「がんばる子供たちにエール」あの子を探して Chemyさんの映画レビュー(感想・評価)
がんばる子供たちにエール
中国の寒村の小学校を舞台に、本人役で登場する素人俳優を起用し、ほのぼのとした中に、中国の格差社会と教育問題を提議するハートフル・ドラマ。この村はとにかく貧しい。小学校では校舎の修理もできず、教師は何年も給料を貰っていない。チョーク1本無駄にできず、生徒たちも幼くして町まで出稼ぎに行かなければならない。そんな小学校に代用教員としてやって来た13歳のミンジも、村長が口約束した給料が目当てなだけで、子供に勉強を教える気などさらさらない。様々な事情から義務教育であるはずの学校を辞めていく生徒たち。先任の教師はミンジに生徒を1人も辞めさせなければボーナスをやると、これまた口約束で休暇に入っていく。ミンジが町へ出稼ぎに行った生徒を必死で探すのは、お金が目当てだ・・・最初は・・・。無邪気な生徒たちと、都会での様々な困難がそんなミンジを少し「大人」へと「教師」へと成長させて行く。とにかくこのミンジが実に生意気で可愛くない!それでも彼女は「一生懸命」生徒を探す。ミンジが数々の苦難に遭遇するのは、子供の判断で行動することと、大人のいいかげんなアドバイスであると思う。殊に町へ行くバス代をレンガ運びで得ようとするシーンに集約されている。生徒の1人が以前にレンガ運びをしてお金を稼いだことがあると言い出したことから、クラス全員で”勝手に”レンガ運びをするのだが、それは運ばなくても良いレンガで、報酬を貰うどころか怒られてしまうのだ。子供たちはレンガを運ぶとお金が貰えると思っている。お金を稼ぐということは「必要な作業にみあった報酬を貰う」ということを知らないのだ。そんな世間知らずの子供が大都会で迷子になる・・・。こんな恐ろしい事態になりながら(大人の余計なアドバイスに翻弄されながら)、生徒を探し出すことがでたのはまさに奇跡だ!しかし一番の奇跡は団結する子供たちそのものだろう。寄付された色とりどりのチョークで黒板に一文字づつ書いていく子供たちの笑顔のラストシーンは、なんとも心が温まる。