劇場公開日 1947年6月

「イングリッド・バーグマン。意外とパワフルなボディ」ガス燈 KIDOLOHKENさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 イングリッド・バーグマン。意外とパワフルなボディ

2025年11月8日
PCから投稿

とにもかくにも、この映画のレンズが素晴らしい。
私は映画オタクであると同時に、カメラオタクでもある。私の部屋にはフィルムカメラばかり7台もある。 なぜそんなにフィルムカメラを買ってしまうかというと、描写の良いレンズで撮った写真を見るとレンズが欲しくなるからだ。
レンズによって写り方が変わる。私は写真を見ただけでどのメーカーのレンズがわかるというのは大袈裟だが。傾向ははっきり分かる。だから、レンズのためにカメラも買ってしまう。

そして、この映画を撮影したレンズは本当に特別だ。
どう特別かというと――ピントがぴったり合っていて且つ周囲の“ボケ”が美しい。
35ミリの普通のスチルカメラでピントを合わせても、こんな大画面で見たら完全には合っていない。(私はプロジェクターで大画面にして映画を見ている)・・このレンズはすごい。
もちろん現代のオートフォーカスなら別だが、この時代はまだ完全マニュアルフォーカス。 それなのに、これほど正確にピントが合っているのは驚異的だ。そしてボケが美しい。なぜ35ミリフィルムで撮った映画のピントがここまでのレベルなのか?
それは、映画用カメラと市販カメラの技術レベルがまるで違うからだ。
一般のカメラを乗用車とすれば、映画用カメラはF1マシン。
当時は1台1台が職人の手で組み上げられ、レンズも一本ずつピントは性格で且つ微妙なボケが出るように手研磨で仕上げられていた。
しかも当時の光学ガラスは今ほど均質ではなく、そのわずかな不完全さが味わいを生んだ。
現代の完璧なレンズでは出せキャノンでも、フジでも、ニコンでもペンタックスでもいい。
あのオールドレンズの味わいを、もう一度蘇らせてほしい。
もしそんなレンズを作ってくれたら、私は迷わず一番高いカメラを買うだろう。現代のカメラにはない“柔らかさ”がそこにある。

そして、そのレンズで撮影されたイングリット・バーグマンは抜群に美しかった。だけでなく、豪華な衣装、それも肩だし衣装で惚れ惚れする美しさだった。イングリット、意外とパワフルボディ。

KIDOLOHKEN
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