劇場公開日 1973年12月15日

「「ロボットが人間に謀反する映画」の元祖」ウエストワールド といぼさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5「ロボットが人間に謀反する映画」の元祖

2020年2月18日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

「ターミネーター」の元ネタにあたる作品と聞いて、鑑賞しました。

人型のロボットがキャストを務めるテーマパークで、ロボットたちが謀反を起こして人間たちを襲うというのが大まかなストーリーです。

結論から申し上げますが、正直そこまで面白くはない。
「ロボットによる謀反」というのは今でこそ「ターミネーター」「アイロボット」などなど、挙げればきりが無いほどに使い古されたネタですが、この作品は1973年公開の非常に古い映画で、「ロボットの謀反」の元祖とも呼べる作品です。言い方が悪いですが、アイディア一発勝負の作品なんですね。

イマイチ盛り上がらない単調な展開とか、ご都合主義の戦闘シーンとか、説明が無いので意味不明な「未来っぽい専門用語」とか、随所に突っ込みどころがあります。
特にガンマンロボットとの地下での戦闘シーン。聴覚が非常に優れていて呼吸音まで聴き取って襲ってくるロボットに追われる主人公ですが、たまたま居合わせたテーマパークのロボット修理スタッフから「酸をかけるとロボットの感覚器官がイカれる」という情報を得ます。そしてたまたま見つけた地下通路からロボットの修理工場を見つけ、たまたまそこに塩酸があったので待ち伏せしてガンマンロボットに塩酸をかけます。
「たまたま」が連続して起こるあまりにご都合的な展開に加え、先ほどまで足跡や温度(サーモグラフィー)や呼吸音を感じ取り正確に主人公の居場所を察知してきたはずのガンマンロボットが、ただロボットに成りすまして横になっているだけの主人公に気がつかないのはあまりにも不自然です。

上記のようにストーリーとしては突っ込みどころの多い本作ですが、映画史の資料としては非常に興味深く、様々な小道具や近未来的な装置を見ているだけで楽しめます。「昔の人が考えた未来の装置」っていうのは、見ているだけでなんだかワクワクしてくるものです。
何の意味があるか分からないけどピカピカ光っている機械とか、モニターに映り込む謎の数字とか。この映画が作られた50年も前の人々が思い描いた「未来の装置たち」が今の時代に生きる我々から観ると滑稽でありながらどこか愛らしいのです。

上映時間も1時間半程度で短く、難しいことを考えずに見る分には楽しめますし、50年前の作品にしては機械やロボットなどの映画美術もかなり凝っていてクオリティが高いです。観る映画が決まってない人にはオススメです。

といぼ:レビューが長い人