イン・ザ・スープのレビュー・感想・評価
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【映画作りに没頭する青年が映画製作の資金援助をするという怪しげな男に翻弄され次々とトラブルに巻き込まれるハートウォーミングコメディ。今作は映画製作資金を集める大変さをコミカルに描いた作品である。】
■映画作りに没頭し、破産寸前の青年・アルドルフォ(スティーヴ・ブシェミ)は、隣に住む美女・アンジェリカ(ジェニファー・ビールス)をヒロインにいつか映画を撮ることを夢想しているが、現実は家賃の支払いさえままならない。
そこへ映画製作の資金援助をするという怪しげな男ジョー(シーモア・カッセル)が現れる。
◆感想
・インディーズ色が非常に強い作品である。
・シーモア・カッセル演じる謎めいた男ジョーに振り回されるアルドルフォの姿が何だか可笑しい。
<ラストは、少し切ない。ジョーはアンジェリカに撃たれた振りをしていたが、実際に撃たれていて、アルドルフォに対し、”恋愛映画を作ってくれ。”と言って事切れる。
今作は、映画製作の資金集めの大変さをコミカルに描いた作品である。>
俺には、早かった
この映画.com の本作紹介にあるように、「企画が頓挫しかけたところを日本のウイルアライアンスが製作資金を投資して完成。1992年サンダンス・フィルム・フェスティバルのグランプリ及び審査員特別賞受賞」って、そりゃ観たくなるでしょ。
映画監督を目指して脚本を書く毎日の青年が、金を集めてくれるある男と出会い、映画製作を進める?話。
面白い題材だな、と思うのだが、俺には早かったようだ。かすれてきた字幕が、視力の低い俺には最前列からも半分くらいしか読めなかったこともあるだろうか。残念だ。
誰か、リマスターしてくれないだろうか。
おまけ
アンジェリカは、ジェニファービールスだったのか。
映画の中で
映画を作ったりしている、いい感じ。
やたら押しの強いおじさん、分厚い脚本を語る語るが押しは弱い主人公、中々好青年。この人と喋らない男がドライブしているシーンは、ファーゴそっくりだ。
アメリカのドタバタ喜劇風なのがとても面白かった。
フィルム上映。
【僕たちの世界】
この作品は、エンディングも含めて、なんか切ない場面もちらほらあるけど、僕は、クスクスとか、フフフとか、笑いながら見てほしい気がする。
ジム・ジャームッシュが登場する辺りからは特に…。
タイトルの「In the soup」は、作品中でもちょっと触れられるが、混乱した様を表している。
なんか、僕たちの世界そのものだ。
皮肉っているわけでは決してない。
愛情たっぷりに受け入れているのだ。
この作品はインディーズの傑作とされていて、身構えて観る人もいると思うが、リラックスして楽しむ映画じゃないかと僕は思う。
宮沢りえさんが、前に、この作品が自身のベストムービーだと言っていたのを何かで読んだことがあって、自身を巡る狂想曲のような大騒ぎと、その後の潮が引くように人が離れていく状況を経験をしたからこそなのかなと考えたりしたことも思い出した。
リバイバル上映にあたり、このフィルムを提供した制作総指揮の鈴木隆一さんが、宮沢りえさんのことはコメントしていたし、オダギリジョーさんが、この作中のジョーから名前を取ったというエピソードも紹介していた。
この時代は、日本がこうしたインディーズ作品に資金も提供できていたのだ。
最近は、韓国映画の台頭で、国の資金がとか、ターゲットは外国でとか、あれこれ言われるようになったが、まあ、大作も悪くはないけど、こんなインディーズ作品に資金を出したり、作ったり出来るような国であって欲しい気がする。
新作でも、ロックウェル監督が、Q and A付きの上映のフィルムで、昨今の映画制作の困難さも話していた。
まあ、とにかく、この90分ほどの作品に込められた、人間のあれやこれやを悲哀も含めて、ちょっと笑いながら観てみて下さい。
あれー!ど真ん中の映画、お洒落ー!
話の内容は全く違うんですが「ブルー・イン・ザ・フェイス」と同じような空気というか味わいというかよくわかんないシュール感が漂っていて「本当」もあって色んな人がでてきて面白かったです。変な映画かな、もしかして?でも自分の趣味に近いことだけわかった。
ジャームッシュ出てて、おー!と思った(と言いつつ彼の映画はちゃんと見ていない。出会いとか色んなタイミングがあるのかな?そんなのが映画との遭遇なので面白がることにしてます)。
今、発見!アルドルフォ役は「ファーゴ」に出てた人なんだ!どこかで見た特徴的な顔と思ってました!
疲れてたのですが、この映画を見ることができたのは自分にとってかなりのもうけもんでした❗️その後は焼き肉屋に行ってエネルギー補給しました!
"裸の真実"
国立映画アーカイブにて鑑賞。
カサヴェテス常連俳優シーモア・カッセルとブシェミのコミカルな掛け合いとナイスなバディ感、ジャームッシュのキャラも最高でサム・ロックウェルの意外なチョイ役加減がサプライズ!?
独特な雰囲気とセンスの良さ、オフビートな笑いからJazzが流れる心地よさ、誰にも害を与えないような差し障りのないブシェミ演じる主人公が大柄に見えて来る、破天荒なシーモア・カッセルに愛嬌が芽生え可愛いお爺ちゃん的キャラに。
一つの脚本から映画にする為の資金集め、集め方はかなり独特な犯罪行為、撮影は一向に進まない中、主人公に明るい人生の兆しが訪れているような!?
家賃回収のチンピラ風情な二人のハモり、泥棒に入った家主のフレンドリーな会話など脇役勢のキャラのクセが強すぎて色々な場面で楽しめる。
持って生まれた性格には約束は勝てない
1992年アメリカ映画。99分。今年41本目の作品。NYを舞台にしたアメリカンインディースムービー。本作の監督・脚本を務めたアレクサンダー・ロックウェルの自伝的要素が強いらしい。
内容は;
1,映画監督になることを夢見る主人公は、毎日がカツカツの生活。
2, そんな折りに自分の脚本を買ってくれ、さらに製作費もだしてやるという男が現われる。
3, それで浮かれる主人公だが、その男との享楽に毎日つきあわされ、製作は一向に現実的に進まない。
「スモーク」や「ブルー・イン・ザ・フェイス」に代表されるようにアメリカにも良質のインディース映画はありますが、本作も同様にNYを舞台にしたこざっぱりとして笑える作品になっています。
ストーリーの展開は奇想天外ですが、自伝的要素という所から実話にあった話なのでしょう。さらにNYという街はわたくしは行ったことあるから言えるのですが、こんな奇妙な話もあの街だったら成立すると思いました。
毎日が貧乏生活で借金取りに負われている主人公は、騙されやすく、さらにお人好し。そんな彼に救いの手をさしのべた男は、きっと本気だったのだと思います。しかし、酒やドラッグに浸っている人というのは、本気と行動がなかなか両立しない(そんな人間知ってます)。
この男は生まれ持っての役者で人を楽しませることが一番の喜び。NYみたいな完成された街で、人を楽しませるには、常に逸脱していなければならない。主人公との約束が勝つか、気性が勝つか。本作ではものの見事に後者が勝ってしまうのです。
そんなハチャメチャな日常を描いただけの作品で、たいした思想もなければ、詩情もいまいち昇華されていない。言ってみれば、本作のデキは中途半端だと思います。でも、観てて楽しい。
本作にでてきた破綻してるけど優しいって人、この街にはたくさんいます。そして、そんな人々をうまく描いていたことが本作の魅力だと思いました。
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