「知られざる名作アニメ」ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち かせさんさんの映画レビュー(感想・評価)
知られざる名作アニメ
原作は同名の児童文学。
とある丘陵に棲む若いウサギたちの、愛と冒険と成長を描いた物語。
【ストーリー】
サンドルフォード繁殖地に棲むうさぎたちは、土地開発による生活圏の破壊に苦しんでいた。
ケムリと音をならすやかましい四足獣のフルトドと、それをあやつるニンゲンたちが、彼らの故郷の丘陵をひっきりなしに踏み荒らすのだ。
主人公ヘイズルは聡明で冒険心溢れる若きうさぎ。
危険に敏感なファイバー、勇敢なビグウィグ、育ちのいいシルバー、ムードメーカーのダンディライアン、頭のいいブラックベリ、力もちのバックソーン、ほか多数の若きうさぎたちをしたがえる。
ファイバーの予言をきいてもサンドルフォードを動かず滅びを待つだけの年寄りたちと決別し、彼らは新天地の存在を信じて旅に出た。
旅の途中でカウスリップという豊かな集落にたどり着くも、そこは養兎場。
彼らは仲間を増やし、さらに新天地を探す。
傷ついた渡り鳥のキハールも仲間に加わり、彼からエフラファという繁殖地の存在を知るが、そこはウーンドウォート将軍というおそるべきオスが支配する集落だった。
弾圧されていたメスたちを救いだし、エフラファを逃げおおせたヘイズルたち。
ついに理想の地ウォーターシップダウンにたどり着き、安寧の地を形にしようと奮闘する彼らに、ウーンドウォート将軍の魔の手が襲いかかる。
原作は1970年代の世界的ヒット小説。
こちらも素晴らしき冒険譚でしたが、映画もまたたまらない出来でした。
エンジン付きの車をフルトドと呼び、創造神フリス(太陽)と月の神インレをまつる彼らうさぎの文化、そしていろんな価値観をもつうさぎの集落。
うさぎの習性を正確に描きつつ、その背景を魅力的に広げてくれます。
特にクライマックスのウーンドウォート将軍の恐ろしさ、そして一度は屈服したものの、最後の戦いで一歩も引かず戦うビグウィグの勇姿。
↑ここが震えるほど一番好きなシーン。
残酷な場面もありますが、小さなお子さんのおられる方にこそ見てもらって、この愛らしいうさぎたちの生々しい生命力を感じてほしい。
また美しいのが背景美術。
イギリスの自然が克明に描かれ、子供たちならずともその世界観にひたれる、すばらしく夢のある映画でした。