「50年が経過した今なお、リアルな凄みに震えっぱなしの渾身の一作」影の軍隊 ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
50年が経過した今なお、リアルな凄みに震えっぱなしの渾身の一作
メルヴィル作品の中でも、最もリアリステイックな視線が貫かれ、地響きするほどの凄みに震える一作だ。「サムライ」や「仁義」などで知られるメルヴィルは、ナチス占領時代、この映画と全く同じ立場でレジスタンス活動に身を投じていたという。彼は自らの体験を決してそのまま描くような真似はしない。それゆえストーリーは全くの別物ではあるが、そうであってもあらゆる細部に、彼自身が実際に見たり、触れたりした記憶が直接的ではない形で刻印されているのは確かだ。
あからさまな感情を挟まず、ストイックに淡々と重ねていく描写が特徴的だ。それゆえ登場人物の「行動」が個性を規定する要となる。あのメガネ姿の中年男に自ずと魅了され、それにも増して、組織を束ねる小太りのおばちゃんの、あの力強い統率力に惚れ惚れしてしまうのも、きっと「行動」のなせるワザだ。公開から50周年が経つが、古臭さなど微塵も感じない、心底しびれる作品であった。
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