「”愛”について語りたくなる。」カサブランカ とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)
”愛”について語りたくなる。
女一人に男が二人。
筋だけ追えばメロドラマ。
だが、それを格調高くしている、登場人物の生き様。
時代背景も絡んで、どう生きてきたか、どう生きていくかが、各登場人物に問われる。
自分だけのために生きるか、誰かのために生きるか。
ファムファタール。否、破滅させているわけではないから、単なる”運命の女”か。
二人の男を手玉にとる悪女のようにも見えるが…。
困難な道を歩む愛する男を支えて生きるか。
恋しい男と、穏やかで楽しい生活を送るか。
揺れる女の覚悟。でも…。でも、でも…。
永遠だと思っていた愛が、つかぬ間のものだと知った男。
傷ついた心。世界情勢。揺れる男の決断。つかぬ間が永遠になる方法。
愛する女の間夫を知った男。
でも、取り乱さない。自分にはやらなければいけないことがあるから。ただ、愛する女の無事と幸せを願うのみ。
プロパガンダ映画として制作されたのではないが、プロパガンダ色が濃厚な映画。
映画に出てくるドイツはナチス親衛隊ではないが、ナチスがやったことを知っているから、つい、ラズロが英雄に見え、応援したくなってしまう。
ハンフリー・ボガート氏。ハードボイルドの代名詞。
だから、最初はリックが傷ついた心を持て余し、グジグジしているので驚いた。
でも、気持ちは共感できる。恋敵と自分を裏切った女の生死を決める切り札をどう使うのか。
映画は、物語でも堪能させてくれるが、魅惑的な台詞のオンパレード。
意訳の代名詞。バーグマンさんの瞳にくぎ付けになってしまい、この台詞が説得力を持つ。
ボギーの言い方。歯が浮きそうな台詞を淡々と口にするのだが、リックが言うと様になる。
付きまとってくる女を突き放すとき。
怒りを込めて挑むように「君の瞳に乾杯」。想いを込めての「君の瞳に乾杯」。
他にも、他にも…。
そして、ラズロの、ちょっと独善な高潔さ。
彼が下世話に描かれていたら、映画としての余韻がなくなってしまう。
サムや警察署長の愛くるしさが、緊迫した物語の中での息抜き。
それでいて、美味しいところを抑えている。
何故だかわからずに終わった愛は、引きずる。
けれど、
覚悟を決めて終わらせた愛は、永遠の宝物になる。
自分の欲だけではない。
でも、自己犠牲だけでもない。
愛の形。
自分ならどうするか。いつまでも、語りたくなってしまう。
フォロー&共感いただき、ありがとうございます。
(この場を借りて一言お礼言いたかっただけで、重ねてのコメントはしませんし、ご返答のお手間取られなくても構いません)
とみいじょんさんのレビュー通り、私もあらすじだけ言ってしまえばメロドラマだと思うのですが、魅力的なキャラクター達の名演技と粋な台詞の数々、よく練られた脚本と演出には、おおいに魅了されたものです。
すいません、拙筆だらけのレビューですが、今後もよろしくお願いします。