オールウェイズのレビュー・感想・評価
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スピルバーグと共有してる私の夢
WWII時代の名爆撃機を改造した消防飛行艇‥ 大好き。
細かい飛行管制も時刻表もなくプロの技術と勘、勇気と使命感を武器に自然と仲間を救うダイナミックな仕事‥ 厳しい世界だろうけど、かっこいい。
相棒はジョン・グッドマン、地上には操縦士仲間でもあるキュートなホリー・ハンターが帰りを待っている‥
羨ましい。
最高の仕事、最高の仲間と彼女。
私にとっての夢を現実として描いた冒頭十数分だけで、既にこの映画は私にとって⭐︎x4〜です。
その上、この映画世界を司る神はクールなスピルバーグ。道半ばで死んでしまうのは残念だけど、その先の案内人はヘップバーン‥
空の映像も素晴らしく、終盤物語が多少スピード感や自然さを欠いても正直五つ星を惜しみません。
とは言え、無条件で贔屓の引き倒しをしては却って映画の評判に良くないので、お話しや登場人物が情緒に溺れっぱなしという点から一応-0.5としておきます。
森林消火飛行隊
本作は1943年の「A Guy Named Joe」のリメイクです、ジョーというのは個人ではなくGIジョーのように軍人一般をさす呼称です。現代版へのリメイクにあたり主人公は軍人でなく森林消火飛行隊のパイロットに改められました、出動は戦争に似た常に生死の危険と隣り合わせという観点からでしょう。
主要プロットは死者の霊が若いパイロットや元カノの守護神になるファンタジーロマンスということでしょう、そういう意味では翌年のゴースト/ニューヨークの幻と併せゴーストもののパイオニア的作品でしょう。
ただ、そんなこととは知らずに山火事消火の航空サスペンスかと期待して観始めた冒頭からパイロットたちの馬鹿騒ぎや色恋沙汰では、今も各地で人々を恐怖に晒す大規模な山火事に対処する消防隊の話としては緊張感が無さすぎると戸惑いました。
中盤になって元カノに新しい恋人出現のくだりでは嫉妬心剥き出し、これでは守護神でなくストーカーかと落胆しましたが結末では見事な転身、まさか元カノが決死の消火に飛び立つとは、ひょっとして後追い心中かと動揺しましたが、それもこれも観客を揺さぶるスピルバーク流のドラマツルギーだったのですね。
驚いたのは神の使い役でオードーリー・ヘップバーンさんの登場、想像するにアカデミー脚本賞をとった原作脚本家はダルトン・トランボさん、そうです、彼はかの有名な「ローマの休日」のゴースト脚本家でもありますから、その縁からかもしれませんね。図らずも3年後に亡くなった彼女の遺作となってしまいました。
出来が悪いとは言いませんが緩急のバランスが今一不自然、個人的な感想としては流石の巨匠もコメディタッチの演出やラブ・ストーリーには不向きかなといった印象です。
感動できる設定になっていない
主役のピートが死んで、その後の行動は虚しいだけに感じました。若手への指導や彼女への愛情(未練)が描かれてますが、感動できません。
気になったのは下記です。
・彼女が訓練所へ引っ越してきた理由がよく分からない。
アルに説得されたようだが、訓練所に住んでることに違和感があります。
元々、消防飛行士になると言ってピートに反対されてます。しかし、同じパイロットの仕事をして、より彼のことを知りたいと飛行士の訓練に来た設定なら理解できます。
・ピートの能力
脳に直接語りかけることにより、操縦のコツを掴むのでしょうか?どのように影響しているのか分かりづらく、これでは指導する難しさや若手の成長の過程が描けないです。
・ドリンダが何故勝手に飛行機に乗り込むのか理解できない。これでは消化に成功しても感動できません。
まずは、危険が大きくピートぐらいの天才でないと無事には帰れない設定にして、他の誰も行きたがらない状況を作った方が良いです。その上でドリンダが志願するが、アルには止められる。反対を押し切って乗り込むなら感情移入できそうです。
・湖面に不時着でピートが助けるが感動できない。
天使から、もしドリンダが死んだら、こちらの世界で一緒にいさせてあげると誘惑されていれば、行動に選択肢ができて助ける意味が出来たかも。
以上
生きてるうちに
終盤の星空からの飛行シーンは、いつ観ても優しい気持ちになる。
最後の最後迄、恋人を見守り、どんなに大切に想っているかを伝えようとしても、彼女(ドリンダ)には聞こえないし、彼(ピート)の姿は見えない。
なぜなら彼(ピート)は、もう死んでしまっているから。
「今、つらいのは、俺達が愛を言葉にしなかったという後悔だ。
冗談めかさないで、ちゃんと言うべきだった。
やっと、言いたかった事を言える。
愛してるよ、ドリンダ。
君を愛してる。
俺の言葉が君に聞こえたら…
真実の言葉だからね。
素晴らしい君の人生。
これからも、そうだ。」
と、最愛のドリンダへ語り掛けるピート。
彼女を川底から救い出し、彼女を待つ人達の元へと、導く彼からの最後の言葉。
「あそこに君の未来がある。
俺から離れ、彼らの所へ。
俺は君の心から出て行く。
さぁ、行って。」と、彼女の記憶から去る事を決意。
最愛の人がいつまでも、自分を忘れられずに、哀しみに暮れる姿なんて見たくない。
本当は、自分の事を忘れないで欲しい…けれど、最も望むのは彼女の幸せ。
なんて、ジェントルマン♪
大切な人達には、生きてるうちに、素直に感謝の気持ちを伝えたいな。
愛情の出し惜しみは、もったいない。
そう思える映画です。
スピルバーグで最も地味な作品?
総合:65点
ストーリー: 65
キャスト: 65
演出: 70
ビジュアル: 70
音楽: 70
田舎臭い中年親爺たちばかりが集う山奥の飛行場。山火事を消すパイロットたちには最新のファッションも流行も関係なく、仕事の他に娯楽といえば仲間たちと飲み会を開くくらいしかすることもない。登場する主役も特に若くもないし美男美女でもない。
だがとにかく仕事には真摯に取り組む。時には命懸けで仕事に挑む。森や環境を守っているのは彼らである。地味だがしっかりとやることをやってしっかりと生きている。そんな彼らの真面目な恋愛映画。派手で浮ついた感じはないが、深刻すぎて重過ぎるということもない。
しかし死んで幽霊になってもうろついているだけで何も出来ない状態が延々と映画の後半で続くのはちょっといただけない。かつての恋人を見守るだけでは少々退屈してしまう。もう少し何とか物語の抑揚をつけられなかったものか。こういう地味だが地に足がついている舞台設定と話は悪くないとは思うのだが。
「お熱いのがお好き」でね
映画「オールウェイズ」(スティーブン・スピルバーグ監督)から。
「森林火災消火隊」なるものが存在するなんて、アメリカらしい。
日本では耳にしたことがないから。
さて、気になる一言は、主人公・ピートが、山火事消化に燃え(笑)
恋人・ドリンダの「無茶しないで」と心配する気持ちに答えた台詞。
「『お熱いのがお好き』でね」
マリリン・モンロー主演の50年以上前映画『お熱いのがお好き』
(英題名:Some Like It Hot)がさらっと会話に出てくるところがいい。
消火活動中、飛行機の中は、もの凄い熱さだろう。
それを、さらっと切り返すところは、アメリカ人にとって、
映画は生活の一部として、会話にも多用される文化を持っているな、と
羨ましくもあった。
年老いてはいたが、オードリー・ヘプバーンの魅力は健在だったし、
アメリカで有名なお笑い番組は「料理研究家ジュリア・チャイルド」の
料理番組って再確認もした。
映画の中に、他の映画作品が出てくるのも洒落てるなぁ。
ジャンルの定まらない独特な感覚が人を感動させる
スピルバーグは純粋な恋愛ストーリーを書くのが恥ずかしいのか…。ただの恋愛でなくファンタジー要素も入れて恥ずかしさをごまかしてるようにみえた。しかしやはりスピルバーグ。最後の海のシーンで観客を唖然とさせるであろう謎のシーンははっきりしないまま物語終了。
最初のピートの着陸シーンで、管制塔の人がベランダに出て太陽の照り付ける空を走り抜けるピートの飛行機を見上げるシーンが美しい。そして最後の海の底から月が照らす海面を写すシーンも美しい。カメラワークは抜群だ。
途中まで生きていたリチャードと演技した後に幽霊のリチャードを無視しながらのホリーの演技は天才的。特にダンスシーンはホリーの天才っぷりが見受けられる。
そして最後の最後でピートが天国に帰るシーンでは滑走路を歩いて行くシーンは、リチャードの演技がまるで英雄のような風格を出していた。恋愛(最終的に恋愛かどうかよくわからないが)の映画で鳥肌がたったのは久しぶりだ。
素晴らしい演技が物を言うとはこのことだ。
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