おもいでの夏(1971)

劇場公開日:

解説

性への好奇心と、美しく優しい年上の女性への思慕の情と、同時に湧き起こる思春期を迎えた少年の微妙な心理をノスタルジックな感覚で描いた作品。製作は29歳の新進気鋭のプロデューサー、リチャード・ロス、監督は「レッド・ムーン」「幸せをもとめて」のロバート・マリガン、脚本はハーマン・ローチャー、撮影は「コレクター」「卒業」のロバート・サーティース、音楽は「シェルブールの雨傘」「華麗なる賭け」のミシェル・ルグラン、編集はフォルマー・ブラングステッドがそれぞれ担当。出演は「リオ・ロボ」のジェニファー・オニール、16歳の新人ゲーリー・グライムス、19歳で俳優志望のジェリー・ハウザー、オリヴァー・コナント、キャサリン・アレンタック、クリストファー・ノリス、ルー・フリッゼルなど。

1971年製作/アメリカ
原題または英題:The Summer of '42
配給:ワーナー
劇場公開日:1971年8月7日

ストーリー

15歳の夏、ハーミー(ゲーリー・グライムス)はニューイングランドの沖合いに浮かぶ美しい島にきていた。1942年の夏、第二次大戦の戦火を逃れて--。彼は友達のオシー(ジェリー・ハウザー)とベンジー(オリヴァー・コナント)の3人で、退屈な日々を終日海辺で暮らしていた。性への旺盛な好奇心を湧きたたせながら砂浜にたわむれる3人は、ある日、小高くなった丘にポツンと建った家の前で、新婚の若い夫婦が楽しげに語らっているのを、遠くから眺めていた。2人が家の中へ入っていくのを見て、少年らしい想像力をめぐらせたオシーとベンジーは、照れ隠しのふざけあいに興じた。しかし、ハーミーの目には、その美しい新妻の横顔が鮮明に焼きついて離れず、ただ呆然と小さな家を眺めていた。翌日、桟橋でボートに跳び乗ったハーミーの目に、昨日の美しい女の姿が映った。彼女は、戦場に向かう夫を見送りに来ていたのだ。ハーミーはただただ目を奪われていた。数日後、沢山の買い物を抱えきれずに困っている夫人の姿を見たハーミーは、勇気をふるって夫人に近づいた。彼女の名前はドロシー(ジェニファー・オニール)といい、ハーミーは、彼女の美しさ、優しさに心をときめかすばかりで、彼女の質問にもトンマな返事をしては、後悔していた。ある日ハーミーたち3人は、ベンジーが家から盗み出してきた医学書に熱中し、その重要項目をコピーして、ガール・ハントに出かけた。映画館で女の子3人のグループに声をかけ、うまくハントに成功したと思ったら、ベンジーはおじ気づいて逃げだし、女の子の1人も帰ってしまった。結局2対2となり、オシーはミリアム(クリストファー・ノリス)と、ハーミーはアギー(キャサリン・アレンタック)相手に、映画館の暗闇でゴソゴソやりだした。翌日、荷物の整理を頼まれたハーミーは、ドロシーの家で精一杯おとなを気取ってはみたものの、憧れのドロシーを前にして、またヘマばかり繰り返してしまった。ミリアムとアギーを夜の浜辺に誘い出す前に、ゴム製品を買いにドラッグストアーに入ったハーミーは、いぶかしげな主人にしどろもどろになりながらも、ようやく手に入れた。夜、ミリアムを相手に奮闘するオシーは、医学書通りに最後の項までも進んでしまったが、ハーミーはドロシーが心から離れず、物想いに耽るばかりだった。ドロシーに招かれた日の夜、ハーミーは盛装してドロシーの家を訪れた。ノックの音に答えはなく、彼はドアを押しあけて中へ入った。蓄音機には曲の終わったレコードがくるくる回り、タバコの紫煙が立ちのぼり、そしてテーブルの上に1枚の電報が置かれていた。ドロシーの夫の戦死を知らせる電文であった。じっと立ちつくしたハーミーの前に、泣きはらした顔のドロシーが現われ、蓄音機の針を落とし、流れ出る曲に合わせて、ハーミーを躍りに誘い込んだ。ハーミーはただ黙って誘われるままに踊った。ドロシーはハーミーの胸に顔を埋め、とめどない涙を頬に伝わらせた。躍りながらベッドに誘うドロシーの悲しみを、ハーミーには理解することができなかった。ドロシーのベッドで朝を迎えたハーミーは、黙って身仕度を整えて去っていった。夕方、もう一度ドロシーの家を訪れたハーミーは、彼に宛てた一通の手紙を発見した。「昨夜のことは、あなたがおとなになった時、きっと理解してくれると思います。私は実家に帰ります--」。翌日、ハーミーは、遠くから、今は主のいなくなった丘の上の家をじっと見つめていた。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

受賞歴

第29回 ゴールデングローブ賞(1972年)

ノミネート

最優秀作品賞(ドラマ)  
最優秀監督賞 ロバート・マリガン
最優秀作曲賞 ミシェル・ルグラン
詳細情報を表示

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む

映画レビュー

3.5こんな感じだった

2024年10月15日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

幸せ

女の人の裸が見たくて見たくて、そればかり頭に浮かべてた。初めて女の人の裸を見た時、ついにきたと思った。夢のようだった。年上の女の人だった。そんな男の子の時に体験する思い出をとてもリアルに描いている映画だった。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
ブロディー署長

4.50037 ジェニファーオニールに溺れる

2024年7月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館、TV地上波

1971年公開
ガキならこんな展開絶対あこがれるよな。
ミシュルルグラン優美なテーマにのって
妄想が脳内一杯に拡がる。
こんな若奥様にみつめられたら卒倒するって。
これ一作でジェニファーオニールは映画史に残るようになる。
95点
初鑑賞 1977年12月16日 大毎地下劇場
テレビ初鑑賞 1976年10月31日『日曜洋画劇場』

コメントする (0件)
共感した! 1件)
NWFchamp1973

5.0純粋な憧れ

2022年12月11日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

懐かしいミッシェルルグランの名曲がタイトルバックに流れていく。
ゲイリーグライムズ扮する思春期の高校2年生ハーミーは、悪ガキ3人でジェニファーオニール扮するドロシーを初めて眺めて見た。
性への関心が頭に蔓延している思春期に導いてくれる年上の女性はまるで女神の様。ましてジェニファーオニールの様に綺麗な人なら憧れて夢中になるのも無理の無い事だ。純粋な気持ちこそ制御出来ず想いはふくらむばかり。そんな想いを胸に人は成長していくのさ。久しぶりに観たけど、やっぱり名作だったな。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
重

3.5おもいでの映画

2022年11月8日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

1942年、島では主人公(ゲーリー・グライムス)が友達二人とつるんで遊んでいた。
夫を戦地に送り出した美しい人妻(ジェニファー・オニール)が、好きになってしまった主人公は性の目覚めを経験する。
コメディなのだが、ミシェル・ルグランの美しいメロディと、ジェニファー・オニールにメロメロになったのを覚えている。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
いやよセブン