イヴの総てのレビュー・感想・評価
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傲慢、素直、抜け目なさ、陰謀
演劇が大好きな孤独で垢抜けない未亡人が、大女優の付き人になり、自分の才覚で、野心を実現させていく。 ストーリーが進むにつれて、人物の色々な側面が見えてくる、多分何回見ても見飽きないと思いました。長さも感じず、楽しめました。
女の駆け引き
華やかな世界の裏舞台を描いた作品ですが、前半は面白みに欠けウトウトzzz…しかし後半の展開はなかなか見応えがあった。女の駆け引きは脅威の一言。 (午前十時の映画祭にて鑑賞) 2016-85
王道な映画だった!!
以前から思っていたのだけど、 個人のリアルな生活の方が今時は本当にきついので やっぱり映画は一種の夢のような 絵空事の華やかさがあってほしいと思う。 そういう意味では マーゴのわがままだけど、どこか憎みきれない女らしい弱さや 人気脚本家の妻のカレンの人の良さ、 イヴの野心に満ちた振る舞いも、絵空事らしくて逆に可愛らしい。 見応えのある映画でした! いわゆる女優もの、スターものの原点のような映画。 多分「午前十時の映画祭」がなければ見なかったかも〜 そういう意味で「午前十時の映画祭」は貴重だと 改めて思わされた一本でした。
見応えのある作品。イブの正体が少しずつ見えてくるにつれて傲慢なマー...
見応えのある作品。イブの正体が少しずつ見えてくるにつれて傲慢なマーゴが実は正直な故とわかり、魅力的に。気がつくとマーゴのセリフ回しにぐんぐんと惹きつけられていき、さすがベティ・ディビス!と感心。イブは悪女と言うよりただの嫌な女だった。
イヴの衣装の移り変わり
演劇界の大物たちを相手に手練手管で立ち回り、トップ女優へと上り詰めていく一人の女性、イヴ・ハリントンをアン・バクスターが演じる。
イヴは当初、田舎から出てきたあか抜けないが、誠実な若い女性を体現している。背中が擦り切れかけたステンカラーコートに、刑事コロンボだってかぶりそうにはないようなセンスのない帽子。金も、センスも、演劇界での人脈もない、一人の孤独な女に見えるからこそ、演劇界の重鎮たちが無警戒に受け入れるのだ。
しかし、その重鎮たちの一人であるトップ女優、マーゴの付け人となるや、イヴはその抜け目のなさと観察力の鋭さをいかんなく発揮しはじめる。そこ頃の彼女は、マーゴが「年齢に合わなくなったから」という理由で譲ってくれたダークスーツを颯爽と着こなすのである。
そんな彼女の本性をいち早く見破るのも、雇い主であり、憧れの的でもあるマーゴである。マーゴの舞台衣装を返却しに行くと言っていたイヴが、その衣装を身にまとい、鏡を見て悦に入っている姿を見てしまうのだ。
マーゴの身にまとうものがことごとくイヴを包むようになる。映画はこのあたりから、イヴ・ハリントンなる女性の空恐ろしさについて言及し始める。
このように、この映画は衣装を通じて主人公の立ち位置を示していくのだが、他の登場人物たちの衣装もまた素晴らしい。
特に、最初にイブに目を留めるカレンの衣装がいい。レストランの化粧室でバクスターに脅迫をされるシーンのジャケットは、女性らしい華やかさと、堅実な雰囲気を併せ持つ。この衣装を着たカレンが、イヴによってものの見事に俎上に上げられるこのシーンがクライマックスといえる。
さて、この作品の際立った特徴の一つとして、今までスクリーンには登場してはいない人物がラストシーンを独占することが挙げられる。
プロローグの授賞式を終えて、ホテルの部屋に戻ってくるエピローグには、イヴの「追っかけ」とも言えるファンの若い女性が登場する。まるで、マーゴの付け人になりたての頃のイブを彷彿とさせるような、若さと美貌の持ち主は、やはりイブの衣装を纏い、トロフィーを手にして鏡に魅入られる。今度は、イヴがその衣装を奪われていく立場になったことを示したこのシーンで映画は終わるのだ。
素晴らしい衣装の数々はモノクロの映像で見ても素晴らしいのだが、カラーの時代だったらどのようなカラーを採用したのだろうか。そんな、衣装への興味が尽きない作品である。
うその語りで始まり、慇懃さと無礼さを駆使し、冷徹に人を欺き使い捨てる、不自然な成り上がり方法論で突っ走るサスペンス映画。
映画はイブの語りから始まり、登場人物も観客も話を聞いて好印象を持ちやすくなるが、出来すぎの話。ちょっと怪しい。
後で明らかになるが、それは作り話であり、実際は警察に捕まるようなことをしてきたと批評家に暴かれる。
一方マーゴは、決して自分を美しいヒロインに見せようとせず、むしろ化粧を落としているときのグロテスクな顔を、平気で観客に見せつけたりする。感情移入すべきはどちらだ?
ベティデイビスはもう少し暴れる演技が強いとよかった。セリフはきついがやさしい人に見えてしまう。マーゴは、恋人、友達に我がまま呼ばわりされる役どころだが、観客には、感情豊かな彼女こそ、愛すべき人物だとすぐにわかるのである。
対照的に、イブの行動には感情が見えない。相手を欺いているときも冷徹に慇懃であり、マーゴの仲間は次々にイブにだまされるのである。
観客もイブの本心がつかみにくい。演技じゃなくて何かに素直に感動しているようにみえる場面もあるからである。
でもよく考えてみると、イブは賢くて演技の才能もあるらしい設定であるから、人の気を悪くすることの意味を知っているはずである。そしてイブの好きな演劇こそ、まさに人の心を知ることに長けていなくてはならないはずだ。だからイブは確信して人を欺いている、と結論できる。そのことは、役を得るための脅しの場面で決定的になる。
それにしても、イブは、わざわざマーゴの仲間の間に亀裂を生じさせてまで、舞台の役を短期間に得ようとしているが、彼女はもともと優れた演劇の才能の持ち主である。むしろマーゴの仲間に気に入られて役をもらう方が、協力も得られてよいのではないかと。
この不自然さ、が観客の気持ちを不安定にさせるのである。
言い換えれば、役を得るという目的を、意味のない手段を使って成し遂げようとする、一人の変わった女の姿に、違和感と不安感を覚えるのである。
彼女の被っていた「変な帽子」は、その暗喩かも。
さて、ラストシーンでは、部屋に無断進入した高校生の面倒を見るシーケンスがあるが、ここにきてなぜだか、冷徹だったイブが消え去り、あっさり女子高生の言うことを受け入れるお人よしに変わり、部屋に泊めるかもしれない親切さを示しているのはなぜ?
たった8か月前に、他人の人のよさにつけこんで、舞台の役を得ようとしたイブ。
奪うことよりも与えることを学んだということなのか?いや、彼女とて、野望に狂う前までは、人に愛を与える側にいたのかもしれない。才能がそれを助けていたにせよ。
人の愛を知らずに、人に愛を与えられようか、そして人から愛されようか。イブにはそう言ってやりたい。そしてあの女子高生にも。
あぁ、ほんっとに面白い映画だなあー
あぁ、ほんっとに面白い映画だなあー。 500回くらい観てもきっと飽きないと思う。 女の世界は面白いって言ってしまえばそれまでだけど、 ベティ・デイヴィスがダントツでカッコイイもんなー。 この映画から影響を受けたであろう作品は数知れず 「Wの悲劇」「ブラックスワン」「ショーガール」…他にもたくさーんある訳で それぞれ傑作だったり駄作だったり結果は様々だけど、 それらの出演女優の誰一人、ベティ・デイヴィスに勝ててない。 ベティ・デイヴィスはそんぐらい素晴らしい。 -- 女の世界を描いた「イブの総て」。 案外、影の主役は男、ジョージ・サンダースだったりして。 彼の静かな歪みがホント怖い。 この時代の俳優さんって、ジョージ・サンダースしかりロバート・ウォーカーしかり 常人には出せない怖さを持っているなあと思う。
素晴らしい!!!
初めてこの映画を見たとき、感動で茫然とした。
「素晴らしい映画」と言っていいのか、「映画って素晴らしい」と言っていいのかわからない。
このモノクロ映画は、非の打ちどころがなく素晴らしいものだが、
登場する俳優は、なんと全員素晴らしい。
たまたまこんな俳優が揃ったのか、1950年当時はこのようないい俳優がたくさんいたのか、また俳優は素晴らしいのが当然のことだったのか・・・と考えてしまう。
この映画のテーマは、ひどくありふれているかもしれない。
映画の中で起こる事件もたいした出来事ではないかもしれない。
しかし、この映画は耐えがたいほど現実味を帯びていて濃いものだ。
特に、マーゴは素晴らしい。
セリフも演技も素晴らしすぎて、一瞬も画面から目が離せない。
見終わるとヘトヘトになるが、これまで見た映画の中では、かなり好きな作品だ。
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