ウッドストック 愛と平和と音楽の3日間のレビュー・感想・評価
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サンタナやスティービー・ワンダーがまだ、若僧の頃の話
ロックフェスティバルって言うが、カントリー、とかフォークソングのフェスティバルだと僕は思う。ジョーンバエズはロックではないでしょ。
日本で昔、ロックンロールだぜえって叫んでいた奴がいたと記憶するが、そもそも、ロックンロールってなんだ?
まぁ、音楽を分ける必要なんてないと思うが。
僕が中1の頃、淀川長治さんがこの映画を解説していたのを思い出す。解説を聞いて、見たいな。と思ったが、結局、あれから、50年して初めて見る。
色々な有名なバンドやシンガーは出ているが、50年経って思うことは、やはり、出演者の多くは実力はあっても、伝説のバンドばかりだと言う事だ。つまり、商業主義からは取り残されたバンドが多いと言う事だ。メインの曲を歌うクロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤングを知っているのは、かなりフリークだと思う。僕は一曲しか聞いたことない。小さな恋のメロディーの最後の曲。
まぁ、サンタナ、ジョー・コッカー、ジミーヘンドリックス、ジョニスジョップリンだけでも充分だろうが。何か欠けている。それは、黒人のミュージシャンと黒人の観客なのだと思う。
黒人は公民権運動とベトナム戦争で、それどころではなかったのかもしれない。アメリカ対ベトナム戦は、この後、約5年続くが、白人は、平和を叫ばないと、その地獄へ自ら行かねばならない。その退廃感がヒッピー文化を産んだのではと僕は考える。だから、この映画もその路線だと思う。決して、世界平和を望んでいるようには見えない。残念だけれども。
しかし、最後のジミーヘンドリックスのギターはやはり、超絶なのだと思う。まだヘビーメタルなんてなかった時代の演奏。凄いと思う。但し、個人的には、カルロスサンタナが好き。
同じ時期に黒人達は、別のフェスティバルを開催していたと、サマー・オブ・ソウルを見て初めて知った。
ジョニスジョップリンって、ビリー・ホリデイに影響受けてますよね。ネットで調べた。やっばりね。彼女の残念なのは、ジョニスジョップリンに影響を受けたシンガーがいないことだと思う。孤高の人って事。それだけに凄い人なのかもしれない。
時代の転換点を記録している
単なるロックフェスの記録映画ではない
色々な意味で歴史の転換点を記録した映画だ
1969年8月、半月前にはアポロ11号の月面初着陸があり、ベトナム戦争は山場を過ぎ第一陣の2万5千の将兵が撤退を開始していた
そして中ソ国境では共産国同士の国境紛争がありソ連は中国への核攻撃を密かに準備していた
日本ではその年の1月東大安田講堂事件という学生運動の終末を告げた事件があったばかりだった
そして米国ではNYから北に170キロ程の農場で行われたロックフェスに40万人もの若者がこの歴史的ロックフェスに押し寄せていたのだ
彼らは全員がヒッピーと云うわけではない
しかしその気分や考え方を共有して連帯しているのは画面を見ればあきらかだ
平和と自由の祭典として、団塊の世代が若いエネルギーを発散するために、同年代の同じ気分と考え方をする仲間との連帯を求めて集結している
画面に写る彼ら彼女らはあれから50年経ち、殆どが70歳台前後だろう
本作のインタビューシーンに出てくる大人達よりもずっと老人になっている
赤ん坊ですら50歳なのだ
彼らは確かに世の中を変えた
そしてこのように21世紀が出来上がったのだ
ヒッピー文化が頂点を迎え、彼らも大人になる寸前のフィナーレの祭典だったのだ
それが映像からにじみだしてきている
なぜなら、このフェスで最高のパフォーマンスは示したのたはジミーヘンドリックスやジャニスジョプリンやサンタナであり、ジェファーソンエアプレインではない
つまりヒッピー文化の祭典では無くなろうとしていたのだ
本作とは単なるロックフェスの演奏シーン集では無い
それよりもそこに集まった若者達、取り巻く大人達がこのフェスをどう過ごし感じたのかを記録することを目的としているのだ
そこが翌年の1970年夏オランダで行われたスタンピンググランドのロックフェスの記録映画と決定的に違うところだ
なるほど助監督と編集に若き日のスコセッシの名前があるのも納得だ
素人の主催者がいきなり40万人ものフェスを開催すればどのような地獄になるか
日本の第一回フジロックの悲惨な惨状を知るなら恐怖しかない
それが奇跡的に無事成功したのは何故か
それは若者達の輝かしい心がけやマナーのせいか?
それもあるだろう
暴力的な振る舞いは60年台半ばの荒れた時代から影を潜めだしたていた
彼らも大人になりつつあったのだ
それよりもインタビューシーンに明らかなように、周囲の大人達の助けがあったからこそ無事にすんだのだ
反戦運動で豚どもと罵る相手だった軍隊は45名もの軍医をヘリで送り込んでいる
食料も水も決定的に不足していたのも地元の大人たちへの寄付を要請して乗りきっている
象徴的なのは特設トイレのシーンだ
トイレの業者の大人が黙々と汚れまくった個室を洗い、脱臭剤をセットする
確かに彼の仕事だろう
横の個室からドラッグでラリったヒッピーがでてくる、そんな事は知ったことじゃない
何もかも甘えだ、子供だったのだ
大人も子供だから仕方ないと甘やかせていたのだ
このフェスが無事に終われたのは大人達のお守りのおかけだったのだ
若者達はそれに甘えて遊んでいただけだったのだ
ラストシーンはフェス終了後の会場の光景が延々と写される
美しかった緑の野原は踏み荒らされ土にまみれた汚いゴミが見渡す限り一面に散らばっている
ほんの幾人かがゴミを片付けているがその横を知らぬふりで帰って行くものが多い
彼ら彼女らの時代は今終わろうとしている
ウッドストックの世代は長いフェスを終えた
後に残るのはこの光景なのだろうか?
誰が後始末をするのだ
それは我々、21世紀に生きていかねばならない私達の世代なのだ
ロックフェスの元祖。舞台裏的なもの、ステージ設営や会場の周辺住民へ...
ロックフェスの元祖。舞台裏的なもの、ステージ設営や会場の周辺住民へのインタビューなども含まれる。40万人越えなので食糧足りなくなったことへの対応してるところも。
ライブステージは言わずと知れたジミヘンにジャニスが圧倒的。とにかくすごい。徴兵拒否で逮捕された夫のことをMCで語るジョーンバエズなどなど。
すべてはここからはじまった。記念碑的な作品。
愛と平和と音楽の3日間
リアルタイムで映画を観て、ライブアルバムも買った世代だけに、とても懐かしく観た。
当時のアメリカの若者には徴兵されてベトナム戦争に、という暗黒のストレスが強かった。
また、アメリカの知らない一面を見せつけられショックでもあった。
インタビューされている若者たちの多くが現実逃避しているのが悲しい。
登場するバンドも懐かしく、ディレクターズカットということで、初見のシーンがあり、若き日にタイムトリップさせてくれた。
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