劇場公開日 1994年12月10日

「一番の見所はトムとブラピを食う子役」インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア 梅さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5一番の見所はトムとブラピを食う子役

2017年7月25日
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全体の雰囲気は雨の夜。
台風ではなく、濡れたアスファルトに外灯が美しい……そんな夜といった印象。
トムとブラピという、二大イケメンを真逆の役どころに起用しロココな衣装を纏わせ
それを対決させたりボーイズラブ的要素を持たせたり……と、それぞれの女性ファンには堪らない映画だろう。

出演が大物二人とあって、作りも濃厚。
吸血鬼となった者の人としての苦悩と、力を手にした故の欲望が丁寧に豪華に描かれている。
吸血鬼自体のスタイルも独自設定がされていて、半ばその取説といった要素が強い。

戦うといっても派手なアクションはほぼなく、吸血鬼の心理戦と派閥争いなのでスピード感はあまりない。

ブラピはいつも通りハの字眉毛でモタモタと悩む役で、やはり彼はこれ系の情けない男をやらせたらピカイチ。
ただ、このブラピ側からの視点が多いためか多少の長たらしさを中盤に感じる。
トムは新境地となる役を貰った分、新鮮な魅力に溢れていた。
ダークな色気とキングな雰囲気に満ち、いつの間にか彼の登場を待ち望むようになる。
映画全体の流れとしてはブラピがブレーキ係、トムがアクセル係といったところだろうか。

当然この作品の売りは主演男優二人の絡みなのだが……
圧倒されるのは子役の存在感だ。

吸血鬼になると肉体は歳をとらない……といった重要かつ物語の基盤となるファンタジー設定を
有無を言わさず観客に納得させたのは、ブラピでもトムでもなく、天才子役キルスティンである。

ただの子供であった時と、吸血鬼として中身だけ老齢化していく時との差が凄まじく
容姿の美しさだけではない吸血鬼としての説得力に恐れ入った。

総評、よく作り込まれた映画で見て損はない。
ジャンルはアクションではなく物語としての吸血鬼。
超大物主演二人を食う勢いの、圧倒的な存在感を持った子役を是非1度見て欲しい。

梅