エルマー・ガントリー 魅せられた男のレビュー・感想・評価
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私だったらラストシーンをこう描く
シャロン伝道師による耳の聞こえない男性
への癒しの最中に火災が起き、
彼女は教会の建物と共に焼死する。
そして、鎮火後にエルマー・ガントリーは
男性の耳が聞こえるようになっている奇蹟
を目撃する。
それまで宗教も営業手段の一つ
に過ぎなかったガントリーは、
神の存在を確かめに新たな旅に旅立つ。
奇蹟に関しては
「ことの終わり」
(原作本名「情事の終わり」)や
「太陽は夜も輝く」(トルストイ原作)
のような
神秘的な描写の方が、
ガントリーの今後の人生にも
意味深い余韻を与えるかと考えましたが、
皆さんはどう思われますか?
人間味
バートランカスター。監督に好かれ名画に恵まれた人でした。地上より永遠にに出ていますし、フランケンハイマーやアルドリッチの男臭さを体現しました。かと思えばヴィスコンティにも招聘されました。
美男といえば美男ですが、線は太い人です。野太い。お金持ちでもありますが、貧しさも知っています。何でも対処できる甲斐性があり、善人でも悪人の知り合いがいる気配です。鷹揚で生活力があり、都市の渡世も、孤島のサバイバルもできます。見上げるほどの偉丈夫で粗野ですが、思いやりがあり賢明でもあります。陽気で気さくで、友人知人が大勢、妻もいますが愛人も囲っています。腕力があり、人に頼られ、積極的に人助けもします。という感じです。
じっさい何でも演じました。
軍人もインディアンもガンマンも。囚人や貴族や老人にもなりました。
ここでは流浪のセールスマンでした。口から先にうまれたごとくによくしゃべります。その日暮らしですが人たらしで直向きなところもあります。ジョークを飛ばすと自分も溜まらず笑います。そのとき大きな体躯を仰向きます。デカい男が明解な大声と抑揚で語り笑いながら、身体を躍動させます。
バートランカスターの出演映画を見ているとスクリーン越しとはいえバートランカスターの人間性が伝わってきます。エルマーガントリーもそうでした。
146分で叙事詩のように天と地を駆け巡ります。ドラマチックかつエモーショナルです。文化人が自己映画ベストをやるとかならず市民ケーンですが、私のばあいそこにエルマーガントリーが来ると思います。
遺作となったフィールドオブドリームズでランカスターの演じるMoonlight Grahamが跨いだら戻れないラインを跨ぐシーンがあります。そのとき、物語内の喫緊の状況と同時に、バートランカスターの役者人生が走馬灯のごとく巡るのです。私にとってあれは二重の涙でした。
大晦日の夜、酔ったガントリーは一人の女とホテルにしけこむが、翌朝...
大晦日の夜、酔ったガントリーは一人の女とホテルにしけこむが、翌朝さっさと旅に出る。部屋の鏡に女の口紅を使ってメリー・クリスマスと書いたまま・・・
エルマー・ガントリーはキリスト教を信仰してるように見えるが詐欺師っぽい商売とギャンブルなどで破天荒な生き方をしていたが、シスター・シャロン(シモンズ)と出会い、一目ボレ。伝道師としての説教も詐欺っぽいのだが、何人も騙されているような気がする。“悪魔”“地獄”と“進化論”という言葉を巧みに操って信仰させる手腕。明かにシスター・シャロンや普通の説教とは違う、まるでカルト教団のような雰囲気だ。「信仰復興運動」という名の下に都会へ伝道活動することになって大成功。シャロンもモノにできて、有頂天になっていたところへ、売春婦を街から追い出せと発言したことでツキが一気に落ちてしまう。
人気者になってから醜聞が涌き出てくる。過去に捨てた女ルルは密会現場を写真に撮らせ脅迫してくる。ハデな預言者という演出をしたツケもまわってきたのだろう。しかし、その後はルルが釈明記事を流したり、シャロンが聴覚障害者を治したり、テントが火事になったりと蛇足気味の陳腐な展開。
シャロンをモノにした時の音楽が仰々しくびっくり(笑)
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