アルジェの戦いのレビュー・感想・評価
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【”我らに自由を!”アルジェリア独立を求めるレジスタンス達と、支配国フランスから派遣された”ナチスドイツと戦った”マチュー中佐率いるフランス軍との攻防を物凄い熱量と緊迫感で描いた作品。】
ー ジャーナリスト出身のジッロ・ポンテコルヴォ監督がアルジェリア独立を求めるレジスタンス達と、支配国フランスから派遣された元ナチス政権と戦ったフィリップ・マチュー中佐との攻防をドキュメンタリータッチで再現。
エンニオ・モリコーネが手掛けた緊張感あふれる音楽も印象な作品。
◆感想
・アルジェリア独立を求めるレジスタンス達と、支配国フランスから派遣された元ナチス政権と戦った中佐との攻防が、緊迫感溢れる映像で描き出される。
そこには、且つてはナチスに制圧されたフランス軍が、アルジェリア独立を求めるレジスタンス達FLN(民族解放戦線)を制圧しようとする矛盾がシニカルに描かれている。
・カスバを拠点とするFLN(民族解放戦線)の指導者たちを、執拗なまでに炙り出そうとするフィリップ・マチュー中佐の姿は、ユダヤ民族を虐殺したナチスドイツのSSに重なって見える。
- 且つて闘ったナチスと同じ事をしようとするフィリップ・マチュー中佐の姿が印象的である。-
・仲間をフランス軍に爆殺された、FLN(民族解放戦線)の若き女性達による数々の爆弾テロ。
負の連鎖である。
リアリティな描写も、ショッキングであるし、爆弾に仕掛けられた時計の音も緊張感を煽り立てる。
・FLN(民族解放戦線)の指導者、エル・ハディ・ジャファーが投降し、フィリップ・マチュー中佐と護送される車中で交わした言葉。
・最後まで戦ったアリ・ラ・ポワントは、フィリップ・マチュー中佐の勧告に従わず、爆殺される・・。
- 何とも言えない重い気持ちになる。-
<フィリップ・マチュー中佐率いるフランス軍は、一時アルジェリアのレジスタンスを制圧するが、1960年になってから突如、巻き起こった市民たちによる反乱。
そして、1962年、アルジェリアは念願の独立を果たす。
だが、御存じの通り他民族国家である、アルジェリアは独立後も、度重なる内戦、民族紛争が絶えない。
又、モロッコとの対立も続く。
アルジェリアに真の平和、自由が訪れるのは、何時になるのであろうか・・。
今作は、フランスサイドの視点も取り入れつつ、国家独立を求めるアルジェリアの人々の姿を苛烈な映像と共に描き出した作品である。>
勝利を決めるのは、民衆の行動だ
映画「アルジェの戦い」(ジッロ・ポンテコルボ監督)から。
1967年に日本初公開。製作国が「イタリア・アルジェリア合作」
当時は、ものすごく話題になったらしい。
2016年に、オリジナル言語版のデジタルリマスター版が公開。
これだけでも、好奇心旺盛の私は、興味をそそられた。
観賞後の感想は、よくフランスがこの作品を許したなぁ、だった。
フランスからの独立戦争を、アルジェリア側の視点で描いたこと、
それも、独立して間もない時期に製作されたこと、
まだ当時の興奮が続いている中での撮影であったことなど、
リアルすぎる表現に驚きを隠せなかった。
こんな台詞がメモされた。
「戦争も革命も同じだ」「テロが有効なのは、最初だけ」
「勝利を決めるのは、民衆の行動だ。ストの意味もそこにある」
「結果がどうあろうと、世界に我々の存在を知らせることはできるはず」
そして、この台詞で、幕を閉じる。
「革命を始めるのは簡単ではない。続けるのは、さらに難しい。
勝つのはそれ以上だ。
だが本当の困難が始まるのは、戦いに勝利したあとだ」
当時から「テロが有効なのは、最初だけ」という台詞を残し、
テロは、きっかけに過ぎないことを明言していることにも驚いた。
戦争映画って、どちらの立場で描くか、大事な要素だし、
是非、フランス側から描いた「アルジェの戦い」を観てみたい。
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