雨のなかの女のレビュー・感想・評価
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孤独で繫がった女と男の切ないロードムービーの脚本・監督コッポラの佳作
「ゴッドファーザー」のコッポラ監督作品だが、予備知識にはそれすら無く、同時上映の「ベニスに死す」を観るついでに出会えた映画。やはり映画を楽しむなら、余計な先入観を持たないで接するのが一番と思った。内容は地味であったが、小品ながらアメリカ・ニューシネマの良作だった。シャッツバーグの「スケアクロウ」やスレシンジャーの「真夜中のカウボーイ」を想起させる。
主人公は、結婚生活の枠からはみ出し、自我の再生の為に自由を求め旅に出た主婦ナタリー。この逃避とも取れる旅先で出会う一人の男が知的障害者。この女と男の不思議な組み合わせがいい。二人の旅が進む中で彼女の事情や、彼が何故そのように見える人になったかが分かってくる。そしてこの孤独な男の優しさが、彼女に沁みていくところが映画的。ストーリーを小説として読んでもいいが、これは生身の人間が演じてよりその表現の意図する本質に辿り着けるものがある。シャーリー・ナイトとジェームズ・カーン共に好演というより、役になり切った演技力を見せつけない自然な演技が作品を更に魅力あるものにしている。コッポラの脚本家としての特長が確かにある隠れた佳作。
1976年 11月9日 早稲田松竹
設定がすべてを支配しているようなー
ストーリー云々よりも設定ですべてといった印象。知的レベルで世界観が決められ、そして始まりと終わりが設定された…ような─。だから、映像というよりも、感情の揺れ動くさまを強く“見る”といったところでしょうか。
といっても、この映画は時代とかハリウッドとかプロダクションといった背景を知った上で、製作方法などをさぐって鑑賞するべきなのかも、それが正しいのかどうか微妙なところではありけれど。
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