「駆け引きがいい」ア・フュー・グッドメン プライアさんの映画レビュー(感想・評価)
駆け引きがいい
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何らかの秘密を握った下級軍人が大尉たちに殺される。
これにより裁判が行われることになり、弁護士トム・クルーズが登場。
大尉達は大佐の命令を忠実に実行したのだと証言する。
偽って罪を認めれば半年くらいの刑で済む公算が高かったが、
一本気な彼らはそれに応じない。あくまで命令を実行しただけと言う。
以後は法廷でのシーンが多くなる。
トムの涼やかな弁論と天才的な駆け引きによって、
証人喚問された大佐自らの口から、それが命令であったとの証言を引き出す。
大尉たちは無罪。しかし軍はクビになった。
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駆け引きがおもしろい。デミ・ムーアは別にいらない気もするけど。
大佐は自分が指示したことを認めた際に逆上して言う。
「誰のおかげでお前らはゆっくり寝られるんだ、我々ではないか」
人道的には間違いでも、組織を守るには必要な命令ではある。
日本の官僚や政治家みたいな私利私欲・保身のための命令ではない。
軍全体を守るべき上層部にとっての正義と、一般人の正義とでは異なる。
大佐は彼なりの正義を全うしている。これを一言で悪と言うことはできない。
命令したことを認めなかったのも、自分が抜ければ軍にとって痛手だからである。
一方、大尉の方は正義を行いたいと思って軍に入っており、
常に忠実に命令に従い、今回のことでも嘘をつくことを拒んだ。
それが原因となり、軍をクビになる。正義などあったものではない。
しかし彼は言う、「(被害者)を助けることが正義だったんだ」
去り行く彼にトムが声をかける、「正義を行うのに軍服はいらないさ」
なかなかにシビれるやり取りである。