「監督と主役のミスキャスト」アラモ(1960) Coloradanさんの映画レビュー(感想・評価)
監督と主役のミスキャスト
惜しいですねぇ〜。
せっかくの題材がもったいない。あまりにも情緒的に描きすぎ。
「アラモ砦の戦い」は誰でも知っているという前提での演出。
でも、実際のところ、何でこの無謀な戦い(少なくとも映画の中ではそう描かれている)が起きたのかをちゃんと知っている人が、アメリカ人でもどのくらいいるだろうか?
有名すぎて、「見る人がみんな知ってる話」という思いこみが先にあるので、時代背景や、因果関係を描こうとは考えていない。
当初、題材に惚れ込んだジョン・ウエインが制作・演出だけするつもりが、映画の注目度、興行成績を考えて自ら主演せざるを得なかった事情はあるにせよ、彼の演技力でクロケットのセリフはきつい。 ジョン・フォードが心配して無理やり協力したという話も頷ける。
トラビス役のローレンス・ハーベイはさすがですね。杓子定規な職業軍人と、ざっくばらんなアメリカ人の対照的な言葉遣い、言い回しは面白かった。この映画の大きな特徴。
リチャード・ウイドマークもいいですね。 やや過剰演出のきらいはありますが、うまいと思います。 彼の場合、粗野なざっくばらんな西部人よりも、ひねくれた顔のごとく、やや陰影ある役柄、
例えば、「ワーロック」で、主人公に共感しながらも抗う演技のいる役が似合う。トラビス役をしていたら面白い映画ができた様にも思います。
戦いの起きる伏線から描かれていれば幅のある見応えのある作品にも仕上げられる題材だけに惜しく感じます。
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