劇場公開日 1974年12月21日

「「夢のアメリカ」はこんなでした。意外と地味。」アメリカン・グラフィティ あんちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0「夢のアメリカ」はこんなでした。意外と地味。

2025年3月15日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

1974年の作品だが物語設定は1962年。劇中、恋人が入隊してうつになった女の子がバスにひかれて死んだという話も出てはくるが、まだ、ベトナム戦争はそこまで影を落としていなかった。
この2年後、トンキン湾事件が起こってリンドン・ジョンソン(民主党選出の大統領です)が大規模な軍事介入を行うことによりアメリカは泥沼のベトナム戦争に踏み込んでいく。
グラフィティとは走り書きとか素描とかいう意味になると思うが、アメリカ人は古き良き時代を回顧するのが大好きで「ビッグウェンズデー」も「ディア・ハンター」も要するに同じような趣向となる。ただこの両作品と違うのは本作品はベトナム直前の時期をうまく捉えているところで本当にアメリカ人にとって良い時代だったのだろう。
ちなみにドナルド・トランプは1946年生まれなのでこの映画の時は16歳ということになる。だからこの映画の主役たちとほぼ同じような高校生活をおくったのだと思う。フィフティーズが鳴り響く中、アメリカンスタイルの男の子、女の子が踊りまくって、という印象が残っていたが、今回改めて観てみたところ意外と地味なんですね。
もちろんオールディーズは終始流れてはいるもののファッションは地味。ロン・ハワードが演ずるカートなんて腹が出たガニ股のただのおっさんです。もちろんアメ車は一杯登場するがシトロエン2cvも出てくるしね。
ドラッグなし、同性愛もない、そもそも黒人が一人も出てこない(スパニッシュ系はチラリと登場する)多分、これがトランプのグレイトアメリカというものだろうなと思います。つまり、白人文化以外は存在しないわけではないけど視野に入らない構造になっているのです。
ウルフマンジャックについても当時から黒人であるとか、国境の向こうから放送しているとの噂はあったけど、実際はブルックリン生まれの白人のおじさんが全国のラジオ局に録音テープを送りつけて放送していたっていうことを種明かししています。
だから今の感覚で見れば幅が狭くてあまり面白くはない。どうしても白人文化が一番という趣味趣向の人以外には。

あんちゃん
PR U-NEXTで本編を観る