「色彩の魔法」オズの魔法使 neonrgさんの映画レビュー(感想・評価)
色彩の魔法
4Kで再見しました。テクニカラーの黎明期に作られた作品で、何よりもまず「色彩の映画」として印象に残ります。モノクロのカンザスから一転して、オズの国に入った瞬間に広がる鮮やかな色の世界。まるで「これが新時代の映画だ」と宣言するかのように、色そのものの存在感を楽しませてくれます。心理的な色彩演出がまだ確立していない時代だからこそ、単純に“見せるための色”がここまで力強く働いています。
物語は、心・知恵・勇気を欠いた仲間たちとともに旅を続けるドロシーが、実はすでにそれらを内に備えていたことに気づくまでの過程を描いています。外の世界を冒険するように見えて、実は「自分の中にすでにあった力を再発見する」物語です。
「魔法使いオズ」が実は空虚な存在だったという展開も、外的権威よりも自己の内なる可能性を信じる寓話として響きます。
ラストのセリフ——「もしまた心の望むものを探すときがあっても、自分の庭より遠くを探しはしないわ」——に、この映画のテーマが凝縮されています。夢のような世界を経て、現実を再び肯定する。子どものための物語でありながら、大人が観ても胸に残る普遍的な作品です。
色彩が映画という芸術に与えた“最初の魔法”を、今あらためて実感できました。
鑑賞方法: BS4K
評価: 90点
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