オーケストラの少女のレビュー・感想・評価
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テレビの前で 親も子も 涙を止め得ない
ストコフスキーが驚きながら階段の踊り場に立ち尽くし、
その偏屈者の腕がついにタクトを振り始めるとき、
なんだろう・・
親も子も、感動の涙が溢れ出すのです。
子供は子供で泣き、
大人は大人の思いで泣く。
NHK交響楽団のソリストがラジオで語っておられました。彼もやはり音楽家であった父親と共にこの映画をテレビで観たのだけれど、
泣いていることを悟られないように大変だったが、自分もこの映画をきっかけにクラシックの道に入った。
実はN響の仲間たちには「同じ経験」をした者が少なくないのですよと。
そういえばこれ、うちの子たちには観せたんだっけ・・?
無垢な魂で憚らずに泣けた時代。
これこそ珠玉の音楽映画ですよね。
【”乾杯の歌”今作は、失業中の演奏家の父と、100人の演奏家たちに幸福を齎した少女の歌声の魅力と、彼らの演奏を聴いた世界的指揮者の決断を描いた幸福なる作品である。】
■パトリシア(ディアナ・ダービン)の父は失業中のトロンボーン奏者である。優しい父を再び一流のオーケストラで演奏させたいと願うパトリシアは、財布を拾って届けて上げた気まぐれな金持ちフロスト夫人の言葉を信じ、失業中の楽士ばかりを集めて100人オーケストラを結成する。
 さらに、一流の指揮者・ストコフスキー(as himself)に指揮を依頼するが、彼は演奏の予定が詰まっており、パトリシアの歌声に心を動かされるが、父たちのオーケストラの指揮を断るが・・。
◆感想
・前半は、フロスト夫妻をはじめとした金持ち連中の、職無き演奏家たちの窮状を知ってか知らずかの、いい加減な対応に振り回されるパトリシアや、彼女の父や演奏家たちの姿を見て、チョイ苦い気持ちになる。
・だが、パトリシアの奮闘を知り、力になるタクシー運転手の粋な行動や、パトリシアのど根性で、ストコフスキーに指揮を依頼しようとする姿が、徐々に沁みて来る。
■圧巻なのは、パトリシアを演じたディアナ・ダービンのハイハイファルセットボイスであり、彼女の歌声に心を動かされたストコフスキーに向けて階段で演奏する100人オーケストラのシーンである。
 ストコフスキーは、その見事な演奏を聴いているうちに、自然と腕がタクトを振るように動き、決まっていた公演を延期し、100人オーケストラの指揮を引き受けるのである。
 そして、正装した100人オーケストラの面々は誇らしげに、満員の聴衆の前でストコフスキーの指揮の元、演奏を披露するのである。
<今作は、失業中の演奏家の父と、100人の演奏家たちに幸福を齎した少女の歌声と、彼らの演奏を聴いた世界的指揮者の決断を描いた幸福なる作品である。>
ファンタジアでは、シルエットだけだったが、完全な姿が拝める
チャイコフスキーの5番で始まり、乾杯の歌で終わる。
夢の様な映画だ。ちょっと古すぎるから音がね。
レオポルド・ストコフスキーの指揮をする姿と言えば、ファンタジアだが、すくっと姿勢良く立って、顔をやや上げ気味で指揮をする。ファンタジアでは、シルエットだけだったが、完全な姿が拝める。歴史に残る映画だ。もっとも、レオポルド・ストコフスキーは、色々な事に挑戦していたので、玄人すじでは、アイドル指揮者と思われていた。しかし、そんなこと関係ない。
映画の内容も実に功利主義的で、アメリカらしくて面白い。頑張っている姿が健気で、実に笑える。
お茶の間向きの楽しい映画
名作
 フロスト夫人のスポンサー申し出は単なる酔狂だったのか?夫ジョン・フロストは出資を頑なに拒否し、失業者楽団は路頭に迷いそうになる。「有名な演奏家や指揮者を見つければ別だ」という言葉に対して、想像はつくが荒唐無稽の行動に出るパッツィ。
 レオポルド・ストコフスキーの演奏会、リハーサルも素晴らしいが、フロスト(ユージン・ポーレット)、フルートのマイケル(ミッシャ・オウア)やタクシー運転手(フランク・ジェンクス)などの脇役陣がストーリーを引き締めている。有名な音楽家、指揮者に出演依頼するという後半のプロットは『かれらに音楽を』にも使われるが、こちらは新聞社の勘違いというサイドストーリーもパンチが効いている。
 かなりコミカルな展開なのも、飽きずに観られる。大不況時代に夢を見失った失業者たちに勇気を与えてくれる映画。アイドル映画と評されても仕方がないけど・・・
溌剌と活躍する少女の歌と行動力
音楽映画の名作
音楽映画の名作中の名作です。
大指揮者ストコフスキーの全盛期を映像で見られるだけでも嬉しいのですが、観た人をハッピーにさせるだけのパワーがあります。
嘘が嘘を呼びながらも誠になる可笑しさ、何でも歌にしてしまうタクシー運転手や常に悪戯ばかりしている大金持ち役の名脇役ユージン・ポーレット等のキャラクター設定の妙は、当時の世相の深刻な悪化を考えれば信じられない程の事でこの脚本は凄いです。
‘音楽がある生活’がどれだけ豊かな社会を作り上げるかを教えてくれます。
それは最後にディアナ・ダービンが歌の途中で父親役のアドルフ・マンジューに「笑って!」と合図を送る所からも伺えます。
今は何でも揃う時代なので若い人にはどう映るのかは解りませんが、終盤でストコフスキーに自分達の“音”(想い)を知ってもらう為に必死になって演奏する熱い場面での出演者の生き生きとした顔のカットバツクに、階段を生かした人物の配置と素晴らしいクレーン撮影と演出力は何回観ても感動的です。
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