「今なら分かること」インドシナ よしたださんの映画レビュー(感想・評価)
今なら分かること
初見かと思いTVの深夜映画を観る。
年下の将校に恋をしたカトリーヌ・ドヌーヴが、その将校と自分の養女との関係を知り、自らの恋をあきらめる方法について話す場面で学生時代に観たことを思い出す。
「恋を忘れる方法は知っているわね?」
「ええ、無関心になること。」
この台詞に二十歳そこそこだった私は、この大人の恋愛の激しさと厳しさを憧憬の思いで感じたものだ。
しかし、今40歳を超えてこの場面を見ると、ドヌーブの孤独と悔しさがひりひりと伝わってくる。
何歳になっても若々しい肉体や溌剌とした精神への憧れは消えない。しかし、もう向うからは見向きもされないほどに自分は歳を重ねすぎている。
この中年女と若い将校の関係が、まさにフランスとベトナムの関係に重ね合わされている。そして、将校を奪って自分の前から消えていったベトナム人の養女は、共産主義という思想そのものなのだ
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