「ナチ残党の地下組織」オデッサ・ファイル odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
ナチ残党の地下組織
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「ジャッカルの日」と並ぶフレディリック・フォーサイスの代表作「オデッサ・ファイル」の映画化である。わくわくしながら読みふけった記憶はあるのだが小説も映画も内容はほとんど忘れてしまった、BSでやっていたので久しぶりに再鑑賞してみました。
フリーのジャーナリスト、ペーター・ミラーがふとしたきっかけで元ナチス親衛隊のエデュアルド・ロシュマンの消息を追うサスペンスドラマなのだが実在のナチハンター、サイモン・ヴィーゼンタールも登場し史実とフィクションをうまく織り込んでいる。
オデッサとは元ナチス親衛隊員の逃亡を助ける地下組織なのだが同様な組織は他にもシュピネ、シュティレ・ヒルフェ、ルーデル・クラブ、ブルーダーシャフト、HIAGなど数あり、親ナチ政権の南米、スペイン、反共のバチカン、アメリカ本国などへ数万人が逃亡したとされているから驚きだ。副総統のマルチン・ボルマンは敗色を察し再建のための金塊や軍資金を新型輸送用潜水艦を使ってヨーロッパ、南米などに分散、隠匿した、中には産業用機械や高度な工業製品の設計図も含まれていたと言う。この莫大な資金を背景に戦後実業家として活躍したものも多かったと言う、サイコパス特有の商才だったのだろうか。
ロシュマンは実際にはアルゼンチンに逃亡したが本作公開後の1977年にパラグァイで死体が発見されている、一説には仲間内の口封じとも言われている。
ペーターの動機は残虐非道なナチスへの憤怒としても身を挺しての潜入捜査など度を越していると感じていたが終盤に来て腑に落ちた。ナチス残党は仮想の敵役よりリアリティがあるので2時間10分の長尺だが見入ってしまった。
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