東京エマニエル夫人のレビュー・感想・評価
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官能映画の金字塔
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云わずもがな官能映画の金字塔。
ポルノ映画の礎を築いた功績では、テレビゲームで云えば『スペースインベーダー』と匹敵する開拓者である。
それは、スケベな男が楽しむありきの男性主観が中心だった従来型のセックス賛美に対し、初めて女性の性の価値観を導入した点に尽きる。
夫と共に赴任先のバンコクに訪れてたエマニエルは、現地に馴染めず孤独感を強める日々。
先輩セレブ達と社交パーティーを重ねるうちにセックスの手解きを教えられ、快楽へ目覚めゆく女の変貌を繊細にかつ大胆に表現されていく。
エマニエルを演ずるシルヴィア・クリステルのしなやかに躍動する上品な白いスレンダーボディが、戸惑いから悦びへ変わり、ベッドでうねりゆくエクスタシーの流れは、ソフトでもあり、直球勝負でもある。
そんな不思議な叙情的肉体美の詩は、機内での誘惑シーンや有名なスカッシュコートのレズビアンプレイに集約されており、甘い世界観に惹かれ、公開当時、女性客やカップル客が多く詰めかけたのが頷ける。
性解放に突き進むに連れ、《セックスと夫婦愛は並び立つのか?》という哲学的な問答が交わされ、難解なタッチが濃くなっていくのが残念だが、、男臭いポルノ映画の概念を女の甘美がリードし、打破した革命的作品として、これからも永遠に語り継がれていくであろう。
では最後に短歌を一首
『熱誘ふ 扉まさぐる 快楽の 目覚めし蝶は 愛を舐め干す』
by全竜
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