ウィンチェスター銃'73のレビュー・感想・評価
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西部劇として極上の作品です 変化球ではない、王道の本格西部劇を堪能した!という満足感があります
1950年米国公開、白黒映画
'73といっても、1973年公開版と言う意味ではなくて、劇中に登場する天下の名銃、ウインチェスター社のモデル1873というライフル銃のことです
1973年どころか、その100年前の1873年の製造モデルという意味です
ウインチェスター社の製造するライフル銃のうち1万か2万丁にひとつだけ、完璧な命中精度の名銃が生まれると劇中で説明があります
当然売り物ではなく、ウインチェスターの社名を冠してグラント大統領とかバッファロー・ビルのようなVIP にのみ進呈されるというしろもの
それが「ウインチェスター'73 」なのです
別名「千にひとつの銃」
正に値段の付けられないものなのです
日本なら名刀村正みたいなものでしょうか
宝物のようにショウウインドーにうやうやしく飾られています
銃底の銘板にはこうあります
独立100周年記念
射撃大会優勝賞品
ドッジシティ
1876年7月4日
西部劇ファンなら、ドッジシティの名前ですぐにピンと来るはず
超有名なOK牧場の決闘は1881年の10月26日に、この街で実際にあったことです
だから本作はその出来事の5年前のお話になります
その決闘の主役ワイアット・アープも冒頭すぐ登場します
そして保安官事務所で彼から拳銃を受けとるのが、OK牧場の決闘に参加するバージルです
1946年公開、ジョン・フォード監督の不朽の名作「荒野の決闘」を観返したくなりました
ジョン・スタージェス監督の「OK牧場の決斗」は1957年で本作の7年後の公開です
中盤に、ライカーの店で武器商人が話す「スー族がカスターの部隊を全滅させた」というのは、ご存知1941年の西部劇の名作「壮烈第七騎兵隊」で描かれたカスター将軍のことです
これも1876年にあった実際の出来事で、6月25日のこと
まだ10 日ほどしかたっていません
場所はダッチシティから北西に1200キロ以上ありますから最新情報です
インディアンのヤングブルが武器商人に「スー族がリトル・ビッグホーンの戦いで・・・」という戦いがそれです
このいきさつを分かっていないと、ローラ達が逃げ込んだ騎兵隊陣地がインディアンに囲まれていたことのヤバさがイマイチ伝わらないかも知れません
このように、このウインチェスター'73を狂言回しにして、OK牧場の決闘と第七騎兵隊の全滅という西部劇の二大超有名事件の外伝みたいにお話が運びます
この二大事件は米国人なら誰も知らない人はいませんから、本作はいわば日本なら赤穂浪士の銘々伝みたいなお話というわけです
なので本作は米国ではそりゃあ人気があります
でもその割に日本ではもうひとつ人気が薄いのは、西部劇の中の事件とか人名を良く知っていないと少しついていけないのかもしれまん
でも西部劇として極上の作品です
変化球ではない、王道の本格西部劇を堪能した!という満足感があります
日本なら片岡千恵蔵主演の本格時代劇映画みたいなもんです
主人公はジェイムズ・スチュアートが演じます
やはり名優!演技の力で画面が引き締まっています
演出も、カメラもいいです
ローラがウエイコに連れて来られたタクコサのサロンでのシーンは当時としては考えられないくらいのセクシーショットでした
ブラウスの下の乳房のボリュームを強調したアングルとポーズで、しかもそのブラウスからうっすらと乳首が透けて見えているのです
これにはたまげました
最終決戦の岩山でのライフル銃での撃ち合いは、サム・ペキンパー監督が1962年の「昼下がりの決斗」で元ネタに使ったシーンと思います
大満足の西部劇です!
作品の大枠での起承転結性が弱く…
残念ながら
何ともまとまりの悪い作品に思えた。
アンソニー・マン監督としては、
意識もないままに「グレン・ミラー物語」
「ローマ帝国の滅亡」「テレマークの要塞」
等を観ていて、
それぞれあまり名作の印象はなかったが、
彼のプロフィールを見ると
これが監督第一作目のようだ。
題名の名ライフル銃やヒロイン
(「ポセイドン・アドベンチャー」で
有名なシェリー・ウィンタースだが
「陽のあたる場所」に続いて
若き頃の彼女に会えたのは嬉しい限り)
を狂言回し的要素にしているが、
この二つを上手く生かし切れておらず、
各エピソードを
ただ時系列順に繋いでいるだけで、
作品の大枠での起承転結性が弱く感じた。
各アクションシーンはなかなかのものだった
だけに残念に思える。
戦前のアカデミー作品賞受賞作「シマロン」の
同監督によるリメイク版も録画済みなので
近々鑑賞するが、
果たしてそちらの出来はどうだろうか。
社会の多様な人々が見れる
総合:65点
ストーリー:65
キャスト:65
演出:65
ビジュアル:60
音楽:60
人を追いかけていくと銃を追いかけていくことになり新しい人にぶつかり、その場その場で新しいちょっとした物語があるというのはある意味では面白い案かもしれない。小さな物語がいくつも出てきて変化に富む。当時の社会のたくさんの角度を垣間見れるようでいい。
だが一番重要な物語がはっきりしない。何故追いかけられるものと追いかけるものがいるのか。答えは最後のほうに一応明らかになるのだが、それが階段に座って少し語られるだけだと重みがない。そして二人が似ていないから余計に実感がない。結論もありきたりだった。
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