エル・シドのレビュー・感想・評価
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ソフィア・ローレンにチャールトン・ヘストン、二人が歴史的大河物語に良く似合っていた
アンソニー・マン 監督による1961年製作のアメリカ映画。原題:El Cid
配給:コロムビア映画、劇場公開日:1962年4月27日
11世紀後半イベリア半島のカスティーリャ王国(後のスペイン王国の中核となった)の貴族エル・シドの活躍を描いていた。
欧州史に疎く、キリスト教徒とイスラム教徒の争いがイベリア半島でなされていたことを初めて知った。
アフリカからのムーア人(ムラービト朝の時代らしい)の侵略に、イスラム教徒も仲間としバレンシアで戦い命を落とすが、死体のまま馬上に据え付けられて戦場を駆け抜け、その結果敵を撃退し、英雄となった物語。チャールトン・ヘストンが何処までも王(アルフォンス王)に重きを置くカリスマ的武官を演じ、随分とサマになっていた。
アルフォンス王は兄を暗殺して権力を奪取する。ずっと姉の言いなりとなっていたが、最終的には、姉の言葉を振り払いムーア人とのエルシド達の戦いに駆けつける。王国の裏面史的部分も描かれていて興味深かった。
かつて相思相愛だったが、剣の名手であった父親がエルシドとの闘いで亡くなったことで恨みを抱き、エルシド殺人を依頼したシメネを、ソフィア・ローレンが演ずる。気位が高い彼女は王の命令でエルシドと結婚するが、決して心は開かない。そんな二人の結婚初夜の寒々とした長い丁寧な描写が印象的。
ソフィア・ローレンの硬い心が、エルシドの行動に次第に溶けて行き、愛情を抱いて行く演技がとても良く、女優としての力量を感じさせられた。
事実か否か確認できていないが、てこの原理を利用した火炎玉を飛ばす道具使用や弓矢による集中攻撃といった戦い方等、多数の兵士と馬が溢れるスケールの大きい戦争描写もとても興味深かった。
監督アンソニー・マン、脚本フレドリック・M・フランク、製作サミュエル・ブロンストン、撮影ロバート・クラスカー、音楽ミクロス・ローザ。
出演
チャールトン・ヘストンEl_Cid、ソフィア・ローレンChimene、ラフ・バローネOrdonez、ジョン・フレイザーAlfonso、ゲイリー・レイモンドSancho、ハード・ハットフィールドArias、マッシモ・セラートFanez、ハーバート・ロムBen_Yussuf、アンドリュー・クルックシャンクGormaz、マイケル・ホーダーンDon_Diego、ラルフ・トルーマンKing_Ferdinand、
テュリオ・カルミナティDon_Pedro、ジェラール・ティシーKing_Ramiro。
壮大な物語に光るソフィアローレンの美しさ
1080年のスペイン。チャールトンヘストン扮するビバールのロドリゴは、侵略者から村を救い、侵略者サラゴサの捕虜を許し解き放った。サラゴサでは、公正かつ寛大で勇気ある戦士をエルシドとよんだ。しかし、ロドリゴは王の命に逆らったとして反逆者となってしまった。ソフィアローレン扮するシメンは、ロドリゴを愛していたがシメンの父親は反対していた。ロドリゴは、行きがかり上最高戦士であるシメンの父親を殺してしまった。シメンは、ロドリゴを愛していないと言えないが憎める様になると言った。ロドリゴは、最高戦士を倒したと申し出て町の覇権を争う一騎打ちに名乗り出た。果たしてロドリゴとシメンの運命や如何に? 衣裳から規模から豪華絢爛たる映画の中で、ロドリゴの生死を賭けた闘いと、シメンを演じたソフィアローレンの美しさが誠に光る壮大な展開だったね。
国外追放されても国を愛する心は変わらない。国が存亡の危機とあらば...
国外追放されても国を愛する心は変わらない。国が存亡の危機とあらば戦わねばならないのだ。といっても、妻と子どものためだという理由が大きかった。
ラストの戦争はすごい人数。圧倒されました。出陣前の王との確執を解いて、士気を高めるため矢が刺さったまま陣頭指揮をとるシド。凄まじい死に様だ。
そして伝説へ・・・
当然ながらCGのなかった1960年代、すべてのシーンが人力でこなされており、バレンシア攻略戦は圧巻です。(よく見ると途中で落馬している人も)
チャールトン・ヘストン主演の超大作「十戒」や「ベン・ハー」と比べると少し見劣りはしますが、序曲から始まり3時間以上と見応えがあります。
主人公がいつ追放されるのだろうとハラハラしながら見てください。
77点。
これは、力入ってますね
アンソニー・マンの超大作ってことで良いのでしょうか? いや、スケールが大きいですね、実際。エキストラの数も相当ですし、実写の迫力はやはり凄みがありますね。一番唸ったのは、イスラム教徒が夜半に海岸沿いを進撃してくるシーン。ドラムの音の恐ろしさとともに、なんだかとても崇高なものを観ているかのような美しさがありました。あと、ソフィア・ローレン、相変わらずとても綺麗です。
大作だけあって、特に前半は細かい筋書がどうも練り切れてない感じはありましたかね。普段は、映画だから細かい筋書はそこまで整合性がなくてもいいかなぁ、なんて思いながら観ている私ですが、今回は幾度か、「はて? 君はそこでなぜそうなる?」と言いたくなるような場面が散見されましたね。これって、やっぱり筋書上の整合性というよりも、情緒的な整合性を感じられないところから来てるのかな、とか考えたりしてます。
と、いろいろ書いてはいますが、最後にはやっぱり身を乗り出して観ていた私がいるわけなのですね。
古いけれど大量の人員を動員した歴史大作
総合70点 ( ストーリー:75点|キャスト:70点|演出:65点|ビジュアル:80点|音楽:75点 )
大作の歴史絵巻である。その時代の似たような作品として「クレオパトラ」や「ベン・ハー」があるが、映画としての躍動感が少なかった「クレオパトラ」や宗教色が強すぎて物語に共感できなかった「ベン・ハー」よりもずっと良い。演出の古さは感じるし室内の場面の美術は作り物感があるものもあったものの、大掛かりな美術や実際の城を使って多くの人を動員した場面は迫力もある。動乱の歴史の中で波乱万丈に生きた一人の英雄の姿はなかなか壮絶だった。
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