アマデウスのレビュー・感想・評価
全28件中、1~20件目を表示
モーツァルトとサリエリを描いた貴重な作品
天才モーツァルトの生涯を宮廷楽長サリエリを通して描かれた作品。
いつの世も天才の挙動は凡人には理解できないものだが、18世紀ヨーロッパで生まれ育ったモーツァルトはとりわけ顕著だったに違いない。作中のモーツァルトの破天荒ぶりは驚くものばかりだが、あながち大げさでもないのかもしれない。
一方、宮廷楽長として成功していたサリエリが、モーツァルトの出現によって嫉妬と憧憬で葛藤していくさまは、時に心苦しく、時に多くの人が抱えたことがある負の感情として共感を覚える。
アントニオ・サリエリを描いた作品は媒体問わず少なく、日本語で入手可能となると数えるほどしかない。今作は史実とは異なる点はあるものの、彼とモーツァルトの確執を知る手始めとしてちょうどいい物語。
鑑賞後にモーツァルトの作品、特に『レクイエム』を改めて聴くと、彼がどんな心境で曲を作ったのか、思いを馳せられる。
音楽好きはもちろん、『FGO』などのゲームやミュージカルで2人に興味をもった人に見てもらいたい作品。
モーツァルトの認識って偉大な作曲家だったんですけどこの作品観たら結...
モーツァルトの認識って偉大な作曲家だったんですけどこの作品観たら結構変わりました。偉大な作曲家には違いないんですけど意外にクズだったんですねモーツァルト。
長い作品でこれといって光るような見どころもなかったので2回目は観ようと思いませんでした。
映画ならではの贅沢で豊穣な作品
以前にレンタルで観たときは、サリエリのエイブラハムが凄い!
と思ったけど、今回映画館で観たらモーツァルトを演じた
トム・ハリスの後半の徐々に憔悴してゆく演技も良かった!
映像的には、お金のかけ方も桁違いだろうけど
宮廷や貴族の館の豪華絢爛さ、華やかさ!
何より、クラシックにはそれ程詳しくは無い私が
モーツァルトのオペラをちゃんと観てみたい!!
と思わせる程の、舞台と音楽の再現の半端なさ!!!
余りに常軌を逸脱した人物であり、
自分をバカにしていると解っていながら
実は誰よりもモーツァルトの才能の素晴らしさを見抜いていた
サリエリの葛藤が、とにかく切ない。
誰よりも自分自信がモーツァルトのファンであり、
最初は陰謀のために利用しようとしたレクイエムを
最後は陰謀の為では無く純粋にその完成曲を
聴きたかったのでは無いか?
そう思うとサリエリの心情は余りに哀しく
現代のモーツァルトファンにも通じるモノがあるように思います。
凄かった!!
時間があればもう一回観たい!!
アマデウス ディレクターズ・カット版の感想をこちらにも転記。
「午前十時の映画祭15」へのリクエストに1票入れました。
誰の心にも棲みつく嫉妬心と自尊心をえぐる
多くの映画ファンのオールタイムベスト20とか50には入るであろう、人類の遺産級と言ってもよいスペシャルな映画。
誰の心にも棲みつく嫉妬心や自尊心をえぐる巧妙な脚本、その期待に完璧に応えたマーリー・エイブラハムの芝居。肝心の音楽は....元々超名曲揃いのモーツァルトを使いまくるのは反則ともいえるが、音楽と映画が溶け合った素晴らしいシーンが幾つもあり、この相乗効果は必見。
因みにこの映画のサントラCDも素晴らしい。
天才と天才ではなかった芸術家の遭遇の悲劇‼️
" 天才" 作曲家モーツアルトに嫉妬する "凡人" 作曲家サリエリの確執を、全編モーツアルトの楽曲による音楽的見せ場、サリエリの回想から入る物語構成、ミステリーの要素なども散りばめた一級の娯楽エンターテイメントです‼️サリエリを演じるF・マーリー・エイブラハムの名演もさることながら、見所はなんといってもトム・ハルスのモーツァルトのあの下卑た笑い声‼️楽聖としてのモーツァルトのイメージとはまったく逆の人物で、この人物の創造が映画を徹底的に面白いものにしています‼️サリエリにモーツアルトの才能の凄さを理解できる能力がなければ、宮廷音楽家として幸福に一生を終えることができたのに、そしてそのモーツアルトも生きている間は名声を得られず、不幸なまま一生を終える‼️お互い幸福ではなかった二人の人間としての運命について考えさせられます‼️
生涯最高傑作
高校時代に観に行ってから 未だ一番好きな映画です。
喜劇から悲劇への絶妙なストーリーのグラデーション。
当時はこのサントラを聴きながら眠りに就く日々が多々ありました。懐かしい~
自分の人生、最期はこの映画鑑賞で終わりたいぐらい好きな映画です。
楽しい映画でした。
モーツァルトの音楽が好きな私にはとても楽しい映画でした。モーツァルトは案外あんな人物だったのかもな、なんて思いましたが、モーツァルトを崇拝している人には噴飯ものらしい笑。私はモーツァルトの音楽自体がとても好きななだけで、その人物を崇拝しているわけではないので平気でした笑。
サリエリがモーツァルトの(管楽器のセレナードの楽譜を見て)天才を解説するシーンが好きです。人一倍その天才を理解できているというね。
「驚くべし!ページの上には何もないように見える。始まりは単純で、ほとんど喜劇だ。ファゴットとバセットホルンによる錆びたアコーディオンのようなただの脈動。それから突然 ―その上空に― オーボエの一つの音が揺るぎなくかぶさってくる... クラリネットがそれを引き継ぎ、素晴らしい喜びのフレーズに甘みを与えている!これはただの「演奏する猿」による作曲ではない!今だ聴いたことのない音楽。 途方もない憧れ、叶えられない憧れに胸が震えた。神様の声が聞こえたような気がした。」
公開当時、ウィーンっ子が「愛称が"ウォルフィ"ってのはどうもね。当然"アマデオ"だろうに」って言ってました。確かに「アマデオ」って呼ばれてたんですよね。
ミロス・フォアマン監督は「かっこうの巣の上で」「ヘアー」に続いてこの作品を当てて、既にヒットした舞台作品を映画化することで名を成しました。当時ちょっとズルい便乗だなあ、という気持ちもしました。とはいえ、どれも映画として素晴らしいと思います。
甘味な哀しみ
「2年来、死は人間たちの最上の友だと言う考えにすっかり慣れております。僕は未だ若いがおそらく明日はもうこの世にはいまいと考えずに床に入ったことはありません。しかも僕を知っているものは誰も僕が付き合いの上で陰気だとか悲しげだとか言えるものはないはずです。僕はこの幸福を感謝しております。」ドンジョヴァンニ構想前に、父親に送ったモーツアルトの手紙
モーツアルトは長調の作品が圧倒的に多いですがその多産の谷間に思い出したように出現する短調の曲には、とりわけ美しく心を揺さぶる傑作が多いように思います。それは天からの啓示と思える「明るさ」「楽しさ」「優美さ」と言った彼本来の表相に、正真正銘の天才のみが持つ「孤独」や人間誰もが迎える「死」と言うものに対する深い思いが、時折その顔を覗かせ表相と呼応しあって、甘美な哀しみを紡ぎ出すからなのでしょうか。
この映画では彼のこうした明るく楽しいが悪ふざけが大好きな表相と、そこに横たわる天才の深い孤独や死に対する半ば呆然とするような深い哀しみの実相が、努力の人サリエリとの対比で徐々に浮き彫りにされていきます。そしてそれらがモーツァルトの美しい楽曲と絡み合い極めて美味で奥行きのある作品に仕上がっているように思うのです。
公開(1984年)当時、映画館で鑑賞しました。
何度も見直した映画
天才モーツァルトを、努力で宮廷作曲家に上り詰めたサリエリの視点で描いた映画。
中学生の時に学校の授業で見て衝撃を受け、映画が好きになるきっかけになった作品。
モーツァルトに妬むサリエリ、父の束縛を筆頭に、伝統や常識を嫌うモーツァルト。
映像は美しく、音楽は素晴らしく、登場人物の心理描写、ストーリー展開、非の打ち所が無い。
モーツァルトの生涯を表現した作品。モーツァルトの作品を壮大な音楽で...
モーツァルトの生涯を表現した作品。モーツァルトの作品を壮大な音楽で楽しめるもの。モーツァルトの天才だが謙虚さがなく驕りぶる態度で人々に嫌われながらも作品はやはり天才的なもの。サリエリは最初は嫌な人だったが最後は本当はモーツァルトのファンであり作品を楽しみにしている姿に好感が持てた。天才として生きながらも最期は借金だらけのダメ人間の評価をされてしまったモーツァルトの壮絶な人生を見ることのできる作品だった。
フィクションにあるモーツァルトの真実
ピーター・シェーファーの戯曲の面白さが映画スケールに拡大して、ミロシュ・フォアマン監督が18世紀宮廷音楽の世界を贅沢に再現する。史実から飛躍したミステリー仕立てのエンターテインメントの音楽家映画で、モーツァルトの名曲の選曲から物語にリンクするオペラの舞台までが巧妙に練られている。まず交響曲第25番第一楽章で開巻するプロローグのミステリアスな導入部が素晴らしい。短調の強いリズムに合ったモンタージュとスリリングなタッチで観客を鷲掴みする。そして、父レオポルドとの葛藤をオペラ「ドン・ジョバンニ」に重ねたシリアスさと、義母のヒステリーをオペラ「魔笛」の夜の女王のアリアに合わせたユーモア。最後の「レクイエム」写譜と妻子が乗る馬車のカットバックと、多彩な味わいを駆使して、モーツァルトの音楽を存分に聴かせてくれる。サリエリが妻コンスタンツェから楽譜を預かり、名曲の数々に驚嘆し酔いしれる場面もいい。
モーツァルトの音楽に嫉妬するサリエリをF・マーリー・エイブラハムが見事に演じている。晩年の卑屈な老人の表現に、演技力を見せつける。比較されて分が悪いモーツァルトのトム・ハルスも名演まではいかないが、天才にある変人の部分を笑い声に象徴させていて好演。オーストリア皇帝ヨゼフ2世のジェフリー・ジョーンズははまり役で、周りのイタリア人音楽家もリアクションの演技が巧い。コンスタンツェの新人エリザベス・べリッジは特に可もなく不可もなし。唯一の不満は、父レオポルドのロイ・ドートリスだが、脚本自体モーツァルトの天才面の鍵を握る父を深く描いていないので仕方ない。
ただ、モーツァルトがレオポルドと夜の酒場で余興に耽る場面で、幼少のモーツァルトに似た少年のカットが挟まれていた。神童のモーツァルトが大人のモーツァルトを見てどう思うか、それが父の思いとするフォアマン監督の演出と勝手に解釈している。
天才の想い
映画のストーリーと描き方はさておき、モーツァルトはやはり音楽の天才であったのだろうと認識できました。しかし音楽以外で不器用なところがあると、成人となって世に出てゆくにつれ、周囲に温かい人が居ないとなれば、不遇、悲劇、無残、残酷ということになってしまう悲しい人生の結末を知り得た今後は、それなりに、そして、より強い関心を以って聴けるように思います。
オペラを観たくなります!
モーツァルトの音楽からは想像出来ない、破天荒なモーツァルトに驚きました!
クラシック音楽の巨匠のように思ってましたが、あんなにオペラに力を入れていたなんて知りませんでした。
モーツァルト作品のオペラを日本語で観たいです。
「モーツァルトを殺した」と叫びながら自室で自殺を図るサリエリのシ...
「モーツァルトを殺した」と叫びながら自室で自殺を図るサリエリのシーンから始まった。単純な伝記のスタイルを無視した構成に思わずのめり込む一瞬だ。神父への懺悔で始まる。
イタリア人のサリエリ。天才音楽家のモーツァルトにやっと会えたけど、奇妙な性癖を持った彼には徐々に妬みと反発があった。歌姫を使われたことに対する嫉妬もあり、皇帝の意見にも追随するサリエリ。徐々に憎しみの炎も燃やし始める。皇帝の妹がマリー・アントワネットであり、幼きモーツァルトが彼女に求婚したというエピソードはあまりにも有名だ。
生活に困ったモーツァルト夫人が彼の家庭教師の職を得るため楽譜を持ってきた。それを見たサリエリは驚愕。下書きなど無いのに書き直しの無い完璧な譜面。その後様々の場面でサリエリはモーツァルトの天才を認めないわけにはいかなくなり、徐々に彼を潰してしまいたい欲求にかられてしまう。
それでも二人とも音楽家。相手を尊重する態度は立派だ。モーツァルトの父親が死んでからの暗いオペラにも圧倒され、死神のような使者を遣わせてレクイエムも書かせる。この事実がモーツァルトを死に至らしめたとは思えないけど、映画としては最高に震えがくるような場面だ。死の直前、病床にいても最後の曲をあきらめきれず、サリエリに代筆させるところは楽天的な音楽家と嫉妬心溢れる音楽家がともに芸術を高めていくような神々しさをも感じられる。
世の凡庸なる人々。神は天才を殺してしまうが、平凡な人間は生き地獄を味わわなければならないというのも真理をついているかもしれない。
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