「疑問に感じる展開が多い」暗黒街の弾痕(1937) 根岸 圭一さんの映画レビュー(感想・評価)
疑問に感じる展開が多い
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出所してきたエディ(ヘンリー・フォンダ)は、蛙を助けたエピソードだったり、刑務所仲間や妻から人望があったりするところからして、実は正義漢なのだろう。彼がアウトローの道に進むには、家庭環境の悪さなど、それなりの理由があったはずだ。環境が異なれば、真っ当な人生を送れていたかもしれない。
だとしても、彼にあまり同情も共感もできなかった。前科者なんだから偏見の目で見られるのは当たり前。勤務時間中に仕事をサボって新居の内見に行っていたら、首になるのも自業自得だろう。彼は、周囲から自分がどう映っているか、普通の人以上に印象に気を配らないといけない。だがアウトローな環境に長く身を置きすぎていたせいなのか、そういう常識が欠けているように見える。
ストーリーに関して言えば、疑問に感じる部分が色々とあって、鑑賞意欲が阻害された。銀行強盗はどう見てもエディがやったように見せて、実は彼ではなかったというミスリードを狙うような展開。刑務所仲間が銃を隔離病棟のマットレスに隠したと言っていたが、複数あるだろう病室の内、銃がある部屋にエディが収容されるとなぜ考えられるのか。エディが無罪だと伝えるならば、どこから来た電報でどういう理由で無罪なのか簡潔に納得感のある説明をすればいいのに、刑務所長や神父はなぜか無罪だと騒ぐばかりでそうしない。なぜ凶器を持っていない神父を殺す必要性があったのか。赤ちゃんもいるのに危険を犯してエディに付いていくのを選ぶ妻の行動が身勝手に思えるなど、腑に落ちない展開が多くて面白くなかった。
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