯れ、鳥などの生き物もみんな死んでいくところも描かれてるが、
その中でもトイレの下水の中から元気に生きているネズミだけがいて、そんなところも描かれているのに衝撃を覚えた、
かなり昔に見たけど今だにいろんなシーンを鮮明に覚えている作品です
森繁久彌と加藤治子に尽きる。
最初に見た時には、ひょっとすると日本以外の人々の核爆弾や放射線に関する知識はこの程度のものなのかもしれないと思いました。またヒルダとジムの夫婦についても、愚かさや無知に対しては否定的な感覚を持ちました。(感動もしましたが・・・)
二度目に見た時には、外国のDVDを買って見たので、字幕もなく、会話が全く理解できず退屈でした。(それが最初のレビュー(星3つだった))
今回は三回目。ヒルダたちの愚かさは、ひょっとしたら、否定的なことだけではないのかもしれないと感じました。お互いのことを思い合ってはいても、確かな知識を何も持たないままの二人の姿は確かに愚かです。しかし、愚かであっても、だからこそ尊いというか・・・。とにかく否定的なものだけではない何かを感じることができました。うーん・・・。うまく表現できていませんね。すみません。中途半端な表現になってしまいました。うまい表現を思いついたら、この部分また書き直します。
この映画のソフトさに、本来の核の怖さを知っている人たちから批判の声が上がることもあると思います。それは当然のことです。
それでも、この映画を全世界の子どもたちに見せることには、とても大切な意味があるのではないでしょうか。
だからこそ、しぼりにしぼって、せめて45分程度におさめて欲しい。日本ならば小学校の授業で見せることのできる長さにして、義務教育のうちに、国民全員が見ることができるようになれば、と願ってしまいました。
また、「愚か」という表現を使ってしまいましたが、今回初めて、私自身も、確かに核などに関する知識は彼らよりずっとたくさん持ってはいるのでしょうが、彼らと何ら変わりがないのではないかと感じました。
デヴィッド・ボウイの「When The Wind Blows」が心に残ります。
〈最初のレビュー〉
いい映画なのですが、いかんせん長い。
30分くらいにできれば、小さなこどもたちにも見せることができるのにと思った。
DVDを買いたくても買えないのも残念。
こんなアニメ映画があったんだな。
2011.3.11。東日本大震災を経験した日本人にとっては、また違った思いで鑑賞せざるをえない。
時代は1980年代なので、米ソ核戦争を想定したものであり、チェルノブイリ以前だということを頭に入れておく。ほとんどが夫婦の会話のみ。それも多少ボケてはいるが、ほぼ知識の少ない一般人レベルなので、感情移入しやすい。第2次世界大戦を経験して、「あのときの戦争はよかったわ」などとたわけた発言もある(笑)。だから、どうしても過去の戦争しか比較の対象になっていない会話。夫の方は広島原爆についても知識があり、うんちくを並べ立てるが、科学の進歩により核兵器は格段の差があるだろうと予想はできた。しかし、政府発行のパンフレットに頼り切り、窓に白ペンキを塗ったり、ドアを60度に立てかけ、それが核シェルターになるのだと真剣に取り組んでみるのだ。
あっという間に核戦争。一つの原爆が落ち、夫婦の住む家はボロボロに・・・それでも二人はなんとか生きていたが、用意した水を入れた瓶はこなごな。食料だってまともに食えたのは缶詰のみ。やがて、原爆症の症状が彼らを蝕んでいくのだった・・・髪が抜け落ち(チャーリー・ブラウン似の夫はもともと毛がない)、赤い斑点が現れ、二人とも衰弱の一途を辿る。最後にはなぜか紙袋を被る二人・・・
核に対する無知。無知の美学。世界の終焉とあらば、そのほうが幸せなのかもしれない。アニメで描かれているのはそんな内容だけど、反核ではあるが反戦ではない。しかし、ハリウッドの映画人にはなかなか作れない内容なのは確か。同じ核保有国でありながら、感覚が違うんだろうな。
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