劇場公開日 2024年11月8日

「世界一幸せなアラフォーのシンデレラボーイの恩返し」イル・ポスティーノ カールⅢ世さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5世界一幸せなアラフォーのシンデレラボーイの恩返し

2024年11月16日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

幸せ

1948年に 国外退去処分 となり、イタリアに亡命し、ナポリ沖の小島の別荘にやってきたチリの政治家、外交官で世界的に有名な詩人でもあるパブロ·ネルーダ (フィリップ・ノワレ) 。のちにノーベル文学賞受賞。カプリ島で出会った郵便局員の男との実話に基づく1994の映画。今回、4Kデシタルリマスター版で劇場鑑賞。
郵便局員のマリオ(マッシモ・トロイージ)は生来体が弱く、内気で普通の仕事につけないでいる不思議なおじちゃん。年取った漁師の父親と二人暮らし。お父さん役に顔がそっくり。体が弱いというよりも、多少オツムが弱い美青年(アドニス)のマリオ。鼻にかかってこもりがちなトーンの声も魅力的。映画館のニュースで世界的詩人が自分の島にやってくることを知る。配達員募集の張り紙を見て、小さな郵便局を訪れる。世界中からファンレターや贈り物が届くパブロ専任の配達夫として臨時採用となる。郵便所長(共産党員)が親切でいい人。彼とマリオのやりとりにまずはニヤニヤほっこり。美人の奥さんを連れて、芸術家が作ったアトリエ風の高台の別荘。自転車で登ってくるのはとても大変そう。その分周りを海に囲まれた絶景は格別でした。
大戦後のチリの政治混乱についてはよくわかりませんが、1948年から1958年まで国外退去処分だったようです。映画の色彩がほんとに古い感じで、1960年前後の映画のようで役者さんのメイクなんかも雰囲気があります。主演のマッシモ・トロイージは撮影終了後ほどなくしてなくなったそうですね。脚本にもかかわった彼は、実際に心臓が悪く、撮影も休み休みだったそうです。自転車漕ぐだけで大変だったでしょうに。命と引き換えに撮った映画です。泣けますね。
居酒屋兼食堂の娘、ベアトリーチェ·ロッソに一目惚れし、オクテの彼はパブロに相談します。パブロの詩は
エッチな比喩や隠喩に優れ、官能的でややお下品ながら、とても情熱的なので、世界中の年頃の娘さんにはとても刺激的だったに違いありません。コーチが良かったせいで、マリオは島一番のグラマー美女(決して乙女には見えませんが)といい仲になり、結婚することに。
アラフォーのシンデレラボーイ。
夢のようです。
ワタシもあやかりたい。
カプリ島は古くからレモンの名産地で有名らしいです。
詩がとても力を持っていた時代。
あの録音機(再生機能つき)。送られてきたカセットを押し込むのは昔のカラオケみたい。当時、実在したものなのかは大変疑問ですが、マリオとパブロにとって、とても大事で重要な役割を担う仕掛けでした。郵便局長が野外の録音をサポートするのもとてもいいです。当時の集音マイクで胎児の心音が録音出来るのかは横に置いといて、
「この島で一番美しいのは······ベアトリーチェ ロッソ」
パブロとマリオの噛み合わないようで、ちゃんと噛み合っている会話は、時折とても可笑しい。

大学の部室でひとりでカセットテープに弾き語りを録音してたら、マツイ君がいきなり入ってきて、サビをハモった声が入っているテープは何度聴いても可笑しいので、上書きして消すことなく大事にとってあります。
金沢出身の映画好きの松井君。元気にしてますか?

カールⅢ世
きりんさんのコメント
2024年12月22日

松井君からのその後の連絡は?
いい映画って、むかしの思い出や友達の事、しんみりと よみがえらせてくれますよねぇ・・

きりん