「まさかスターウォーズより遠い宇宙に感じるとは」アメリカン・グラフィティ 弁明発射記録さんの映画レビュー(感想・評価)
まさかスターウォーズより遠い宇宙に感じるとは
ついに観たアメリカングラフィティの感想はもっと肯定的なものにしたかったよ。
結構マジで衝撃のショボさだった。ここまでクソショボい物だとはまさか思わなかった。
だって、午前十時の映画祭でラインナップされてるぐらいだから、結構な名作だと思うだろう。
高校卒業の夜の、一晩の出来事の話で、4人の男たちのそれぞれのエピソードが平行して書かれるんだけども、どれもエピソードがしょぼいし、強烈でもない。
多分、車、車、車の為の車映画だから、アメ車がたくさん出てくるという点では、車好きは楽しいかもしれないし。
もしかすると車と車内で流れる音楽をメインに描くという主旨もあったのかなとは思う。
やっぱり時代的に男も女も適当だったし、こういうような世界っていうのは多分今でも、地域によってはあろうし、だから車が重要で、田舎だから車で移動して、何処か遊びに行くのは車でってのが当たり前だったのは分かる。
けれども、田舎のクソしょうもねえエピソードを詰め込み過ぎ。当時の背景をそのまま現している可能性もあるけど、マジでクソしょうもねえ。もうちょっとちゃんとドラマ作れたろ。
まず奨学金ヤローね、この奨学金ヤローはなんか結構いい人物に見えて全然良くない。
その奨学金もらうくらいのヤローぐらいだから、大人から信用されてるっぽいんだけど。
なんか町中で見かけた金髪の女に妙に執着してたり。
しかもなんか調子こいて車の車体の上に座ってたら車を傷つけやがってと不良にからまれて不良の犯罪の手伝いまでしてる始末。
で、これ本当クソしょうもない不良の窃盗で、本当しょうもなくて、ゲーセンの機体をこじ開けて金を盗むっていうので、ちょっとこれに協力している面あるよなっていうのと。
あと警察官のパトカーに何かひもをくっつけてパトカーが発進したら車体壊れるように仕向けるっていう、嫌がらせの犯罪を奨学金ヤローがやるんだけど。
これが結局バレて、奨学金の話がなしになり窮地に追いやられるのかなと思いきや、特にそこら辺の罰もなく。
何かいい感じで、空港でサヨナラして旅立つ終わりっていうクソ犯罪見過ごし展開映画。
他のエピソードもしょうもなくて、金髪野郎が彼女と「別れようぜ」みたいな話になって、彼女の方が「別れたくねえよ」みたいなこと言って、結局ごたごたして「なんでだよ」みたいな。
「くそ、くそしょうもねえよ」と笑うしかない話。
ちびメガネのやつがもっとしょうもなく、すげえ意気がってるだけで、その金髪野郎から車を貰えた、いや貸してもらえた方が正しいけど、その貸してもらえた車がかっこよくて調子のって。
もう女をナンパして、なんかそれがうまくいくのがクソしょうもなく、都合良すぎで。車が盗まれ、車を盗んだ野郎に絡まれてボコボコにされるんだけど、黄色い車のシャツ野郎の友達が助けに入ってくれて。クソメガネが一番いい思いしてるだろ。
この黄色い車のシャツ野郎が最初は一番悪い感じに見えるんだけど、結局なんだかこいつが映画を通してまだまともな方だったという。
まともなおかげで、女をナンパしたら、ちっちゃい女の子が来てさすがに何か罪悪感があるのか、おろそうとするやり取りがあった。
ちっちゃい女が色々わあわあ言んだけれども、何とか一晩の思い出を作ってあげました的な感じにして。
最後は明け方に車レースして一応勝って。
このシーンありきで展開させただろ感もあり。
当時の風俗的な、当時の時代背景は、こんなかんじだった、田舎の高校生とかってこんなかんじだったみたいなことを表現してるのかもしれないし。
ずっとクルマの中、クルマ同士で会話するというようなクルマ映画なんで、そのクルマ好きには本当いいのかも知れないけど。
本当にマジでここまでスターウォーズより全然はるかに遠い宇宙を感じるとは思わなかった。
この映画の教訓。宇宙の果ての物語を描きたいなら、田舎の高校生の心を捉えるような映画をまず撮らないとダメだよね。
これだろ。
本当もう、アメリカン・グラフィティってね、タイトルだけ聞くと青春、青春のイメージの人もいるかもだけどブラスバンドから上がったやつは、定番曲のメドレーがあるのを思い出すわけよ。
最後、この映画の中でオンリーユーが流れるんだけど、ああ、懐かしいという事よりも、「くっそめんどくせえ、音程を周りに合わせ、本当に音を合わせ」って、社会人教育の第一歩「周り合わせ」の辛さばかり思い出して。
くっそ、くっそ自分勝手なこの高校生の奴らと比べて周りに必死に合わせた十代を思い出し、そういう怒りが余計増した。
本当、わざわざ頑張って音程を合わせた、俺らの演奏したアメリカン・グラフィティの元ネタが、これほどまでにくっそみたいな奴らの、くっそしょうもねえことをやる内容だったのかと悲しくなったわけだ。
本当悲しくなってくる。
本当、この時代の奴らが勝手なことばかり言って、しょうもない男女のやり取りや暴力巻き散らしたおかげで、その負の遺産が後の世代にずっとずっと引き継がれてるんだっていうことがいたいほどよくわかって、そういう意味で歴史的意義があると、思いますわ。
いや、これを名作として選ぶんだよな。午前十時の映画祭!と思った。もう笑うしかない。怒りを通り越して笑うしかない。
ただスターウォーズの方がはるかにヒットしたのを思うとこの映画はやはりその準備として必要だったんだろうな。