運動靴と赤い金魚のレビュー・感想・評価
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泣き虫にいちゃん
イラン映画だが、なんだか昭和の日本にも通ずる感じがした。ボロボロになった妹の靴を、靴屋さんに修理してもらったのに、うっかりゴミとして回収されてしまった。それを正直に親に言えないつらさよ。自分の靴を妹と共有したり、失くした靴を他の女の子が履いてたり、賞品(もちろん靴)目当てでマラソン大会に出たり、靴一足でこんなにドラマになるとは。
こども達みんなかわいくて、抱きしめてあげたくなった。主人公アリが何かっちゃー泣くけど、妙に腹が据わったところもおもしろい。一生懸命走って、足が傷だらけになってしまったアリ。素足になって水で冷やしてたら、その傷を癒やすかのように金魚が集まってきた。絵本のようだわ。
ささやかな「事件」のために、少年がけなげにがんばる、優しい映画だった。
BS松竹東急の放送を録画で鑑賞。
自分の目線も変化した25年
amazon primeの「90分以下の映画」を眺めていたら、目に止まったタイトル。
そういえば、昔見たなぁ…。走ってるシーンが記憶にあるけど、どんな話だっけ…。
そう思って見始めたたら、少しずつ記憶も蘇ってきた。
25年前、ちょうど息子はアリと同じ3年生。
なんか、自分はアリの姿を息子と重ねて観ていたような気がする。
そんな息子も、今や2児の父。
今の自分は、アリとザーラの兄妹を、自然と4歳と2歳の孫たちに重ねて観ていた。25年経つと、目線も変化するのだなぁ…。
じいじ目線だと、もう、アリもザーラも健気でたまらない。表情を観てるだけで泣けてくる。
互いに少し不満はぶつけ合うが、行動からは、心の底から相手を思いやり、もともとの気持ちも真っ直ぐなことが伝わってくる。
そうした主人公たちの人柄は、気弱だが誠実な父親と、思いやりある母親から受け継がれているのだろうということが、さりげないエピソードの積み重ねで表現されているのも心地よい。
なんか、記憶の中では、この映画が描いているのは少し前の時代といった印象があった。だが、今回改めて観てみると、街の表現の中には、携帯電話の看板なんかも登場しているので、古さの印象は、街と周辺部の格差からきていたことも確認できたのは発見だった。
それにしても、幸せって物質的な豊かさとイコールではないなということを改めて感じたのも、この25年の自分の目線の変化なのだろうか。
何はなくても、アリとザーラのシャボン玉遊びは、それ自体でもうこれ以上なく豊かだと思った。
絶望的な現実があるからこそ
兄妹が靴をシェアするというだけの話。
実際のところ、ほぼそれだけ。
日本でこんな作品を撮ったらすぐ馬鹿にされて終わりだろう。しかしこれが、イランの絶望的に貧しい貧民街の路地で撮られた途端、極上の人間ドラマとサスペンス、爽やかな感動を生むのだから面白い。
この映画に描かれる人々はみんな、貧しいけれど善良で、温かみがあり、敬虔でもある。悪人は一切出てこない。
もちろん、現実にそんな清貧は滅多にあるものではないし、その意味ではリアリティのない世界なんだけれども、これが現地の子供向け映画として作られたことを考えれば、その高貴さは堂々たる魅力になる。
有り体に言えば、現実のイランで生きていくということがいかに残酷で、絶望的なことであるかを誰もが知っているからこそ、せめて子どもたちには清貧を説きたいと願っている。
それが大人の責任であり、良心でもあるということが、優しい味わいの画面から終始伝わってくる。
とはいえ、そんなメッセージ性はほとんど主張せず、ほんの隠し味程度であり、映画の大部分は素朴で胸のキュッとする兄妹のドラマが、ごく丁寧に描かれる。脚本の味わい深さ、豊潤さは絶品というほかなく、この手の作品を一生のうちに見られるというのは、まったく幸運としかいえない。
この作品を12年前に教えてくれた、脚本家の師匠には今も感謝するばかり。
初めて見たイラン映画(2003年当時)
イランの文化・生活習慣の違いも少しだけわかったし、驚いたのが溝が道路の真ん中にあること(側溝とは言えない)。そして石油産出国だけあって、貧富の差はすごい。
日常の他愛も無いイランの風景。貧しくはあるが庶民的な生活の中に愛情がたっぷり感じられる。先ずは兄妹愛。そして父と息子、母と娘。学校ではアリは優秀なので先生の愛情も感じられた。
マラソン大会では後半、かなりのデッドヒートになるのだが、アリはよく頑張った!3位を狙っていたのに1位になってしまうとは・・・残念そうに帰宅するときのアリとザーラの表情がとにかく演技賞もの。金魚が癒してくれるシーンはゾクゾクするほど気持ちがいい。また父親が2人の靴を買ってくれるところでは涙があふれてきた。
この手の庶民派映画には笑いがつきもの。見事に作られていました。それにしても、子供が2人主役ですよ、これ。子役なのに上手すぎます!イラン映画侮れないと感じた。
兄妹の姿や、ご近所や商店との関係性に懐かしさを覚えてしまう、ホッとする映画。
お兄ちゃんと妹のやり取りがとにかく可愛らしい映画。
たった1足しかない妹の靴、しかも修理してもらったばかりの靴を無くしてしまい、必死に探すアリ。
そして大切な靴を無くされ、両親にそのことを言いたいが、泣きながら謝るお兄ちゃんが叱られることを可哀想に思い、お兄ちゃんのボロ靴で登校し、お兄ちゃんの登校の為に全力で走って帰る妹の姿にほっこり。
3位になれば靴を貰えるマラソン大会の選手になんとか選んで貰えたお兄ちゃんが、途中転ばされたりしたこともあり、トップでゴールしてしまった結果、インタビューや写真撮影で涙を流しているのも可愛らしい。
お父さんがそんな二人の為に靴を買ってくれているなんて知る由もなく、落ち込んで帰ってきたお兄ちゃんと、その姿を見てガッカリした妹が揃って家に入ったところで映画は終了。
買ってきてくれた靴を兄妹が見て、履いて、はちきれんばかりに喜ぶ笑顔も見たかったけれど、あえてそのシーンは観客の想像に任せて終わるという終わり方も、心地よい余韻を感じられて素晴らしい。
昭和の、戦後の日本の家族の、下町のテイストがギュギュっと詰まったような映画で、見ていてとても愛らしくほっこりして癒された。
疲れた時に観たい、心温まる1本です。
うちの娘が!
4才のうちの娘が・・・
90分の字幕映画、
最後まて画面に釘付けでした。
これって事件でしょう?(笑)
子どものこころそのままをストーリーにしている映画です。
そして見る僕らのハートをなぜか揺さぶるのは、おそらくきっと、イランという国が、東西に遠く離れてはいるけれど、同じアジアの国として日本とつながっていること。メンタルがつながって同じ血が流れていること。それだと思う。
他のイラン映画も、やっぱりそうだなと感じるのです。
「シルクロード」って今も僕の血の中に生きているんだと、実感した体験でした。
・・・・・
レビューで学生さんたちは低評価でした。一人っ子や末っ子には分からない感覚でしょうね。
生まれつきSFXやジャンクフードで育ってくれば、この映画の素材の良さは薄味でわからないはず。
小津安二郎とかぜったい無理だろうなぁ。残念。
僕は貧乏で、兄弟が多くて良かった。
しみました。
原題は「天国(楽園)と子供たち」
繊細で純粋な子供心に終始感動
忘れてた子供時代が蘇った
暖かい気持ちになった
赤い金魚は、イランでは新年を迎えるときの縁起物として用意するものらしい
赤い金魚は最後にでてきた靴ばかりか、アリの将来を予期させているのかも
そして頑張ったアリの足に、赤い金魚が慈しむという美しいシーンは素敵だった
パパは何も感じず受け入れていたが
格差やマラソン大会での不当を目の当たりにしたアリのような子供たちが次世代を担い、活躍することを願う
貧しくても暖かい
妹の靴をなくしてしまった お兄ちゃん
その靴がなければ 学校へ行けない
日本の子どもたちは一人何足靴を持っているのだろう
ここに出てくる兄妹は
たった1足しか靴がなく 親にそのことを言っては
親に迷惑がかかるからと 内緒にする2人
そしてお兄ちゃんの靴を変わりばんこに 履いて
それぞれの学校へ登校する2人の様が描かれる
貧しくても
お母さんが腰を痛めて動けなくなっても
お手伝いをして 家族でよりそい暮らしている
姿は観ていて心がじーんとする
2人の子どもの姿がなんとも 微笑ましい
3.8
思ったのと違って、感動と言うより観てて楽しい映画だった。
特に最後のマラソンのシーンはハラハラさせられた。
妹の靴をなくした兄が一生懸命靴を探すという話。
言葉にしてみると薄っぺらいけど、この映画を観て何かを感じてほしいというメッセージが込められてる気がした。
検閲の厳しいイランの映画ということもあって、いっそう何にがあるんじゃないかと思ったけど、そういったものはわからなかった。
終わり方が独特で面白かった。ハッピーエンドとは言えないけど、バッドエンドでもない、こんなラストは初めてだった。
エンディングのときは、ラストシーンに続くストーリーを自分の中で展開してニヤニヤしてしまった。
たぶんみんな同じことをすると思う。
あと、ものを大切に扱わないとバチが当たるんじゃないかと思った。
自由への疾走
運動靴を欲しがり、妹の運動靴を手にするために疾走する男児。運動靴は性別に関係なく履くことができ、「自由」に動き回れます。
「自由」を手に入れたいイランの人々の思いと「自由」に動き回れる運動靴が重なって見えました。
かなり人を選ぶ映画
多分面白いと思う人は、希少です。
大学の授業でこの映画を見たのですが
僕の友達は全員つまらないと言っていたし
僕もそう思います。
スローモーションのシーンでみんな吹き出し
最後はこれで終わりかよ!?と言う声が絶えません。
典型的なヤマなしオチなし意味なしの映画だと思いますが、人によって捉え方が違うでしょうから、面白い人には面白いんじゃないかな?
お金は大事なようだけど…
妹の修理した古い靴をなくした貧しい家庭の少年の物語。お父さんは収入少なく家賃を滞納、母親も病弱である。兄妹で協力して一つの運動靴で何とか過ごす。貧しさの中に光る何かが彼らの心の動きとともに描かれる。無くした運動靴を見つけるが、その家はもっと貧しく見逃すことに。しかしマラソン大会で三等賞となると新しい運動靴が手に入る。そこで最後の力振り絞るが…。イスラムの教えは理解しづらいが、明らかに映画のバックボーンとなっている。サラームの挨拶の言葉が美しく感じる。日本の毎日の忙しいつまりはお金優先社会にとっては、安らぎとなる気持ち良い映画です。
兄弟愛、物の大切さ。
イラン映画は初めて観ました。映画以外にイランの生活感や貧困の差やらイラン文化が観られて勉強にもなる。内容もシンプルなストーリーながら一つ一つの場面はしっかり描かれてる。貧困でも兄弟愛の素晴らしさと物の大切さをこの映画1本で体感出来る。子供に一番観せたい映画ですね。
とても心温まり、印象に残る
健気な兄妹の日常を描いた素朴でありながら、とても心温まり、印象に残る映画。貧しくも、家族への思いやりを感じる。
妹の靴をなくした兄・アリが、両親に言い出せず、兄の靴を交代で履く日々。マラソン大会の3等賞の景品が運動靴と知って、アリは3等賞を目指して、出場する。
マラソン大会のゴール前の5人が力走シーンは、手に汗握る。
1等になってしまい、半べそかいて落ち込んでいるところに、父の自転車の荷台から見える赤い靴との対比が、ホッとさせる。
アリは、少年らしく、かわいい。先生の前での芝居じみたやりとりが茶目っけがあり、妹に対しても偉そうながら、思いやりがある。
靴を通して、イランの貧困の差を描いている。
イラン映画として初のアカデミー外国映画賞候補になったマジット・マジディ監督作。
小さな子供のささやかな大挑戦
総合:65点
スストーリー: 65
キャスト: 70
演出: 75
ビジュアル: 70
音楽: 65
ちょっと評価の難しい映画。限定された世界におけるあまり抑揚の無いささやかな物語なので、そんなに面白いとは正直思わなかった。でも描き方や作品のまとめ方などは悪くないと思うし、いい映画だとは思う。これは多分取り上げる主題が個人の趣味に合うかどうかだろう。子供の目線に立てる人にはかなりいい映画かもしれない。
たいしたことが起きるわけではない。しかし小さな世界に住む小さな力しかない子供にとって、これはとても大きな事件。まして貧困層の子供にとっては完全に自分の力を超えている問題に直面し、それでも一生懸命その日その日をやりくりしていく。日本でもほんの数十年前まで似たような境遇の人も多かったのではないだろうかと想像する。そんな日々の描き方がなかなか上手で、普段は縁の無いイランの家庭事情や社会を覗き見えるのも興味深い。教師も含めて男女が完全に別になっている学校などは、いかにもイスラム教国家だと感じる。最後のマラソンのどうにもならない偶然や家に帰ってからの兄妹の描き方も良かった。
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