劇場公開日 1970年5月30日

「レジスタンスの悲哀」影の軍隊 kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0レジスタンスの悲哀

2019年4月27日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 ジャン=フランソワの独白もあるが、ほとんどがジェルビエ(ヴァンチェラ)のモノローグ。イギリスへ渡ったものの、本国のことが気になり即座に帰国したジェルビエ。同志たちと合流するも、親友でもあったフェリックス(ポール・クローシェ)がナチに捕まり、それを救出しようとするのが前半のヤマ場。そこで活躍するのが女性闘士マチルド(シニョレ)だ。しかし、ジャン=フランソワは作戦に加わらず、自ら捕まりフェリックスの最期を共にする。自らも拷問によってズタズタにされながら、瀕死状態のフェリックスに青酸カリを与えるところなんて悲しすぎる。

 具体的なレジスタンスのテロ行動なんて一切描かないで、仲間の逮捕、救出劇がメインの映画で、しかも淡々と描かれているところなどは戦争映画とは感じさせないほど。終盤にはマチルドが捕まり、「仲間のアジトを教えるか、娘をポーランドに送り慰み者にするか」という選択を迫られ、真の仲間のアジトは教えなかったものの同志2人を逮捕させられた。そこで、ジェルビエはマチルダ暗殺を指示する・・・

 レジスタンスの虚しさ、非情さを訴えてくる映画。ナチに対する憤りよりも、仲間を殺さねばならない悲しさ。リーダー格の非情さに対して、それを拒否しながらも実行しなくてはならないバイソンやマスク。最後のテロップでは皆ナチによって殺されたようだ・・・レジスタンスの陰の部分を描いた傑作ともいえる。

kossy