傷痕の掟
劇場公開日:1959年1月3日
解説
藤原審爾の『殺し屋』を、阿部桂一・青山民雄が共同脚色し、「夜は俺のものだ」の森園忠が監督したアクションドラマ。撮影は「姿なき顔役」の井上莞。音楽は山内正。「港でうまれた男」の安井昌二・南風夕子をはじめ、渡辺美佐子・牧真介、それに劇団民芸が出演。
1959年製作/70分/日本
配給:日活
劇場公開日:1959年1月3日
ストーリー
ヤクザ、テキヤ、愚連隊の三者が日夜激しい縄張り争いをつづける浅草の裏街で、今日もヤクザと愚連隊の出入りがあり、チンピラの駿が追われて逃げ回っていた。せっぱ詰った駿は島津組の兄貴分である兄の周治のもとへ飛込んだ。しかし周治は、ヤクザの仁義はまげられないと、冷く帰した。駿は高田組のヤクザに捕り、リンチを受け、指を詰める代りに高田組の親分から、三日後の夜十一時、大和ホテル二十四号室にいる東神社長・梶川剛造を殺すように命ぜられた。犯行後は神戸の津川組を頼り台湾へ飛ぶようにとも云われた。その日、十一時、駿は梶川の部屋に忍びこんだ。が、慌てた彼は拳銃の安全装置をはずすのを忘れ、逆に梶川から拳銃で狙われた。梶川は駿に見逃してやろうと云った。駿は外へ出た。と、そのとき二十四号室に拳銃の音がし、引返した駿はそこに血まみれで死んでいる梶川を見た。「俺が殺したんじゃない」--駿は直ぐ神戸へ高飛び津川組に行った。ところが津川組では、知らぬ存ぜぬの一点張り、駿は進出した。それもその筈、高田組では駿に梶川を殺させ、証拠を消すため駿をも殺そうとしていたのだ。神戸で育った駿は港の町をさまよい、歩くうち、幼馴染みの美奈に会い、彼女が女将をしている飲み屋・渚館にかくまってもらったが、間もなく美奈は津川組の親分の妾と分った。美奈は、それでも駿を優しい心で愛したが長い逃亡生活に怯えきった駿は、ある暗い夜、渚館の廊下にたたずむ黒い影の男に慌てて拳銃を放つ始末。そして倒れた男は、意外にも兄の周治だった。あの晩梶川を殺したのは周治だった。彼は台湾へ飛ぶための足がかりに神戸へ来たのだ。二人は宿命に泣いた。それというのも、駿の姉で周治の妻となった志津子が病床に伏し満足な治療のできなかった周治に憤激、駿が医療費を稼ぐため愚連隊に身を投じ、周治もまた続いてヤクザに身を売ったという二人の境遇だったからだ。しかも志津子は死んでしまった。--駿は美奈を連れ、周治と三人、台湾へ逃げることにした。その夜、三人は第五号桟橋に集った。と、そこへ津川組の一団が美奈を追ってきた。周治は弟と美奈のため津川組の矢面に立った。彼は倒れた。断末魔の周治は駿と美奈を促し船に乗せた。夜空にドラが鳴った。