「ストーカー物語」おかしなおかしな大追跡 odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
ストーカー物語
冒頭からトップシークレットの書類がチラリと出てくるからスパイものかサスペンスを予感させられるが尾行者の必然性の無いゴルフバッグ、ドジ加減で真面目に観てはいけない種類の映画だと察知するも主役のジュディ(バーブラ・ストライサンド)の役どころが理解できずに沼に嵌る。
ファニーフェースだし御年30才、おまけに犯罪者もどきのストーカーだからとっつき悪さは半端ない、さんざん振り回されるのが前年のヒット作「ある愛の詩」のライアン・オニールだから痛々しくて見ていられない。見どころはタイトルにもある大追跡、くだらない猿芝居を1時間も見せられた後の10分間のクライマックス、サンフランシスコの坂道をマックィーンの「ブリット」顔負けのカーチェイスだが10分間で湾にドボン。海中に落ちたドライバーは数分上がってこなかったので監督も心中穏やかではなかったようだ、幸いスタントマンは無事だったようだが感謝を込めてクレジットに29名のスタントマンの名が挙げられた。(本作以前は裏方なので名が出ることは無かったそうだ)
歌はバーバラの本職なので文句なし、少しは良いところも見せないと・・、最後に「ある愛の詩」の名セリフまでギャグにするのは悪趣味でしょうに、まあ当時は皆が使っていましたけれどね「愛とは決して後悔しないこと」なんてね、後にライアンは本当に白血病にかかってしまったのだから恐ろしい。飛行機でバーバラの隣の席の老婦人はライアンの実母パトリシアさん(女優)です。原題のWhat's up Doc?はバックスバーニーの決め台詞(先生ご機嫌かい?)でもありアニメのタイトル、エンドロールにもポーキーのドックと一緒に出てきましたね、映画の頭の方でバーバラが人参スティックをつまみ食いしていたのはバーニーを模していたのですね。
監督はバーバラから映画のオファーを受けた時、喜劇ならと引き受けたようです頭の中には昔の喜劇「赤ちゃん教育(1938)」があったそうです、豹をペットに飼っている奔放な令嬢(キャサリン・ヘプバーン)に生物学者(ケーリー・グラント)がいいように振り回されるスクリューボールコメディの古典だそうです、機会があったら観てみましょうか。